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キスの先には(1)※
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初日の夜から二週間が過ぎた。
「ぁっ、……ふっ、ンっ……」
頭がぼうっとする。顔が熱い。ちゅっ、とうなじに熱が這い上がってくる。
握りしめているはずのシーツの感覚が遠のいていく。
目が冷めた時はどこかで鳴いていた朝鳥の声が聞こえない。どのくらいこうしているのだろう。
「ソフィー、紐解くね」
ソフィーの返事を待たずに、肩で結ばれているリボンを口で咥えて解く。
両肩で結ばれている薄い夜着は片方解かれただけで一枚の布になって、はらりとソフィーの背中から腰を露わにした。
外気に触れてひんやりと震える白く滑らかな肌にエルバートは小さく喉を鳴らし、うなじから肩へと口づける。
「――ぁっ」
背中に触れるか触れないかのキスがかすめてソフィーの背がしなる。思わず鼻にかかった声が出て慌てて口を塞いだ。
恥ずかしいのに、拒否するような動きをすれば『これはキスだよ』と窘められてしまうのは分かっているし、なにより『わからないならやってみようか』と普段下着に隠れているような場所にまで口付けられるのは耐えられない。
胸の先端にキスされたとき、あれは……羞恥心を超越したなにか内側から溢れてきて、自分が自分でなくなるような不安があった。
あまりの恐怖に泣き出してしまったけれど、エルバートは『毎日すれば気持ちよくなれるから』と止めてくれなかった。
じくじく、じんじん、甘い疼きが止まらなくなるのが怖い。
なんとなく、いけないことをしているような気になる。
(子供を作る行為は痛くて苦痛しかないけど、その代償として子供を授かれると聞いてる……だからそれとは違う行為なのはなんとなく分かるけど)
キスは契約なのだから、涙程度で止めてもらえると少しでも期待した自分が悪いのだが……あれからほぼ毎日眠る前に胸にキスをされている。
でも……ソフィーが本気で嫌がればそれ以上はしない。しかもだんだんその範囲が緩くなっている気がする。
これが、妥協というものなのだろうか。
「んっ」
腰を甘噛みされて曖昧だった意識が集中した。
「ソフィーはどこも敏感で甘いなぁ」
「んっ、や……ぁ……」
腰を持ち上げられて縋るようにシーツを掴み直せば自然と胸をベッドに押し付け、お尻だけを高く上げている体制になってしまった。
あ、まずい。夜みたいなことになってしまう。
下の下着だけは、死守しなければ。
「エルバート様……っ、やめっ」
「うん。ソフィーお腹空いたよね?」
「え?」
朝食の準備が整ったとメイドがドア越しに声をかけてきたのは、エルバートがいつもの調子でにっこり微笑んだのと同時だった。
「ぁっ、……ふっ、ンっ……」
頭がぼうっとする。顔が熱い。ちゅっ、とうなじに熱が這い上がってくる。
握りしめているはずのシーツの感覚が遠のいていく。
目が冷めた時はどこかで鳴いていた朝鳥の声が聞こえない。どのくらいこうしているのだろう。
「ソフィー、紐解くね」
ソフィーの返事を待たずに、肩で結ばれているリボンを口で咥えて解く。
両肩で結ばれている薄い夜着は片方解かれただけで一枚の布になって、はらりとソフィーの背中から腰を露わにした。
外気に触れてひんやりと震える白く滑らかな肌にエルバートは小さく喉を鳴らし、うなじから肩へと口づける。
「――ぁっ」
背中に触れるか触れないかのキスがかすめてソフィーの背がしなる。思わず鼻にかかった声が出て慌てて口を塞いだ。
恥ずかしいのに、拒否するような動きをすれば『これはキスだよ』と窘められてしまうのは分かっているし、なにより『わからないならやってみようか』と普段下着に隠れているような場所にまで口付けられるのは耐えられない。
胸の先端にキスされたとき、あれは……羞恥心を超越したなにか内側から溢れてきて、自分が自分でなくなるような不安があった。
あまりの恐怖に泣き出してしまったけれど、エルバートは『毎日すれば気持ちよくなれるから』と止めてくれなかった。
じくじく、じんじん、甘い疼きが止まらなくなるのが怖い。
なんとなく、いけないことをしているような気になる。
(子供を作る行為は痛くて苦痛しかないけど、その代償として子供を授かれると聞いてる……だからそれとは違う行為なのはなんとなく分かるけど)
キスは契約なのだから、涙程度で止めてもらえると少しでも期待した自分が悪いのだが……あれからほぼ毎日眠る前に胸にキスをされている。
でも……ソフィーが本気で嫌がればそれ以上はしない。しかもだんだんその範囲が緩くなっている気がする。
これが、妥協というものなのだろうか。
「んっ」
腰を甘噛みされて曖昧だった意識が集中した。
「ソフィーはどこも敏感で甘いなぁ」
「んっ、や……ぁ……」
腰を持ち上げられて縋るようにシーツを掴み直せば自然と胸をベッドに押し付け、お尻だけを高く上げている体制になってしまった。
あ、まずい。夜みたいなことになってしまう。
下の下着だけは、死守しなければ。
「エルバート様……っ、やめっ」
「うん。ソフィーお腹空いたよね?」
「え?」
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