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2章 進化する中年レーサー
第20話 初参戦! エンデューロレース
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今日はエンデューロに参加する日だ。
今回のコースレイアウトは長辺2km、短辺50mの長方形で一周約5kmになる。
コースが長方形なのはレース会場が道路が碁盤目状の工業地帯だからだ。
会場に着き、受付を済ませて仲間達との待ち合わせ場所に向かった。
レースは初めてではないが、いつも以上に緊張している。
何故なら今回参加するエンデューロはクラス分けはあるが、全部のクラスが同時に走行するからだ。
実力が遥かに上の東尾師匠達と同時に走行するのはどうしても緊張する。
待ち合わせ場所で西野を見つけて安心する。
40才の私が28才の知り合い女性を見つけて安心するというのも恥ずかしい話だが。
今回一緒に参加する知り合いは西野と東尾師匠と南原さん、そして初対面の北見さんだ。
「おはようノノ。南原さんもお久しぶりです」
「おはよう猛士」
「おはようございます中杉さん」
東尾師匠は他のチームの知り合いと話しているので、私は西野と南原さんの二人と挨拶を交わした。
そしてーー
「君が中杉君かい。私が北見だ」
北見さんは私より年上に見える。年齢は50才近いだろうか。
「初めまして中杉猛士です」
「協力して優勝目指さないか?」
いきなりではあるが、協力を要求されるのは頼りにされている様で嬉しい。
だが、優勝は流石に無理だろう。本当は自分も協力して走行出来れば良いのだが、実力がかけ離れているから仕方がない。
「猛士は私と走る予定だから御免なさいね。始めたばかりで完走がやっとだと思うから」
返答を迷っている私の代わりに西野が返答した。
少し恥ずかしさを感じるが事実だからな。
「残念ながら協力するだけの実力がないです」
「そうかい、40才なりたてなら40才オーバークラスで優勝の可能性が高いと思ったのだがな」
「それなら自分がサポートしますよ。優勝は難しいので」
「宜しく頼むよ南原君」
私の代わりに南原さんがサポートを申し出た。
耐久レースだからタイムトライアルスペシャリストの南原さんも優勝の可能性があると思ったのだけど。
「何故南原さんの優勝は難しいのですか? 高速巡行で勝てそうに思えるのですが」
「高速巡行で逃げようとしても、後ろに付かれたら逃げ切れない。スプリントが苦手だからゴール前で負けると思うよ」
「その点、私は南原君と一緒に先頭集団にいるだけで優勝出来るからな。他の40才オーバークラスの参加者より前にいれば良いだけなのでね」
北見さんは先頭集団で走行する予定なのか……私よりだいぶ年上なのに先頭でレースする仲間がいると元気が出る。まだまだ自分も成長を続けられるのだと。
コースインの時間となり、選手達がスタート地点で続々と整列を始める。
今日のレースは3時間走行して、どれだけ周回出来るかを競うルールだ。
優勝を狙う東尾師匠、北見さん、南原さんは先頭に並びに行ったが、完走目的の私と西野は邪魔にならないように先頭集団を避けて後ろの方に並んだ。
初めて参加するレースであり、同時に200人以上も走るから気をつけなければ。
落車して他の参加者を巻き込んだら大変だからな。
参加人数が多いから、いつものクリテリウム以上に密集して走行する事になるし、レベルが違う相手が同時に走行するからより気を付ける必要がある。
いよいよレース開始時間になり一斉にスタートした。
「走行ラインを変えると後続の選手と接触するから。走行ラインを維持して真っすぐ走って」
「分かったよ。他に注意点あるか?」
「遅い選手は左側キープ。追い抜きする時は右側ね。後は声出しが重要ね」
「声出し? 何を言うのか?」
西野が答える前に前方から声が聞こえた。
「「「「ブレーキ!」」」」
コーナーに差し掛かった所で、前を走っている選手達が次々に「ブレーキ」と注意喚起する。私と西野も続いて「ブレーキ」と言った。
そういう事か……先が見通せない程に選手が密集しているから、事前に声をかけて後続の選手にブレーキを促さないと、ブレーキが間に合わないで追突する可能性があるのだな。
落下物や路面状態が悪いところを通過する度に次々声が上がる。
ガシャン! 前方で大きな音がした。
「「「「落車!」」」」
4列で走っていた前の選手達が左に寄り2列になっていく。
「落車! 減速してゆっくり左に寄って」
西野に言われた通り、速度を落としながら左に寄った。
走行ラインを維持するのが基本だが落車した選手を避ける時は別なのか。
大事なのはハンドサインでは無く、声で直接後続の選手に伝える事か。
ハンドサインで手放しをしたら危険だから当然の事だがな。
2列になり30m程走行すると、落車して絡まったロードバイクを立て直す選手達が見えた。
20人程いたから最初に落車した人が、他の選手を巻き込んでしまったのだろう。
大きなケガは無いようだが少し心配だな。
「助けなくて大丈夫なのか?」
「下手に止まると後続の走行妨害になるから通過して。それにスタッフがいるから大丈夫よ」
「分かった」
3時間のレースなのに、開始10分でいきなり大規模な落車が起きたので面食らってしまった。
上りもヘアピンコーナーも無い簡単なコースレイアウトでも落車は起きるのか。
完走目的で3時間走行するだけでも気を緩めると危険だな。
今回のコースレイアウトは長辺2km、短辺50mの長方形で一周約5kmになる。
コースが長方形なのはレース会場が道路が碁盤目状の工業地帯だからだ。
会場に着き、受付を済ませて仲間達との待ち合わせ場所に向かった。
レースは初めてではないが、いつも以上に緊張している。
何故なら今回参加するエンデューロはクラス分けはあるが、全部のクラスが同時に走行するからだ。
実力が遥かに上の東尾師匠達と同時に走行するのはどうしても緊張する。
待ち合わせ場所で西野を見つけて安心する。
40才の私が28才の知り合い女性を見つけて安心するというのも恥ずかしい話だが。
今回一緒に参加する知り合いは西野と東尾師匠と南原さん、そして初対面の北見さんだ。
「おはようノノ。南原さんもお久しぶりです」
「おはよう猛士」
「おはようございます中杉さん」
東尾師匠は他のチームの知り合いと話しているので、私は西野と南原さんの二人と挨拶を交わした。
そしてーー
「君が中杉君かい。私が北見だ」
北見さんは私より年上に見える。年齢は50才近いだろうか。
「初めまして中杉猛士です」
「協力して優勝目指さないか?」
いきなりではあるが、協力を要求されるのは頼りにされている様で嬉しい。
だが、優勝は流石に無理だろう。本当は自分も協力して走行出来れば良いのだが、実力がかけ離れているから仕方がない。
「猛士は私と走る予定だから御免なさいね。始めたばかりで完走がやっとだと思うから」
返答を迷っている私の代わりに西野が返答した。
少し恥ずかしさを感じるが事実だからな。
「残念ながら協力するだけの実力がないです」
「そうかい、40才なりたてなら40才オーバークラスで優勝の可能性が高いと思ったのだがな」
「それなら自分がサポートしますよ。優勝は難しいので」
「宜しく頼むよ南原君」
私の代わりに南原さんがサポートを申し出た。
耐久レースだからタイムトライアルスペシャリストの南原さんも優勝の可能性があると思ったのだけど。
「何故南原さんの優勝は難しいのですか? 高速巡行で勝てそうに思えるのですが」
「高速巡行で逃げようとしても、後ろに付かれたら逃げ切れない。スプリントが苦手だからゴール前で負けると思うよ」
「その点、私は南原君と一緒に先頭集団にいるだけで優勝出来るからな。他の40才オーバークラスの参加者より前にいれば良いだけなのでね」
北見さんは先頭集団で走行する予定なのか……私よりだいぶ年上なのに先頭でレースする仲間がいると元気が出る。まだまだ自分も成長を続けられるのだと。
コースインの時間となり、選手達がスタート地点で続々と整列を始める。
今日のレースは3時間走行して、どれだけ周回出来るかを競うルールだ。
優勝を狙う東尾師匠、北見さん、南原さんは先頭に並びに行ったが、完走目的の私と西野は邪魔にならないように先頭集団を避けて後ろの方に並んだ。
初めて参加するレースであり、同時に200人以上も走るから気をつけなければ。
落車して他の参加者を巻き込んだら大変だからな。
参加人数が多いから、いつものクリテリウム以上に密集して走行する事になるし、レベルが違う相手が同時に走行するからより気を付ける必要がある。
いよいよレース開始時間になり一斉にスタートした。
「走行ラインを変えると後続の選手と接触するから。走行ラインを維持して真っすぐ走って」
「分かったよ。他に注意点あるか?」
「遅い選手は左側キープ。追い抜きする時は右側ね。後は声出しが重要ね」
「声出し? 何を言うのか?」
西野が答える前に前方から声が聞こえた。
「「「「ブレーキ!」」」」
コーナーに差し掛かった所で、前を走っている選手達が次々に「ブレーキ」と注意喚起する。私と西野も続いて「ブレーキ」と言った。
そういう事か……先が見通せない程に選手が密集しているから、事前に声をかけて後続の選手にブレーキを促さないと、ブレーキが間に合わないで追突する可能性があるのだな。
落下物や路面状態が悪いところを通過する度に次々声が上がる。
ガシャン! 前方で大きな音がした。
「「「「落車!」」」」
4列で走っていた前の選手達が左に寄り2列になっていく。
「落車! 減速してゆっくり左に寄って」
西野に言われた通り、速度を落としながら左に寄った。
走行ラインを維持するのが基本だが落車した選手を避ける時は別なのか。
大事なのはハンドサインでは無く、声で直接後続の選手に伝える事か。
ハンドサインで手放しをしたら危険だから当然の事だがな。
2列になり30m程走行すると、落車して絡まったロードバイクを立て直す選手達が見えた。
20人程いたから最初に落車した人が、他の選手を巻き込んでしまったのだろう。
大きなケガは無いようだが少し心配だな。
「助けなくて大丈夫なのか?」
「下手に止まると後続の走行妨害になるから通過して。それにスタッフがいるから大丈夫よ」
「分かった」
3時間のレースなのに、開始10分でいきなり大規模な落車が起きたので面食らってしまった。
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