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6章 終わった夢が残した物
第70話 ノノ止めました!
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落車で愛車を失って走るモチベーションを失っていたが、仲間達との交流をしているうちに、再び走りたいと思える様になっていた。
でも今は自分のロードバイクがない。
借り物のロードバイクでレースに出て傷付けたら大変だ。
そこで、チーム走行会を開く事にした。
今日来たのは北見さんと木野さんと利男の3人。
後は西……ではなくて綾乃と呼ばなくてはいけなかったな。
慣れないが、呼び方を間違えたら帰ってからが怖い。
待ち合わせ場所に指定したコンビニで挨拶を交わす。
「おはようみんな」
「おはよう」
「おはようですよ」
「おう、みんな元気そうでなによりだ!」
「おはよう。今日はノノと一緒にご登場だな。ついに付き合う事になったのか、中杉君?」
みんな普通に挨拶しているのに、北見さんだけ一言多いのだよ。
「あのさ、北見。付き合っていないから。後、ノノ止めたから」
私の代わりに綾乃がやり返す。
待ってくれ、私には心の準備が出来ていない。
「付き合ってるとは思ってないって、少しだけからかっただけだけさ。ところでノノ止めたってなんだ? あだ名が恥ずかしくなるお年頃かい?」
「西野綾乃でノノだったからね。西野じゃなくなるから、ノノじゃないの」
「は、何言ってるんだ?! 結婚して名字変えちゃいますってか?」
「良く分かったわね。北見ってそういうの鈍いと思ってたわよ。付き合うのすっ飛ばして、猛士と結婚するから」
「「はぁーっ?!」」
北見さんと木野さんが大声を出す。
驚いて当然だよな、当事者の私ですら状況が分からないよ。
利男だけ何故か冷静なのが不思議だけど……
「お前ら恋愛のれの字すら見せてなかっただろが。一体なにが起きた!」
「そうですよ! さっき、つ、付き合ってないって言ってましたよね」
「そうよ。交際はしてないけど、結婚する事にしたから」
そういう言い方では伝わらないだろう?
2年間趣味のロードバイクで関わってお互い信頼出来ると感じたからとか、しっかり説明した方が良いのではないだろうか?
でも、口を挟んだら面倒だから口をつぐむ。
「ふっ、流石だな猛士。恋愛もスプリンターだったとはな。結婚というゴールに全力で飛び込む姿は、男の俺でも惚れるぜ!」
「あ、ありがとう」
利男に謎の好印象を持たれてしまった。
でも、結婚にスプリンターは関係あるのか?
「おいおい、利男! それはおかしいだろ? 猛士、いつプロポーズしたんだよ? プロポーズくらいしたんだろ?」
北見さんが必死に詰め寄ってきた。
そんなに驚く事だっただろうか……
プロポーズ……プロポーズみたいな事は言ったが、実際にはしていないと思う……
「そう言えば、プロポーズしてもらってないわね。私が決めちゃったから」
綾乃が北見さんに止めを刺す。
「はぁー、あーっ、かっ……」
余りの驚きで、北見さんの語彙力が崩壊したようだ。
いつもの皮肉が完封されている。
「プロポーズってDNS可能なんですかぁ……」
木野さんも泡を吹きそうな顔をしている。
『ドゥー・ノット・スタート』ってレースじゃないのだから。
結婚もレース用語で例えるとは、木野さんは完全にロードバイク脳だな。
まぁ、的確な例えではある。
プロポーズせずに綾乃に結婚を決められてしまった私は、出走前にリタイアしたのと同じだな。
彼女に決められたとは言ったが、しっかり受け入れたから、自分の意志でもあるのだがな。
「そ、そんな簡単に結婚を決めてよいのか……」
完全に人格崩壊した北見さんが良識的な事を言い出した。
「大丈夫でしょ。猛士部長だし、結婚生活で困る事はないでしょ。レースではぼろ負けだけど、仕事では最強だから」
「あ、あぁ、生活を考えているなら、良いよな……」
北見さんの声が小さくなっていく。
いや、良くない。照れ隠しで言ってるのだよな……綾乃?
しかし、こんなにやられている北見さんを見るのは初めてだな。
案の定、綾乃が勝ち誇った顔をしている。
あんまり虐めるなよ。
「さて、今日はお祝い走行だ! 俺が先導するぜ!」
利男が嬉しそうに走行準備を始めた。
「お、おう」
「はいです、はいです」
北見さんと木野さんも慌て準備を始める。
今日は海岸通りをメインにサイクリングだ。
予定通りのコースを順調に走り、途中で綾乃オススメのスイーツのお店で休憩した。
「ところで、レースは活動は再開するのか?」
「再開を考えてはいるけど、今は借り物のロードバイクしかないから遠慮している」
北見さんにレース活動について問われた。
当然だよな、レースチームなのだから。
それに落車以降、腑抜けていたからな。
「それなら丁度いいイベントがあるぜ」
「丁度いいイベント?」
「おう、来月参加予定のグランフォンドだ!」
利男が自信満々に言った。
「はぁ、グランフォンド?! 利男が?」
「なんだかイメージとは合わないですねぇ」
北見さんと木野さんが驚く。
グランフォンド……聞いた事はあるがどういうイベントだっただろうか?
ロードバイクには乗っているが、レース以外のイベントには興味が無かったから思い出せない。
私も北見さんと木野さん同様に、利男がレース以外のロードバイクイベントに参加している事は予想外だった。
「おいおい、俺がレース以外のイベントに参加するのが、そんなに驚く事かい? 最高のイベントだから、騙されたと思って参加してみろよ。新婚旅行にお勧めだぜ!」
「そうね、私も好きよグランフォンド」
綾乃が好きって事は……あれだよな。
私が苦手な山岳コースを思い浮かべる。
でも、折角利男に誘われたのだ。
「よし、折角だから参加しよう!」
私と綾乃は利男が参加予定のグランフォンドに参加する事にした。
北見さんは家庭の事情で、木野さんは他のレース日程と重なって参加出来ないのが残念だ。
だが、初めて参加するイベントなのだ。
ロードバイクは楽しみが尽きないな。
でも今は自分のロードバイクがない。
借り物のロードバイクでレースに出て傷付けたら大変だ。
そこで、チーム走行会を開く事にした。
今日来たのは北見さんと木野さんと利男の3人。
後は西……ではなくて綾乃と呼ばなくてはいけなかったな。
慣れないが、呼び方を間違えたら帰ってからが怖い。
待ち合わせ場所に指定したコンビニで挨拶を交わす。
「おはようみんな」
「おはよう」
「おはようですよ」
「おう、みんな元気そうでなによりだ!」
「おはよう。今日はノノと一緒にご登場だな。ついに付き合う事になったのか、中杉君?」
みんな普通に挨拶しているのに、北見さんだけ一言多いのだよ。
「あのさ、北見。付き合っていないから。後、ノノ止めたから」
私の代わりに綾乃がやり返す。
待ってくれ、私には心の準備が出来ていない。
「付き合ってるとは思ってないって、少しだけからかっただけだけさ。ところでノノ止めたってなんだ? あだ名が恥ずかしくなるお年頃かい?」
「西野綾乃でノノだったからね。西野じゃなくなるから、ノノじゃないの」
「は、何言ってるんだ?! 結婚して名字変えちゃいますってか?」
「良く分かったわね。北見ってそういうの鈍いと思ってたわよ。付き合うのすっ飛ばして、猛士と結婚するから」
「「はぁーっ?!」」
北見さんと木野さんが大声を出す。
驚いて当然だよな、当事者の私ですら状況が分からないよ。
利男だけ何故か冷静なのが不思議だけど……
「お前ら恋愛のれの字すら見せてなかっただろが。一体なにが起きた!」
「そうですよ! さっき、つ、付き合ってないって言ってましたよね」
「そうよ。交際はしてないけど、結婚する事にしたから」
そういう言い方では伝わらないだろう?
2年間趣味のロードバイクで関わってお互い信頼出来ると感じたからとか、しっかり説明した方が良いのではないだろうか?
でも、口を挟んだら面倒だから口をつぐむ。
「ふっ、流石だな猛士。恋愛もスプリンターだったとはな。結婚というゴールに全力で飛び込む姿は、男の俺でも惚れるぜ!」
「あ、ありがとう」
利男に謎の好印象を持たれてしまった。
でも、結婚にスプリンターは関係あるのか?
「おいおい、利男! それはおかしいだろ? 猛士、いつプロポーズしたんだよ? プロポーズくらいしたんだろ?」
北見さんが必死に詰め寄ってきた。
そんなに驚く事だっただろうか……
プロポーズ……プロポーズみたいな事は言ったが、実際にはしていないと思う……
「そう言えば、プロポーズしてもらってないわね。私が決めちゃったから」
綾乃が北見さんに止めを刺す。
「はぁー、あーっ、かっ……」
余りの驚きで、北見さんの語彙力が崩壊したようだ。
いつもの皮肉が完封されている。
「プロポーズってDNS可能なんですかぁ……」
木野さんも泡を吹きそうな顔をしている。
『ドゥー・ノット・スタート』ってレースじゃないのだから。
結婚もレース用語で例えるとは、木野さんは完全にロードバイク脳だな。
まぁ、的確な例えではある。
プロポーズせずに綾乃に結婚を決められてしまった私は、出走前にリタイアしたのと同じだな。
彼女に決められたとは言ったが、しっかり受け入れたから、自分の意志でもあるのだがな。
「そ、そんな簡単に結婚を決めてよいのか……」
完全に人格崩壊した北見さんが良識的な事を言い出した。
「大丈夫でしょ。猛士部長だし、結婚生活で困る事はないでしょ。レースではぼろ負けだけど、仕事では最強だから」
「あ、あぁ、生活を考えているなら、良いよな……」
北見さんの声が小さくなっていく。
いや、良くない。照れ隠しで言ってるのだよな……綾乃?
しかし、こんなにやられている北見さんを見るのは初めてだな。
案の定、綾乃が勝ち誇った顔をしている。
あんまり虐めるなよ。
「さて、今日はお祝い走行だ! 俺が先導するぜ!」
利男が嬉しそうに走行準備を始めた。
「お、おう」
「はいです、はいです」
北見さんと木野さんも慌て準備を始める。
今日は海岸通りをメインにサイクリングだ。
予定通りのコースを順調に走り、途中で綾乃オススメのスイーツのお店で休憩した。
「ところで、レースは活動は再開するのか?」
「再開を考えてはいるけど、今は借り物のロードバイクしかないから遠慮している」
北見さんにレース活動について問われた。
当然だよな、レースチームなのだから。
それに落車以降、腑抜けていたからな。
「それなら丁度いいイベントがあるぜ」
「丁度いいイベント?」
「おう、来月参加予定のグランフォンドだ!」
利男が自信満々に言った。
「はぁ、グランフォンド?! 利男が?」
「なんだかイメージとは合わないですねぇ」
北見さんと木野さんが驚く。
グランフォンド……聞いた事はあるがどういうイベントだっただろうか?
ロードバイクには乗っているが、レース以外のイベントには興味が無かったから思い出せない。
私も北見さんと木野さん同様に、利男がレース以外のロードバイクイベントに参加している事は予想外だった。
「おいおい、俺がレース以外のイベントに参加するのが、そんなに驚く事かい? 最高のイベントだから、騙されたと思って参加してみろよ。新婚旅行にお勧めだぜ!」
「そうね、私も好きよグランフォンド」
綾乃が好きって事は……あれだよな。
私が苦手な山岳コースを思い浮かべる。
でも、折角利男に誘われたのだ。
「よし、折角だから参加しよう!」
私と綾乃は利男が参加予定のグランフォンドに参加する事にした。
北見さんは家庭の事情で、木野さんは他のレース日程と重なって参加出来ないのが残念だ。
だが、初めて参加するイベントなのだ。
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