67 / 147
第四章【学園都市】
第六十六話 王位
しおりを挟む
「だから、返事がはいならこの指輪を首から下げて。結婚しても良いって思えるようになったら、将来指にしてほしい」
考える時間をくれてありがとう。
いきなり結婚してほしいって言われてたら、多分断ってたと思うから。
「はい。エリオネルのこと、まだ全部知らないけど、この先も一緒に居たい。だから、考えてみるね」
地球にまで行ってもいいなんて、エリオネル以上に俺を好きでいてくれる人なんているのだろうか?
胸がいっぱいになって、涙がポロっと溢れた。
「マリヤ!」
感極まったようにエリオネルが立ち上がって、抱きしめてくる。それに何だかまた泣けてきてしまった。
エリオネルが俺の髪を寄せて、首に指輪をつけてくれる。首に掛かった鎖にチュ、とキスされた。
「話がまだあるから、場所変えようか」
「うん?わかった」
ガゼボを後にすると、白黒の服を着たカップルが俺たちの居たガゼボに入っていった。あそこプロポーズする場所か!
何かジンクスでもある場所なのかもしれない。
俺たちは丘の中腹にある、ベンチに座った。
「マリヤに言わなきゃいけないことがあるんだ。もし、さっきの返事気が変わったら言って」
「うん?」
さっきよりも深刻そうなエリオネルに、ちょっと不安になる。
「私は、グラム・ヘブンの第三王子なんだ」
「へ?王子?」
思いもよらないところから話が来てビックリした。
「王位は欲しいけど、それ以上に大切な人ができたから、今は諦めてもいいと思ってる」
「王様になりたかったってこと?諦めるの?」
いきなりの大きな話に頭がついていかない。
「うん。王になりたいと思って、賢者を探す旅に出たから……」
「俺が地球に帰るから諦めるの?」
「それもあるけど、王位の条件である神の福音を受けた伴侶を探すための旅でもあったから。地球に帰るのでも、残るのでも諦めていいと思ってる」
そういや、奥さんの一番の条件金髪だってウィラちゃんが言ってたな。
授業で、"神の福音"と"精霊の福音"の違いを勉強した。神の福音は、神自ら福音を授けてその作用で金髪になるって言ってた。その他は全部精霊からの福音なんだそうだ。
「エリオネルはそれでいいの?」
「本当は少し、マリヤは神の福音を受けるんじゃないかって期待はしてる。でも、何も知らないマリヤに福音を受けさせたくなくて、私が王位を諦められるようになるまで話せなかった」
「王位諦めたから、プロポーズしてくれたの?」
今まで言ってくれなかったことに、少し腹が立ったけどエリオネルの言いたいことも少しわかった。
俺が福音受けて、それが神の福音で、それからプロポーズされていたら、俺は受け入れられなかったかもしれない。
逆に、王位を、この世界を諦めてくれるって言ってくれているエリオネルに心が動いていた。
「そうだよ。プロポーズと言っていいのかわからないけど、全部を捨ててでも、マリヤと一緒に居たいと思ったから」
「とりあえず、福音受けるわ」
「マリヤ?受けなくてもいいんだよ」
「いい、それくらい受ける。そういえば、黒の王子ってエリオネルのこと?」
アイシャさんが言ってたことをぼやーっと思い出す。
「そうだよ。神託覚えてるの?」
「ちょっとだけ」
「神託は、『黒の王子の伴侶になりし者を導き、運命を正せ。その者神の福音を受けし者なり』だよ。運命を正せとあるから、もしかしたら正せなかったのかもしれない。でも、私はマリヤが私の運命だと思ってる」
「なんか、俺じゃない感あるよなー」
「私はマリヤが精霊の福音を受けても変わらない自信あるよ」
そりゃ、地球についてくるくらいだもんね。俺もここに残るって断言できるくらい、エリオネルのこと愛せたらいいのになと思った。
今はまだ、地球が諦めきれない。家族や友だちだって居るから……
考える時間をくれてありがとう。
いきなり結婚してほしいって言われてたら、多分断ってたと思うから。
「はい。エリオネルのこと、まだ全部知らないけど、この先も一緒に居たい。だから、考えてみるね」
地球にまで行ってもいいなんて、エリオネル以上に俺を好きでいてくれる人なんているのだろうか?
胸がいっぱいになって、涙がポロっと溢れた。
「マリヤ!」
感極まったようにエリオネルが立ち上がって、抱きしめてくる。それに何だかまた泣けてきてしまった。
エリオネルが俺の髪を寄せて、首に指輪をつけてくれる。首に掛かった鎖にチュ、とキスされた。
「話がまだあるから、場所変えようか」
「うん?わかった」
ガゼボを後にすると、白黒の服を着たカップルが俺たちの居たガゼボに入っていった。あそこプロポーズする場所か!
何かジンクスでもある場所なのかもしれない。
俺たちは丘の中腹にある、ベンチに座った。
「マリヤに言わなきゃいけないことがあるんだ。もし、さっきの返事気が変わったら言って」
「うん?」
さっきよりも深刻そうなエリオネルに、ちょっと不安になる。
「私は、グラム・ヘブンの第三王子なんだ」
「へ?王子?」
思いもよらないところから話が来てビックリした。
「王位は欲しいけど、それ以上に大切な人ができたから、今は諦めてもいいと思ってる」
「王様になりたかったってこと?諦めるの?」
いきなりの大きな話に頭がついていかない。
「うん。王になりたいと思って、賢者を探す旅に出たから……」
「俺が地球に帰るから諦めるの?」
「それもあるけど、王位の条件である神の福音を受けた伴侶を探すための旅でもあったから。地球に帰るのでも、残るのでも諦めていいと思ってる」
そういや、奥さんの一番の条件金髪だってウィラちゃんが言ってたな。
授業で、"神の福音"と"精霊の福音"の違いを勉強した。神の福音は、神自ら福音を授けてその作用で金髪になるって言ってた。その他は全部精霊からの福音なんだそうだ。
「エリオネルはそれでいいの?」
「本当は少し、マリヤは神の福音を受けるんじゃないかって期待はしてる。でも、何も知らないマリヤに福音を受けさせたくなくて、私が王位を諦められるようになるまで話せなかった」
「王位諦めたから、プロポーズしてくれたの?」
今まで言ってくれなかったことに、少し腹が立ったけどエリオネルの言いたいことも少しわかった。
俺が福音受けて、それが神の福音で、それからプロポーズされていたら、俺は受け入れられなかったかもしれない。
逆に、王位を、この世界を諦めてくれるって言ってくれているエリオネルに心が動いていた。
「そうだよ。プロポーズと言っていいのかわからないけど、全部を捨ててでも、マリヤと一緒に居たいと思ったから」
「とりあえず、福音受けるわ」
「マリヤ?受けなくてもいいんだよ」
「いい、それくらい受ける。そういえば、黒の王子ってエリオネルのこと?」
アイシャさんが言ってたことをぼやーっと思い出す。
「そうだよ。神託覚えてるの?」
「ちょっとだけ」
「神託は、『黒の王子の伴侶になりし者を導き、運命を正せ。その者神の福音を受けし者なり』だよ。運命を正せとあるから、もしかしたら正せなかったのかもしれない。でも、私はマリヤが私の運命だと思ってる」
「なんか、俺じゃない感あるよなー」
「私はマリヤが精霊の福音を受けても変わらない自信あるよ」
そりゃ、地球についてくるくらいだもんね。俺もここに残るって断言できるくらい、エリオネルのこと愛せたらいいのになと思った。
今はまだ、地球が諦めきれない。家族や友だちだって居るから……
3
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
処刑されたくない悪役宰相、破滅フラグ回避のため孤独なラスボス竜を懐柔したら番として溺愛される
水凪しおん
BL
激務で過労死した俺が転生したのは、前世でやり込んだBLゲームの悪役宰相クリストフ。
しかも、断頭台で処刑される破滅ルート確定済み!
生き残る唯一の方法は、物語のラスボスである最強の”魔竜公”ダリウスを懐柔すること。
ゲーム知識を頼りに、孤独で冷徹な彼に接触を試みるが、待っていたのは絶対零度の拒絶だった。
しかし、彼の好物や弱みを突き、少しずつ心の壁を溶かしていくうちに、彼の態度に変化が訪れる。
「――俺の番に、何か用か」
これは破滅を回避するためのただの計画。
のはずが、孤独な竜が見せる不器用な優しさと独占欲に、いつしか俺の心も揺さぶられていく…。
悪役宰相と最強ラスボスが運命に抗う、異世界転生ラブファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる