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第二章 ~仲間~
38 ローラ&ランベルside②
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~お城近くの飯屋~
「――ホンっっトにアンタも馬鹿ねッ!!」
そこまで広くない店中に響き渡るローラの声。
「おいおい……急に大声出すなよな」
ランベルは口いっぱいに料理をほおばり、目の前で怒っているローラに視線をやる。
何やら怒り足りない様子のローラだが、周りからの冷たい視線に気づき仕方なく座り直した。
少しだけ声量を落としつつも怒りは抑えきれずローラはランベルに詰め寄る。
「出すに決まってるでしょ!どうすんのよ!」
「いや~……まさか“お金持ってくるの忘れる”とはな。ハハハッ!笑うしかねぇな」
「ぶっ飛ばすわよアンタ」
そう。
このソウルエンドのハンター達は通常、自らが持つハンタータグにランクや実績のデータが保存されている事は勿論、少しでもハンター達の手を空けようと他にも様々な機能が付いているのだ。
その一つがお金である―。
荷物にならないようハンタータグは財布代わりとしての機能もある。
クエストやダンジョンで手に入れたお金をそのまま保管でき、あらゆるところでの支払いに対応している。
ローラとランベルのハンタータグも当然そうなっているのだが、どうやらランベルは村を出る際に持っていこうとしていたお金を家に忘れてきたらしい。その為タグには150Gしか入っていなかった。
しかし目の前のテーブルには150Gでは到底払えない程の料理が……。
しかもほぼ綺麗に食べ終わってお皿を積み重ねていた。
ローラの所持金は先日のトワイライトでのゴブリン討伐クエストで手に入れた報酬5000G。それをレイと分けたので2500Gがローラの取り分であった。
そこに元々持っていた2000Gを足して合計4500G。
旅にはお金が掛かるのでこれからクエストで少しお金を貯めねばと思っていた矢先にこの事態になってしまった。
4500Gあれば普通の一回のご飯代などほぼ支払える額だ。それどころか余裕でお釣りが返ってくる。
なのにも関わらず今回ばかりはそれが出来ない。
何故ならランベルのお腹が空いていた事も勿論あるが、村を出て記念すべき一発目のご飯だからと訳の分からない景気を付けてランベルは料理を注文しまくったのだ。
いつでも村を出れる様にと貯めておいたランベルの資金。
いくら馬鹿なランベルでも自分の所持金とご飯代の計算ぐらいは出来る。確かにそれはちゃんと出来ていたのだが残念……お金自体を忘れてしまった。
本来持ってくるはずであった資金をちゃんと持ってきていれば余裕で支払えるのだが、そんな事をいくら嘆いてもしょうがない。
現実にはローラとランベル二人合わせて4650Gの所持金に対し、支払額5000Gオーバー。
「……よし。後でちゃんと返すから今だけお金貸してくれローラ!」
「馬鹿がッ!そういう問題じゃないでしょ!私とアンタの足してもそもそも足りてないのよ!」
「え⁉ それじゃ支払えないじゃん!」
「だからどうすんのよって言ってるじゃない!!」
ドンッと勢いよくテーブルを叩きながら怒るローラ。
またもや店中の視線を集めたのは言うまでもない。
「だから落ち着けって、な?どうするか一緒に考えよう!」
この瞬間ローラの中で何かがキれた―。
能天気なランベルに言葉を失ったローラは急に静かになり何を思ったか急にメニュー表を開いた。
「……こうなったらもうやヤケクソよ。どうせならもっと食べてやるわ」
とても悪い顔つきで不気味に笑いながら言うローラ。
その顔を見て一瞬ギョッとしたランベルだが、こうなったら出たとこ勝負だとその流れに乗りローラとランベルの二人はそこから更に料理やデザート、飲み物までも注文していった―。
~お城近くの飯屋~
「――ホンっっトにアンタも馬鹿ねッ!!」
そこまで広くない店中に響き渡るローラの声。
「おいおい……急に大声出すなよな」
ランベルは口いっぱいに料理をほおばり、目の前で怒っているローラに視線をやる。
何やら怒り足りない様子のローラだが、周りからの冷たい視線に気づき仕方なく座り直した。
少しだけ声量を落としつつも怒りは抑えきれずローラはランベルに詰め寄る。
「出すに決まってるでしょ!どうすんのよ!」
「いや~……まさか“お金持ってくるの忘れる”とはな。ハハハッ!笑うしかねぇな」
「ぶっ飛ばすわよアンタ」
そう。
このソウルエンドのハンター達は通常、自らが持つハンタータグにランクや実績のデータが保存されている事は勿論、少しでもハンター達の手を空けようと他にも様々な機能が付いているのだ。
その一つがお金である―。
荷物にならないようハンタータグは財布代わりとしての機能もある。
クエストやダンジョンで手に入れたお金をそのまま保管でき、あらゆるところでの支払いに対応している。
ローラとランベルのハンタータグも当然そうなっているのだが、どうやらランベルは村を出る際に持っていこうとしていたお金を家に忘れてきたらしい。その為タグには150Gしか入っていなかった。
しかし目の前のテーブルには150Gでは到底払えない程の料理が……。
しかもほぼ綺麗に食べ終わってお皿を積み重ねていた。
ローラの所持金は先日のトワイライトでのゴブリン討伐クエストで手に入れた報酬5000G。それをレイと分けたので2500Gがローラの取り分であった。
そこに元々持っていた2000Gを足して合計4500G。
旅にはお金が掛かるのでこれからクエストで少しお金を貯めねばと思っていた矢先にこの事態になってしまった。
4500Gあれば普通の一回のご飯代などほぼ支払える額だ。それどころか余裕でお釣りが返ってくる。
なのにも関わらず今回ばかりはそれが出来ない。
何故ならランベルのお腹が空いていた事も勿論あるが、村を出て記念すべき一発目のご飯だからと訳の分からない景気を付けてランベルは料理を注文しまくったのだ。
いつでも村を出れる様にと貯めておいたランベルの資金。
いくら馬鹿なランベルでも自分の所持金とご飯代の計算ぐらいは出来る。確かにそれはちゃんと出来ていたのだが残念……お金自体を忘れてしまった。
本来持ってくるはずであった資金をちゃんと持ってきていれば余裕で支払えるのだが、そんな事をいくら嘆いてもしょうがない。
現実にはローラとランベル二人合わせて4650Gの所持金に対し、支払額5000Gオーバー。
「……よし。後でちゃんと返すから今だけお金貸してくれローラ!」
「馬鹿がッ!そういう問題じゃないでしょ!私とアンタの足してもそもそも足りてないのよ!」
「え⁉ それじゃ支払えないじゃん!」
「だからどうすんのよって言ってるじゃない!!」
ドンッと勢いよくテーブルを叩きながら怒るローラ。
またもや店中の視線を集めたのは言うまでもない。
「だから落ち着けって、な?どうするか一緒に考えよう!」
この瞬間ローラの中で何かがキれた―。
能天気なランベルに言葉を失ったローラは急に静かになり何を思ったか急にメニュー表を開いた。
「……こうなったらもうやヤケクソよ。どうせならもっと食べてやるわ」
とても悪い顔つきで不気味に笑いながら言うローラ。
その顔を見て一瞬ギョッとしたランベルだが、こうなったら出たとこ勝負だとその流れに乗りローラとランベルの二人はそこから更に料理やデザート、飲み物までも注文していった―。
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