リヒトヴァルト王国の遊戯人

蓮条緋月

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Prologue 死の記憶

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 ——遊戯人

 それが俺、東雲澄貴しののめすみきの職業である。
 正式な職業はお悩み相談所の職員だ。通常のお悩み相談所と異なるのがお悩みの元を断つことも含まれるという点。お悩みそのものも条件があって、相談に来るのは痴漢の冤罪だったり屑に騙されたりした人だったりという所謂泣き寝入り案件を抱えている人だ。それで、そういう泣き寝入り案件って社会的にやられている場合が結構多い。痴漢冤罪がいい例だろう。あれまじで最悪だよな。ああいう輩がいるから本物の痴漢被害者が声を上げづらくなるって言うのに、そのことにも頭の回らない脳みそ足りないクズのせいで痴漢冤罪掛けられた人と本物の被害者が泣き寝入りするとかマジでないわ。被害者は社会的にも精神的にも傷をつけられたのに、加害者は悠々自適に普通の生活を送っているわけだ。だから加害者連中を様々な合法で痛めつけてやろうというとんでもない理念を抱えている企業がうち。自己中心的な感情で人の人生を奪うような輩に合法的で制裁を下していく、その理念と仕事内容からついたあだ名が遊戯人あそびにんというわけだ。
 ……。

 ……まあ、ここの職員は皆、屑を嘲笑うことが大好きな変人揃いだからある意味間違っていないのだけども。
 俺も昔から人を陥れるのが好きだった。正確に言えば自己保身や己の欲望から人を平気で陥れる人を陥れるのが好きってことなんだけど。そういう奴を徹底的に辱めるのってすげえ楽しんだよなぁ。だから悪役にざまぁする作品とか大好きだし俺自身も職場で普通にクズの末路の報告受けて大笑いしていたりする。俺だけじゃなくて俺の職場の連中全員がそうだ。ちなみに一番楽しそうに仕事して大笑いしているのは所長である。そりゃそうだわな。こんな相談所を創立する人だもんよ。……なんか今、名前と真逆だなこいつ、という言葉がどこからか聞こえてきたような……。うん、気のせいだな。

 今日は二週間前に入った痴漢冤罪の相談。その加害者を現行犯で逮捕させるための芝居をする日だった。まず相談者のことを調べたらめっちゃ真っ白。真面目に勤務して脱税も犯罪歴もなし。学生時代は常に成績優秀で家族だけでなく、ご近所さんにも可愛がられている人だった。性格も悪くない、というかどちらかと言えば気弱なタイプ。全く問題のない人だったからこそ、こんな人に冤罪被せやがった女の性格の悪さが際立つってわけで。しかもこの相談者、冤罪が原因で職場を解雇になっていた。ほんとさぁ……。
 痴漢冤罪を起こしやがったクソ女を相談者の情報をもとに洗い出し、あえて痴漢冤罪を被ってやり証拠と正論でもって論破したのと同時にクソ女との会話の録音。
 このご時世、電車やバス内に監視カメラが置かれていることは多い。そして大抵が痴漢冤罪を恐れて両手でつり革を持っていたり、両手でスマホをいじっていたりしている。例の相談者もそうだったという事実が監視カメラにばっちり映っていたので、相談を受けた日から集めていた証拠類……映像解析の結果とそれを丁寧に解説したものをそのままクソ女の家族と友人、職場と婚約者宛てにメールにて送信。警察にも同様の物と一緒に杜撰な捜査に対する嫌味を添えた書類を送りつけてやった。人様の税金使って無能晒してんじゃねえぞ。
 囮調査? を終えて相談所に向かう途中の交差点。酔っているのか、やたらと騒がしい声をBGMにあとは相談者の仕事の斡旋だな……なんて考えていた矢先。なにか焦るような大声がしたと思ったら背中に思い切り衝撃が走り、体が前に倒された。直後、体が宙に浮き、地面に叩きつけられたところで意識が途絶えた。

…………

……


 
「いや、どんな死に方だよ!」

 これが異世界に転生した東雲澄貴が前世の記憶を取り戻したとき、一番最初に発した言葉である。
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