【完結】旦那様、わたくし家出します。

さくらもち

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私、決めました

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殿下が婚姻無効の手続きを取ってくれた事はクリス兄様も聞いていたようでその夜は家族でお祝いをしてもらったわ。
その後サロンで今後のことを話したのだけれど、

「え?お母様のご実家??」
「ええ、クリスがね、リディと結婚出来る可能性を残しておきたいとワガママを言うのよ。」
この前お店をプレゼントしてもらった時に言っていた事は本気だったみたい。
このまま公爵家に養女として入ると兄妹になってしまうので、お母様のご実家の養女となってお兄様と婚約しないかというのだからびっくりしたわ。
殿下のはちょっと微妙ですが、一日に2人から婚約の打診があるだなんて。

「母上!私はリディの気持ちを無視する気は有りませんよ。」
「ですが、決めるのは早めの方が良いのだからクリスとの結婚は全く考えられないと言うのならこのまま我が家の養女として手続きをするわ。でも少しでもクリスの事を気に入ってくれているのなら今は実家の方に頼んでやっぱり兄としか見えないというのならば後に我が家で再度養女として手続きすればいいのだからね。」
困ったわ。お兄様には殿下とは違って傍にいると嬉しいし楽しいのでそれが家族としてなのか恋愛なのか分からないのだけれども好きだと思うの。

「クリス兄様と2人でお話してもいいですか?」
「もちろんだよリディ。さぁ温室で散歩しながら話そうか。」
お兄様ったらお母様が私の気持ちを無視して話を進めていることに怒っているみたいね。
でも婚姻無効となって実家も無くなった今このままだと平民なのに貴族の中に紛れ込んで居るとなるからお母様は早めに養女になって貴族籍をと思っている事くらいはわかってるわ。

「リディ、母上が強引ですまない。」
「クリス兄様、いいえ、クリス様私は恋愛という気持ちが分かりませんが今はクリス様となら穏やかで幸せな日々をコレからも過ごせるのではとは思っております。書類上では無くなった結婚では有りますが元夫とは数時間しか夫婦としては会話していませんでした。」
リリーとしてはそれ以上に関わっていたけれど世間話でしたから。
「うん。」
「それと比べるべきではないとは分かっていますが今幸せですよ?貴族は政略結婚がら当たり前ですが、そうではなく私の意思を大切にしてくれる家族が居る幸せっていいですよね。」
「そうだね、ウチは本人の意思を尊重する事を大切にする家風だしね。」
「だからこそ、他の家に恋愛をしたと思って嫁いでもっと酷い状態になるよりはここに居たいと、そんなずるい私はダメでしょうか?」
殿下が逃げ道を作ってくれたからこそこのような考えが出来ているのかもしれないです。
「リディがそれでいいのであれば何も言うことはないよ?俺たちはリディがマールブルク家で虐げられていることを知らず下手に口出し出来ないからとほっておいてしまった。殿下や王妃様もそれは今になって後悔しているんだ。」
そこまで私のことを気にかけてくれている人がいるとは知らなかった頃の自分に教えてあげたいわ。
「だからこそこれからは私たちに護らせて欲しい。殿下にこれ以上リディの事でかっこいい所を取られたくないしね。」
「でも、クリス様は私でいいのですか?」
「今まで結婚したいと思える女性には会えなかったんだ。シェーングレンの直系はね、お互いが納得した結婚をしないと子供が産まれにくいんだよ。」
なっ……
「気にしなくていい、正直もう結婚する気は無かったんだ。跡取りには遠縁の子でシェーングレン家の血が濃い子が産まれていたこら10年後も私が結婚していなければ引き取る予定だったんだ。」
「え……」
「もちろん不要なトラブルを避けるためにその事は相手方にはまだ伝えていないから心配ない。」
「もぉ、ついていけそうに無いですわ。」
でも不思議と不愉快とか思わないのですわ。
「えっ?リディ!?」
ふふ、焦っていらっしゃるのはちょっと可愛いらしい。
「ふふ、クリス様好きですよ。」
「り、リディ!好きだよ。」
こんな私でも幸せになっていいと言ってくれた人がいる。
殿下みたいに防波堤のような人もいる。
おにぃ…… クリス様のように包み込んでくれる人もいる。

コレから恋をするかもしれない、でもこの私にとって優しい空間は他には無いものだということはわかるわ。
だからこそ私はこのままここに閉じこもる事を幸せと思い選択するの。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ここでエンディングでもいいような感じですが!!!
やっぱりあの人の転落ざまぁwwwwは外せませんよね?(私も性格悪いわー)

という事でもう少しお付き合いください!!
エールありがとうございます!!
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