満月に吼える狼

パピコ吉田

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第三章 現る!過去の亡霊

第二話 母となった日

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 ドクターが言うには体力がかなり落ちていたようでしばらくは三人とも安静にしないといけないとの事だった。

 その際にギア子とぺんちゃんは赤ちゃんを授かっている事をドクターが教えてくれた。

 だが、メガ男とあれっくすが亡き今は素直には喜べなかったのであった。

 そして退院した後、しばらく落ち着くまで三人は政府が用意してくれた仮設住宅に住む事にした。

ぺん:あと数ヶ月で生まれると思うと楽しみだす。

ギア:私達がお母さんになるなんて何か不思議ね。

サクラ:でも、赤ちゃんが産まれたらここで暮らすにはちょっと狭いわよね。

 三人でどうするか悩んでいるとぺんちゃんが「そうだ!」と思い出したかのように話し出した。

ぺん:あの日の太陽の位置からするとたぶん私が住んでた家が残ってるはずだす。ギアっちとサクラさんが良ければ一緒にどうだすか?

ギア:それはナイスアイデア!ここじゃ狭いしぺんちゃんの家なら広いしみんなで暮らせそう。

サクラ:私で良ければ手伝いするわよ。

ぺん:決まりだす。

 三人は今後の事を前向きに考え始めていた。
 
 それからはぺんちゃんの家に何度か片付けに行き、みんなが何とか住めるようになって来ていた。

 その後は特に何もなく半年が過ぎギア子とぺんちゃんは臨月になり、もしも自分達に何が起きた時の為に子ども達の後見人になって欲しいとサクラは頼まれた。
 
サクラ:二人の子供なら是非。でも、まだ生まれる前なのにどうしたの?
 
ギア:ぺんちゃんと話してたんだけど、体調が実は良くないの。
 
ぺん:そうなんす。なんつーか、体がお年寄りみたいに重いんだす。
 
ギア:うん。それで心配になってぺんちゃんと決めた。
 
サクラ:そうだったのね。セラちゃんに貰ったリングも限界があったようね。
 
ギア:黒かったダイヤが今は真っ白だもんね。
 
ぺん:何度かパワー貰っただすが最近はまったく感じられないっす。
 
サクラ:きっと臨月に入って体が重いせいよ。
 
ぺん:そうなら良いんだすが・・。

 出産日の当日にサクラは立会う事になり、生まれるまで落ち着かない様子で待合室にいたのであった。

 先にギア子の手術室から産声が聞こえた。

 サクラが待っていると助産婦さんが「元気な男の子ですよ」と中に案内してくれた。

ギア:メガたんはいないけどこの子の為なら何でもするわ無事に産まれて良かった。

サクラ:メガ男さんに目元が似てるわ、ギア子よく頑張ったわね。後はぺんちゃんね。

ギア:まだ歩けそうにもないからサクラが様子見に行ってあげて。

サクラ:分かった!少し休んでてね。

 その数分後にぺんちゃんの赤ちゃんも生まれ、女の子を抱いた助産婦さんが現れた。

 無事に二人とも出産を終えサクラはこれからの生活に期待を膨らませていた。

 出産後はギア子とぺんちゃんは元気そうに見えたのだな、翌日に突然電池か切れたように心臓が止まり二人とも帰らぬ人になった。
 
 サクラはその日から二人の赤ちゃんの母になったのであった。

 ギア子とぺんちゃんの遺骨を持ってサクラは仮設住宅で一人泣いていた。

 そして一人で思いを巡らせていた。

 釈迦頭財団に関わってなければみんな助かったのではないか。

 でも、きっとギア子はもし関わるなと言っても、ゆきや美奈子の事は放っておけなかったであろう。

 ギア子達との楽しい思い出ばかりが蘇り、あの頃の事が懐かしくもあり、今となっては遠い過去のように思えた。

 だが、ギア子とぺんちゃんが残した赤ちゃんをこれから育てていかなくてはならない思うと自然と涙が止まった。

 本人達の希望でギア子の息子は頼電、ぺんちゃんの娘は小夏と名付けられてた。

 サクラはぺんちゃんから預かった家の鍵を握りしめた。

サクラ:二人の為にも頑張らないとね。

 無理やり自分の気持ちを奮い立たせた。

サクラ:頼電と小夏、私に力を頂戴。

 サクラは二人の手をそっと握った。

 すると頼電と小夏は小さい手でサクラの指を握り返した。

サクラ:ありがとう。明日は新しい家に行くからね。

 翌日に手続きを行い荷物をまとめると、ぺんちゃんの家へと向かうサクラであった。

つづく
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