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第三章『遊学』~魔竜の集う国・ガデルフォーン~
ガデルフォーン皇都散策
しおりを挟む――Side 幸希
「皇宮の静けさとは違って、こっちは結構な活気があるんですね」
「皇都の区域によって違いはあるが、この中心地のあたりは普段から賑わっているな」
ガデルフォーン皇国の城下へと訪れた私達は、ウォルヴァンシア王国と同じように賑わっている街中をルイヴェルさんに案内されながら散策をする事になった。
静かに佇むガデルフォーン皇宮の正面の門から下へと続く長い階段を過ぎ、表側の世界となんら変わりのない明るく活気のある世界に溶け込んでいく。
皇都の中心地までの道のりを興味深く見まわしながら進み、巨大な時計塔と噴水が私達を出迎えてくれた。出店も沢山出ているし、皆とっても楽しそう。
皇宮からこの中心地までは一本道で迷わずに来れるけれど、他の道に逸れてしまうと、入り組んで複雑な道などに囚われてしまい、下手をすると迷子になってしまうのだとか。
「必要な店の類は大通りの周囲にあるからな。観光客の類でわざわざ自分から別の道に迷い込もうとする物好きはいない」
「つまり、この中心地が見える大通りの並びを歩いていれば安心って事ですね」
「でもよぉ……、ちょっと別の道にも行ってみたくなるよな」
「カイン皇子……、そういう好奇心は為にならないぞ」
つい、大通りから逸れた路地の方を眺めてそう言ったカインさんに、やれやれとレイル君が別方向に行きかけているその足を強制的に安全なルートへと引き戻した。
ルイヴェルさんから闇町と呼ばれる区域で起きた怖いお話を聞いているのに、まったく……。
中心地の大広場でこれからの滞在期間で利用するだろう主なお店などについて教えて貰い、一軒一軒まわっていきながら時を過ごしていると、やがてお昼の時間を告げる鐘の音が鳴り響いてきた。
「あ~……、なんか腹減ってきたな。おい、ルイヴェル、なんか奢ってくれよ」
朝早くに出発して、ガデルフォーンに到着早々大量の触手に襲われて、そういえば……、それから少しお茶を飲んだだけで何も食べてなかったんだった。
カインさんのお腹から、ぐぅぅぅ……と、素直な主張が聞こえてくる。
その音に興味を示したらしき小さな動物が、白いふわふわの尻尾を揺らしながら寄ってくると。
「痛だだだだだだだっ!!!!!」
「か、カインさんっ!! 大丈夫ですか!?」
「ほぉ……。この皇都でシャルニャを見かけるとはな。カイン、懐かれているようだぞ? 良かったな」
「いやいや!! ルイヴェル!! 冷静にコメントしてる場合じゃないだろう!! 大丈夫か!? カイン皇子!! 足にぐっさりシャルニャの牙が突き刺さってるぞ!!」
大慌てでレイル君が真っ白な小さい身体の、見た目的には子猫によく似た愛らしい動物を引き剥がしにかかった。うわぁ……、姿は可愛いのに、やってる事が凶悪!!
カインさんの右足に鋭く長い牙を突き刺しており、なんだかとっても嬉しそう。
「そいつは長いその牙を自由に短くしたり長くしたりと出来る類の動物だ。普通は皇都の近くにある森に生息しているはずなんだが……」
『キュィィ~っ!!』
レイル君の奮闘にも抗う驚異のもふもふ動物!!
私も引き剥がす作業を手伝ったけれど、全然ビクともしない!!
見かねたルイヴェルさんが子猫によく似たシャルニャの尻尾に手を伸ばし、――むぎゅ。
ビリリッと、何か電流でも走ったかのように小さな身体が震え、ずるずるずる……。
「た、助かった……!!」
「まだ子供のようだが、親とはぐれたと見て良いだろう。保護しておくか」
「ルイヴェル……、確かにシャルニャの保護も大事だが、カイン皇子の治療を」
「ん? あぁ、安心しろ。舐めておけばすぐに治る」
「ダクダク大量出血してんだよ!! この野郎!!」
無慈悲な王宮医師様に怒声をぶつけながら右足の傷口へと自分で治療を始めたカインさんの主張は当然だけど、ルイヴェルさんは気絶しているシャルニャを腕に抱き飄々としている。
カインさんもレイル君も治癒の術を使えるけれど、やっぱりお医者様であるルイヴェルさんに傷を癒して貰った方が効果抜群なのだとか。
それから普段通りのじゃれ合いが少しの間繰り広げられ、綺麗に傷口を癒して貰ったカインさんと疲れ顔のレイル君と共に、私はルイヴェルさんの案内で大食堂へと向かう事になった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「いらっしゃ~い!! 空いてる席に座っておくれ!!」
大食堂の中では、女将さんらしき人が愛想の良い大声で入って来た私達を出迎えてくれた。
やっぱりお昼時ともなると人の混み具合が半端ないというか、席を探すのにも一苦労。
とりあえず落ち着けそうな窓側の席へと向かい、私とカインさん、目の前の席にレイル君とルイヴェルさんが腰を下ろした。
「好きな物を注文しろ。ここはメニューの種類も多いが、味も保証付きだ」
「ルイヴェルの奢りで好き放題食ってやろうぜ」
「カイン皇子、まださっきの事を根に持っているんだな? すぐに治療してくれなかった上に、いじられまくったから」
「ふんっ、こういう時は年上が気ぃ利かせるもんだろうが」
「はは……。えーと……」
まぁ、最初から奢って貰う気満々だったカインさんだけど、ようやくお腹を満たせる時が来たとばかりに嬉々としてメニュー表に視線を走らせ始めた。
私も手に取ったその中身を見ているけれど……、う~ん、ウォルヴァンシア王国の料理とはまるで違う名前ばかりがずらりと。
「ユキ、選べそうか?」
いち早くメニュー表を木製のテーブルの上に置いたルイヴェルさんが、その腕に抱いたシャルニャちゃんの毛並みを撫でながら尋ねてきた。
どんな料理かわからない事には注文のしようがない。
私は開いたままのメニューを置き、困惑顔で質問をしてみる事にした。
「すみません、ルイヴェルさん……。種類が多すぎて選べないっていうのもあるんですけど、まずどんな料理なのか、名前からじゃわからなくて」
「カイン、レイル、お前達の方は?」
「あ? 俺は適当に肉料理のジャンルから選んだぜ」
「俺も知っているメニューがあったからな。それを頼む事にした」
異世界エリュセード生まれの二人は、自分の中にある知識とメニューを照らし合わせて選ぶ事が出来たらしい。私もウォルヴァンシア王国の料理なら、ある程度はわかるようになったのだけど。
うん、やっぱりまだ食材に関して知識が足りていないようだ。要・努力。
ルイヴェルさんも私が困る事を見越していたようで、適当に何品か選ぶと女将さんらしき二十代半ば程の女性を呼び寄せて全員分の注文を済ませてしまった。
あとは運ばれてくるのを待つだけ。ほっとしながら窓の外へと視線を向ける。
大通りに面している大食堂から見える景色は、誰もが幸せそうに話をしながら歩いているものだ。
ウォルヴァンシアとは違う、裏側の世界。本当に他国の地に来たのだと、改めて実感する。
「ユキ、カイン、レイル、悪いが少し席を外させて貰う。セレス姉さんから通信だ」
「あ、はいっ。行っていらっしゃいませ」
「おう。勝手に食べとくから気にせずに行って来いよ」
「セレスフィーナによろしく伝えてくれ」
この混雑した喧噪の中では落ち着いて話も出来ないからと、ルイヴェルさんはシャルニャを私の腕の中へと渡して大食堂を出て行ってしまった。
あぁ、もふもふの……、真っ白い毛並みの手触りに心が蕩けそう。
「てかよ……、小動物なんか店に入れていいのかよ」
「確か……、店の入り口に『小動物までなら可』と看板に書かれていた気がするな」
「と、とりあえず、食事が来たら私の隣に寝かせておきますね」
禁止されていないようで良かった、と胸を撫で下ろしながら食事が来るのを待っていると、女将さんがその両手に銀の大きなトレイと注文の品を持って近付いてきた。
体格は良いけれど、よくあんなに沢山の量を持ち運べるなぁ……。
「あいよ!! ご注文の料理只今とうちゃ~く!!」
「あ、ありがとうございますっ」
「サンキュ」
「有難う」
ドン! ドン! ドドン!! そんなリズムと共に置かれた料理の数々。
お肉料理の香ばしい匂いが濃厚に鼻を擽り、こんがりと焼き上げられたその表面には、たっぷりとタレが惜しみなくかけられている。
これはカインさんが頼んだ料理かな。それから、熱々のグラタンぽい料理や、具だくさんのパスタやふかふかのパン。目にしてみれば慣れ親しんだ顔が並んでいたわけだけど、メニュー表からは食材の知識が私の中にあまりなかったせいか、あまりよく分かっていなかった。
で、どれも美味しそうで堪らない料理の数々なのだけど……、ひとつ、難点が。
「レイル君、量……、多いと思わない?」
「……そう、だな。確かに、これは」
「メニュー表見返してみたんだけどよ……、今日、女将の愛情たっぷり大盛りデーらしいぜ」
「「なんと……っ」」
注文する事に一生懸命で、そういうサービスデーの類の表示に全然気付いていなかった。
とりあえず、それぞれの注文分を自分の目の前へと移動させていく。
カインさんは育ち盛りの男の子の様にお肉メインを主張した料理が大半だけど、レイル君の方はとろりとしたチーズとベーコンと一緒に作られたグラタンと、あっさりした瑞々しい野菜のサラダなどなど。
「ルイヴェルさんのは……」
と、残りの注文品を見た私は、二人分の同じメニューが揃っている事に気付いた。
ふわふわとろとろのオムライスと、ポテトサラダの組み合わせ。それが二品ずつ。
これもやっぱり一人分とは思えない大きさと山盛りの量……。
でもまぁ、ルイヴェルさんが同じ物を頼んでおいてくれて助かったかもしれない。
私は迷わずそれぞれの席へと移動させ、お待ちかねの昼食を口にする事になった。
銀のスプーンを手に、溶け込んでいくかのような触感のオムライスをひと口分。
「んっ、……美味しいっ」
「くぅぅぅっ!! なんだよこれ!! マジすっげぇ美味い!!」
「こんなに混雑している店内だというのに……、調理スピードも速い上に味も抜群とは、凄いな」
これなら、一食分と言わず二食分でもいける!!
私達三人は料理への賛辞と共にパクパクと美味しい料理を平らげていった。
……しかし。
「おぉいっ!! もう無理すんな!! 腹壊すぞ!!」
「だ、大丈夫、です……。人に作って貰った物は、残さず食べるのが我が家の教訓なので、うっぷ……、それに、あと、少し、ですから」
「ユキ!! それは時と場合による!! カイン皇子!! ユキの皿をこっちに!! 流石にこれ以上口にしたら大変な事になってしまう!!」
「おう!! 任せろ!!」
スプーンを手にぷるぷると震えながら完食を目指していた私は、すでに限界間近。
美味しいから全部食べられるなんて、所詮は幻想だった……。
どんなに魅惑的な味をしていても、それを収める胃には限界があるのだから。
けれど、お母さんの教えに背くわけには……。
手を伸ばし、カインさんに奪われたお皿を取り戻そうと動いたけれど、……あ、無理。
「うぅ……。ぎぶあぁっぷ」
「ユキ、心配すんな。あとは俺がお前の仇を討ってやるからよ」
「カインさん……」
バタリとテーブルに顔を突っ伏した私は、心の中で白旗を振りながら息を吐いた。
そういえば……、外に出たルイヴェルさんはまだ戻って来ないのだろうか。
すでに三十分以上の時間が経過しているというのに、大食堂の中へと入ってくるその姿はない。
あ……、なんか、お腹が痛くなって、うぅっ。
「ユキ……、大丈夫か?」
「食事の時にまで頑固を発揮するとはなぁ……、本当凄ぇ女だよ、お前は」
「ご迷惑をおかけして……、すみま、せん」
横で大盛りの料理と格闘をしていたカインさんに背中を擦られ、よくやった、と慰めの言葉をかけられる。うん、……この二十年生きてきて、初めての大暴食をやってしまったと思う。
それに、食べる事に必死で忘れていたけれど、今日食べた分の負荷が翌日私の体重にどう表れてしまうのか、色々と心配事も。
「ユキ、本当に大丈夫か?」
「うん……、大丈夫だよ、レイル、君」
「不味いな、顔色が悪い。カイン皇子、ユキの事を頼む。俺はルイヴェルを呼んでくるから」
食べ過ぎた私の身体を心配して、レイル君が席を立った、――その時。
「お薬が必要かな?」
私達のいる席へと歩み寄って来た……、青色の髪の男性。
ニッコリとした微笑と共にテーブルへと片手を着いた見知らぬ男性が、弱々しく顔を上げている私を正面から見据えた。綺麗な……、アイスブルーの瞳の人。
吸い込まれそうな程に不思議な魅力のある瞳の男性が、ウォルヴァンシアにいるアレクさんと同じような騎士服に似た、白と青、それから紫のラインと紋様の入った上着の中から何かを取り出した。
「貴方は……」
レイル君が突然現れた見知らぬ男性を前にし、知り合いにでも会ったかのような顔になった。
騎士服風の男性も笑みを深め、何故か口元に指先を添えてそれに応えてみせると、手にしたケースの中を軽く振ってみせ、問いをひとつ。
「粉薬と錠剤、またはカプセル系、どれがいい?」
「え……」
「おい、何なんだよ、テメェ……」
見知らぬ他人への警戒心を露わにしたカインさんが、私のその背へと庇ってくれた。
多分、声をかけてきたその男性は、親切心で私に何か胃薬でもくれようとしているのではないだろうか。けれど、知らない人から貰って良いわけもなく、カインさんが警戒するのも当然なわけで……。
「あの、……貴方は?」
私がどうにか声を絞り出して尋ねると、青い髪の男性はカインさんのあからさまな反応に苦笑を零した。怒っているわけでも、気分を害したわけでもない、柔らかな気配。
「通りすがりのお医者さんだよー。こんな恰好だけど、一応医者も兼業してるんだ」
「はぁあ? 騎士みたいな恰好しといて医者だぁ? なんか胡散臭ぇなぁ」
「カイン皇子、彼は怪しい者じゃない。薬を受け取っても大丈夫だ」
「レイル?」
警戒心を露わにしているカインさんをその手で制し、レイル君が男性から薬を受け取った。
やっぱり知り合いだったんだ……。ぼんやりと三人のやり取りを見ていた私は、差し出された粉薬の包みを受け取り、用意して貰ったグラスの水と一緒にゴクリ……。
「ん……」
特に苦味などの類を感じる事もなく、薬は私の体内へと流れ込んでいった。
「律儀に出された物を全部食べ切ろうとするその心根は評価するけど、駄目だよー? 食べられない量だったなら、その時は出来る範囲で食べてご馳走様しないとね」
「す、すみません……。それと、お薬、ありがとうございました」
「どういたしまして。あげた薬だけど、少しずつ身体が楽になってくるはずだから、もう少し我慢してね」
「はい……」
自業自得でカインさんとレイル君、挙句の果てには見知らぬお兄さんのお世話になるなんて……。
はぁ、次から気を付けよう。流石にこの量の食事は無謀だった。
ところで……。
「レイル君のお知り合い、なんですか?」
「まぁ、そんな感じだねー。とは言っても、軽く挨拶を交わした事があるくらいの知り合いだけど」
「あぁ、親しく話をさせて貰う機会はあまりなかったな」
「で? 結局こいつは誰なんだよ……」
私もそれが知りたい。カインさんと一緒にじーっと青い髪の男性を見ていると、その人は茶目っ気のある笑みで右手をひょいっと持ち上げて……、
「そ・れ・はー、また次回!」
「「ええ?」」
「また後で会おうねー」
「「えぇえええええええ!?」」
まさかの一瞬で遥か彼方に逃げられてしまった!!
一体どういう事なのか、レイル君に疑問を向けてみたけれど、困った顔で誤魔化されてしまう。
「本人がまた次回と言っていたからな……。多分、まだ言うなという事なんだろう」
「知ってんだろ?」
「まぁ、一応……。とりあえず、今日か明日にはまたすぐに会えるだろう。それまで何も聞かないでくれ」
「はぁ、もったいつけやがって……、まぁ、ユキの具合が良くなるんなら良いけどよ」
カインさんはどかりと座り直すと、ふぅ……と、気だるげに息を繰り返しながら突っ伏している私の背中を優しく撫で擦ってくれた。
レイル君の知り合いの男性……、騎士風の身形(みなり)をしているのに、お医者さんでもある人。
優しい印象のある人だったけど、ガデルフォーン皇宮の関係者、なのかな。
徐々に身体を苛んでいた辛さが和らぎ、五分ほどしてからようやく上体を起こす事が出来た。
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