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第58話 その後の世界へ その3
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ゼムドは龍の住まう土地へ到着し、ファルデザートと会話を始めていた。
ファルデザートが驚愕して質問する。
「じゃあ、六人を半死にして、魔族どものいる場所へ放り投げて来たのか?」
「そうだ。いつものことだ。あいつらも何か技術の向上があれば、俺に戦いと挑むし、俺も何か思いつけばあいつらで技を試す。この三千年間、それを繰り返してきた。魔族は瀕死になると生命維持のために寿命を削って、回復を急ごうとする。半殺しにして、魔族のいるところに放り込んでおけば回復は早まるだろう。それぞれのダメージ具合から、死なないような魔族がいるところへは放り投げたから死にはしないだろう。また喰らった技の解析も早まるずだ。魔族特有の強烈な生存本能が機能して、回復後に相手を上回ろうとする」
「それは寿命を捨てるということか?」
「俺たちは老衰では基本的に死ねない。必ず最後は誰かに殺される。お前たちと違って、寿命に意味があるわけじゃない。むしろ、ある時点で少しでも強くなれる方が、長期的には長生きできる可能性が高まる。お前たちとは生存環境が根本的に異なる。俺たちの寿命は10万年程度と言われているが、老衰で死ぬならもっと長く生きられるはずだ」
「……」
ファルデザートは思う。
なるほど、これは強くなるわけだ。しかも、この三千年は互いに技を掛けあうことで、さらに技術を磨くようなったか。
やはりこいつらは〝危険〟だ。
放置するわけにはいかない。
現時点ではゼムドが頂点に立って、魔族の暴走を抑えることができるが、ゼムドの死後、あるいは他に強い魔族が発生して、そいつが世界の均衡を崩そうとするなら放っておくわけにはいかない。
それにゼムドもまだ不安定だ。
あのエルフが、誰かに殺されでもしたらどうなるか分からない。
ゼムドも子供過ぎる……
そう思っていると、ゼムドが話し始めた。
「お前が俺の今の発言を聞いて、何を考えたかは大体分かる。俺が生きているうちは世界のバランスは力で保てるだろう、ただ、その後はどうなるか分からない。だから、俺はあいつらを人の地へ連れていくことにした。あいつらのような奴らが今後も現れて、自由勝手に生きるとするなら、世界に異変が生じることになる。だが、人の世界を知って戦うこと以外の事を覚えれば、世界を壊そうとしないと思う。それに掛けてみたい」
「具体的にどうするつもりだ?」
「まず、あいつらの魔力を完全に抑える。今のままでは人の地へ近づくだけで、人が死ぬ。俺のように人へ近づいても人が死なないように魔力をコントロールさせる必要がある。戦闘時に気配を消すことは必要にもなるから、当然、魔力を抑えることはあいつらもできる。ただ、日常生活の何気ない動作で魔力を放出した時に、それで人が汚染されるようでは困る。その意識を改めてもらう必要がある」
「それにはどれくらい掛かる?」
「おそらく1~2年程度だろう。ただ、一人、男の子の魔族がいるが、こいつは問題ない。今すぐに人の地へ連れて行っても問題は起こさないだろう。しかし、こいつを教育係にして、残りの五人の意識改革をする。しばらくは人の地へ近づけさせない」
「ふむ、まぁ、それがいいのだろう。おまえがやりたいようにやれ。それよりも、お前が云う個々の尊厳とやらをどうして欲しいのか具体的に言え」
「おまえたち龍種は戦争を禁じたが、これは本来、獣族の本能を消す行為だ、奴らは戦いを好む。これを押さえつけるのは好ましくない。闘いを推奨する」
「待て。三千年前に確かに我らが戦争を禁じたが、それはそれなりに理由があってのことだ。おまえが守っている人族も世界各地に点在して、強い種から逃げるように生きていた。そのような種を保護してやる意味合いもあった。単に戦いを認めればそれらの者達が死に瀕することになる」
「いや、闘いは認めると言ったが、他種族を蹂躙するのは認めない。ただ、一方で領土の拡大については自由競争にする。具体的には、闘技大会を開く。各種族からメンバーを選抜してそのメンバー同士を戦わせて、勝ったところが負けたところから領地を奪う、あるいは金銭を奪う。ルールは適当だ。お互いが殺し合いをしたいなら殺し合いを認める。殺し合いをしたくないなら、認めない。死にそうになったら俺が守ってやってもいい」
「……」
「男の子の魔族はケリドというが、こいつは何故か魔族にしては獣族と交流がある。こいつにも協力してもらって、闘技大会を開くつもりだ。ケリドは様々な方面に詳しい。闘技場の建設から大会の運営手法まで興味を示すだろう。龍種から、何か案はあるか?」
「……いや、無い。おまえがやりたいようにやってみろ」
「あと、お前たち龍族には、各獣族の代表に、お前たち名義でこの闘技大会の参加について提起してもらう。俺のことについて知っている獣族はそれほど多いわけじゃない。お前の発言の方が影響力は大きいだろう」
ファルデザートは、ふむ、と思う。
まぁ、問題が起きるかもしれないが、ゼムドがやりたいというならそうしてやろうと思う。
「構わん。やってやろう。それより少し気になることがある。お前が魔族を倒す時に使ったという魔法に興味がある。それはどういう魔法だ?」
それを聞くとゼムドは立ち上がって、魔力を放出し始めた。
「おいおい、待て。我らは別に首を折られなくても魔法を見せてもらえば理解しようとする。魔法の一つを聞くだけで、首を折られるのは敵わん」
そう言うとゼムドは魔力を抑える。
そして一言。
「そうか」
ファルデザートはやれやれ、と思う。
やはりゼムドもまだ子供だ。
他人の立場で考えるという点では全く話にならない……。
気を付けないとこっちもケガをしてしまうな……。
そう思うファルデザートであった。
ファルデザートが驚愕して質問する。
「じゃあ、六人を半死にして、魔族どものいる場所へ放り投げて来たのか?」
「そうだ。いつものことだ。あいつらも何か技術の向上があれば、俺に戦いと挑むし、俺も何か思いつけばあいつらで技を試す。この三千年間、それを繰り返してきた。魔族は瀕死になると生命維持のために寿命を削って、回復を急ごうとする。半殺しにして、魔族のいるところに放り込んでおけば回復は早まるだろう。それぞれのダメージ具合から、死なないような魔族がいるところへは放り投げたから死にはしないだろう。また喰らった技の解析も早まるずだ。魔族特有の強烈な生存本能が機能して、回復後に相手を上回ろうとする」
「それは寿命を捨てるということか?」
「俺たちは老衰では基本的に死ねない。必ず最後は誰かに殺される。お前たちと違って、寿命に意味があるわけじゃない。むしろ、ある時点で少しでも強くなれる方が、長期的には長生きできる可能性が高まる。お前たちとは生存環境が根本的に異なる。俺たちの寿命は10万年程度と言われているが、老衰で死ぬならもっと長く生きられるはずだ」
「……」
ファルデザートは思う。
なるほど、これは強くなるわけだ。しかも、この三千年は互いに技を掛けあうことで、さらに技術を磨くようなったか。
やはりこいつらは〝危険〟だ。
放置するわけにはいかない。
現時点ではゼムドが頂点に立って、魔族の暴走を抑えることができるが、ゼムドの死後、あるいは他に強い魔族が発生して、そいつが世界の均衡を崩そうとするなら放っておくわけにはいかない。
それにゼムドもまだ不安定だ。
あのエルフが、誰かに殺されでもしたらどうなるか分からない。
ゼムドも子供過ぎる……
そう思っていると、ゼムドが話し始めた。
「お前が俺の今の発言を聞いて、何を考えたかは大体分かる。俺が生きているうちは世界のバランスは力で保てるだろう、ただ、その後はどうなるか分からない。だから、俺はあいつらを人の地へ連れていくことにした。あいつらのような奴らが今後も現れて、自由勝手に生きるとするなら、世界に異変が生じることになる。だが、人の世界を知って戦うこと以外の事を覚えれば、世界を壊そうとしないと思う。それに掛けてみたい」
「具体的にどうするつもりだ?」
「まず、あいつらの魔力を完全に抑える。今のままでは人の地へ近づくだけで、人が死ぬ。俺のように人へ近づいても人が死なないように魔力をコントロールさせる必要がある。戦闘時に気配を消すことは必要にもなるから、当然、魔力を抑えることはあいつらもできる。ただ、日常生活の何気ない動作で魔力を放出した時に、それで人が汚染されるようでは困る。その意識を改めてもらう必要がある」
「それにはどれくらい掛かる?」
「おそらく1~2年程度だろう。ただ、一人、男の子の魔族がいるが、こいつは問題ない。今すぐに人の地へ連れて行っても問題は起こさないだろう。しかし、こいつを教育係にして、残りの五人の意識改革をする。しばらくは人の地へ近づけさせない」
「ふむ、まぁ、それがいいのだろう。おまえがやりたいようにやれ。それよりも、お前が云う個々の尊厳とやらをどうして欲しいのか具体的に言え」
「おまえたち龍種は戦争を禁じたが、これは本来、獣族の本能を消す行為だ、奴らは戦いを好む。これを押さえつけるのは好ましくない。闘いを推奨する」
「待て。三千年前に確かに我らが戦争を禁じたが、それはそれなりに理由があってのことだ。おまえが守っている人族も世界各地に点在して、強い種から逃げるように生きていた。そのような種を保護してやる意味合いもあった。単に戦いを認めればそれらの者達が死に瀕することになる」
「いや、闘いは認めると言ったが、他種族を蹂躙するのは認めない。ただ、一方で領土の拡大については自由競争にする。具体的には、闘技大会を開く。各種族からメンバーを選抜してそのメンバー同士を戦わせて、勝ったところが負けたところから領地を奪う、あるいは金銭を奪う。ルールは適当だ。お互いが殺し合いをしたいなら殺し合いを認める。殺し合いをしたくないなら、認めない。死にそうになったら俺が守ってやってもいい」
「……」
「男の子の魔族はケリドというが、こいつは何故か魔族にしては獣族と交流がある。こいつにも協力してもらって、闘技大会を開くつもりだ。ケリドは様々な方面に詳しい。闘技場の建設から大会の運営手法まで興味を示すだろう。龍種から、何か案はあるか?」
「……いや、無い。おまえがやりたいようにやってみろ」
「あと、お前たち龍族には、各獣族の代表に、お前たち名義でこの闘技大会の参加について提起してもらう。俺のことについて知っている獣族はそれほど多いわけじゃない。お前の発言の方が影響力は大きいだろう」
ファルデザートは、ふむ、と思う。
まぁ、問題が起きるかもしれないが、ゼムドがやりたいというならそうしてやろうと思う。
「構わん。やってやろう。それより少し気になることがある。お前が魔族を倒す時に使ったという魔法に興味がある。それはどういう魔法だ?」
それを聞くとゼムドは立ち上がって、魔力を放出し始めた。
「おいおい、待て。我らは別に首を折られなくても魔法を見せてもらえば理解しようとする。魔法の一つを聞くだけで、首を折られるのは敵わん」
そう言うとゼムドは魔力を抑える。
そして一言。
「そうか」
ファルデザートはやれやれ、と思う。
やはりゼムドもまだ子供だ。
他人の立場で考えるという点では全く話にならない……。
気を付けないとこっちもケガをしてしまうな……。
そう思うファルデザートであった。
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