明日もまた

氷柱華

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また明日

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 目を覚ました時、真っ先に確認したのはあいつの無事だった。他の友も唯一無二の友人である、だがそれでも彼女の安否を最優先してしまう俺はきっと最低の人間なのだろう。ベットの上で横たわるあいつの顔はいつも通りの穏やかな寝顔で。
(よかった……)
ほっと胸をなでおろす。どうやら他の皆も同じようで眠たい目を擦ってむくりむくりと起きてくる。いつもと変わらぬこの日を取り戻せて本当に良かった。
 また明日なんてあすかは言っていたがそれでは遅い、勿体ない。あの時言ったようにまだ遊び足りないのだ。一分一秒、このメンツでいる時間を無駄にしたくない。身体に異常はないならこんなところにはいられない、こんなとこは抜け出さなければ。病院は世界で一番つまらない場所だということは俺が一番よく知っている。看護師の制止を振り切り院内を駆け回る昔と変わらない5人は皆笑顔で、こんな日々のためにあすかは戦っていたんだと改めて噛みしめる。代金はベットの上に置いてきた、法的に罰せられることはきっとない……と思う。だが今はそんなことはどうだっていい。今を、過去を、そして明日を楽しまなくては。
 「また明日」を平和な明日を願う悲しい言葉にしてはいけない。「また明日」も変わらず楽しいことが確約された希望の言葉にしなくてはならないのだ。そのためになら悪いことだってしてしまおう、いいことだってしてやろう。
 悪夢ゆめのような日々がおわり夢のような日々がまた始まる。だから俺たちは満面の笑みで今日もまた言うのだろう。

「また明日」
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