【完結】彼は皇帝なので、彼女は薬師として尽くすことにしました。

朝日みらい

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21. 共に戦う覚悟 

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戦争の影響が更に強くなる中、アラクシウスは軍を率いて戦地に赴くことが決まった。

「アラクシウス、ちょっと待って!」  

私は急いで彼の前に立ちふさがるようにして、彼を見上げた。

彼は少し驚いた顔で私を見ているけれど、すぐにその目は優しさで満たされる。

ああ、こんなに大事な時に、私、どうしても言いたくてたまらなかった。

「エリナ、どうした?」  

彼の声が、いつものように落ち着いているけれど、その声の奥に少しの心配が混じっているのがわかる。

彼はもう、私が言いたいことを察しているんだろうか。

「私、あなたが行くこと、反対じゃない。でも、あなたが無事に戻ってくることを心から願っている。だから、もし何かあったら…」  

言葉を切ると、アラクシウスは少しだけ黙って私を見つめてきた。

その瞳に、深い思いがこもっているのを感じる。

ああ、こんなに深く愛されているんだって思うと、胸がいっぱいになってしまう。

でも、それでも私は伝えなければならなかった。

「どんなことがあっても、私はあなたのために戦うって決めた。だから、あなたも帰ってきてくれるって信じているわ。」  

そう言うと、アラクシウスはふっと笑った。

「エリナ、お前がそんな風に言ってくれると、俺は何も怖くない。」  

その言葉が、まるで私の不安をすべて払ってくれるようだった。

だけど、それでも心の奥では、戦争のことが不安でいっぱいだった。

アラクシウスが無事に戻ってこないかもしれない…そんな恐れがよぎるけれど、それを押し殺して、私はしっかりと彼を見つめ返した。

「あなたが戻ってくるまで、私は待っているから。」  

言い終わると、アラクシウスは少しだけ顔を赤くして、私の手を取った。

「必ず戻る、約束するよ。」  

その言葉が、私の心にずっと残るような気がした。

私の手を握るその力強さに、彼の覚悟が伝わってきた。

私はしっかりと頷いて、彼の手を握り返した。

「私は、あなたが戻ってくるのを信じて待ってる。だから、どんなに辛くても、あなたは絶対に帰ってきてね。」  

アラクシウスは一瞬、真剣な顔で私を見つめた後、少しだけ笑って、やわらかく言った。

「もちろんだ。お前が待っていてくれるからこそ、俺は戦っていける。」  

その言葉が私の心に深く響いた。

彼はどんなに多くの命を背負って戦っても、私を忘れることはない。

私は彼にとって、そんな存在なんだって思うと、胸が高鳴る。

「行く前に、もう一度だけ…」  

そう言って、アラクシウスは私を引き寄せ、私の唇にそっとキスをした。

少しだけ、柔らかく、温かく感じられたそのキスに、私の心は安らぐ。

アラクシウスが戻ってくるまで、私はずっと待っているんだって強く誓った。

「俺が帰ってくるその日まで、待っていてくれよ。」  

彼はそっと私の髪を撫でて、優しく微笑んだ。

その笑顔が、私をまた強くさせてくれる。

「約束ね!」  

私がそう言うと、アラクシウスは深く頷いて、私の手を握りしめた。

「約束だ。」  

そして、私たちはそれぞれの戦いに向かって、歩き出す。

アラクシウスは軍を率いて出発し、私は彼の帰りを待ちながら、心の中で彼を支える覚悟を決めた。

どんなことがあっても、私は彼と共に戦う。

そして、彼が無事に帰ってくることを信じて、私は全力で待ち続けよう。
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