虐げられた王女は隣国の王太子と出会ったので、真実の愛を見つけることにしました。

朝日みらい

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第2章: 身代わりの策略 

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リヴィアが何かを企んでいるのは明らかだった。

隣国ヴァルトハイムの政略結婚の話が持ち上がった途端、彼女は妙ににこやかになったけど、その笑顔の裏にある冷たい計算は隠しきれていなかったから。  

そして、その計画が私にどう関わってくるのか、答えはすぐに明らかになった。  

「アリシア、あなたには王家のために役目を果たしてもらいます」とリヴィアが言ったとき、私は胸の奥に嫌な予感が広がるのを感じた。  

「…役目、ですか?」と恐る恐る尋ねると、彼女は美しい微笑みを浮かべながら、やけに冷たい声で続けた。  

「ええ、隣国の王太子との結婚の話が進んでいますが、実はソフィアを打診されたのです。でもあえて遠慮して、怠け者のあなたにその役を担ってもらおうと考えています。これも王家の義務ですわ」  

一瞬、頭が真っ白になった。

何で私が?ソフィアだったのに?  

「えっ…」  

「もちろん、あなたが婚約を果たした後、いずれあなたは追い出されるので、ソフィアにその立場を譲ってもらいます。何、簡単なことですわ。でも、もしあなたが立派に振る舞えば、家族として認めてあげます」と、まるで恩着せがましく言うリヴィア。

その瞬間、心がギュッと締め付けられるような痛みを感じた。  

“家族として認めてあげます”?

今さらそんな言葉を聞いても、何の慰めにもならない。

私はただ、静かに微笑むしかなかった。

「分かりました。お役に立てるよう努めます」  

それが私にできる唯一の抵抗だった。  


旅立ちの前夜、私は自室の窓辺に座って、母の鏡を手にしていた。

月明かりが鏡の表面を優しく照らしている。

その小さな鏡は、私の唯一の心の支えだった。  

「お母様…私、どうしたらいいのでしょう?」

誰にも聞こえないように呟く。

だけど、答えなんて返ってくるはずもない。  

すると、ふいにノックの音がして、リヴィアが部屋に入ってきた。

黒いドレスをまとい、冷たい笑みを浮かべた彼女は、まるで夜の闇そのもののようだった。  

「アリシア、明日は大事な日ですわね」  

「ええ、そうですね」  

「あなたには感謝していますわ。これも王家のため。忘れないでくださいね」と、彼女はわざとらしく言う。

そして立ち去る前に、まるで氷の刃を突き刺すような言葉を放った。  

「無能なあなたが少しでも役立つなら、さぞや光栄でしょう?」  

その言葉を聞いた瞬間、何かが胸の中で崩れる音がした。

私は鏡を握りしめ、必死に涙をこらえた。  

だけど、その夜、眠れないまま考えていたのは、リヴィアの冷たい言葉ではなく、これが自分の人生を変えるチャンスかもしれないということだった。  

「いつか、自分の居場所を見つけたい」  

そんな思いを抱きながら、私は眠れぬ夜を過ごした。


そして翌朝、荷馬車の音が宮殿の庭に響き渡る中、私は旅立つ準備を整えていた。  

小さな荷物の中に、母の鏡をそっとしまいながら心の中で呟く。

「お母様、見守っていてください」  

そのとき、ふと振り返ると、ソフィアが窓からこちらを見下ろしていた。

その顔には、勝ち誇ったような笑みが浮かんでいる。

「いつか、あなたにも思い知らせてあげるわ」と小さく口の中で呟きながら、私は静かに馬車に乗り込んだ。  

新しい土地での生活がどんなものになるかなんて、想像もつかない。

それでも、少なくともこの冷たい宮殿の日々から抜け出せると思うと、ほんの少しだけ、心が軽くなった気がした。  

「さぁ、これが私の新しい冒険の始まりだわ」

そう自分に言い聞かせながら、私はゆっくりと動き出した馬車の中で目を閉じた。
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