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第3章: 隣国への道
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馬車の揺れに身を任せながら、私は窓から広がる景色をぼんやりと眺めていた。
見渡す限りの草原が、淡い緑の海のように波打っている。
時折、風に吹かれて揺れる野の花が、まるで私を歓迎しているかのように見えた。
「…歓迎、なんて都合よく考えすぎよね」
思わず小さく呟いた。
侍従たちは表情ひとつ変えず、ただ淡々と馬車の外で控えている。
私を乗せているこの馬車だって、王女のものとは思えないほど簡素だ。
いや、きっと意図的にそうされているのだろう。
リヴィアのことだ、華やかな馬車で送り出す気なんてさらさらないに違いない。
それでも、私はこんな旅の途中でさえ、少しの救いを見つけていた。
夜、宿に泊まることもなく野営をするとき、広がる星空の美しさに心を奪われた。
都会では決して見ることのできない数えきれない星々が、まるで私に語りかけてくるようだった。
「アリシア様、これをどうぞ」
ふと声をかけられて振り向くと、老齢の侍従オスカーが手に温かい飲み物を持って立っていた。
彼はこの旅の間、唯一私に優しくしてくれる人だ。
「ありがとうございます、オスカー」
私は微笑みながら受け取った。
その香りにほっとしながら口をつけると、心が少しだけ落ち着くのを感じた。
「大変なお役目だと思いますが、アリシア様ならきっと乗り越えられると信じておりますよ」と彼は穏やかな笑みを浮かべて言った。
「…そう思いますか?」
「もちろんです。お母上譲りの強さをお持ちですからね」
その言葉に、私は胸がじんと温かくなった。
母のことを思い出すと、どうしても涙がこぼれそうになる。
でも、ここでは泣くわけにはいかない。
旅の途中、馬車を一旦停めて近くの村を通ることになった。
リヴィアの宮殿にいるときは気づかなかったけれど、こうして間近に見ると、村の生活はなんて素朴で、でも活気に満ちているのだろう。
子供たちが道端で遊び、笑い声を響かせているのを見ていると、不思議と私の胸も軽くなった。
「お嬢さん、お菓子をどうぞ!」と、村の老婆が笑顔で干し果物を手渡してくれた。
「ありがとうございます」
私が丁寧に礼を言うと、彼女は目を細めて「まあ、優しいお嬢さんだねえ」と言ってくれた。
その瞬間、胸の中に小さな希望が灯った。
こんな素朴な暮らしの中に、幸せがあるのかもしれないと感じたのだ。
そんな心和む時間も、旅が進むにつれて徐々に消えていった。
隣国ヴァルトハイムの領地が近づくとともに、私の心臓は高鳴り、不安が膨れ上がるばかりだった。
「どうしてこんなに怖いんだろう…」
馬車の中でひとり、誰にも聞こえないように呟いた。
リヴィアの計画の全貌が明らかになっていないことが恐怖を煽っている。
それに、相手の王太子がどんな人なのかも分からない。
「きっと冷たくて怖い人に違いないわ…」
そんなことを考えていたとき、オスカーがそっと声をかけてくれた。
「アリシア様、少し休まれてはいかがですか?」
「…そうですね」
私は微笑みながら答えたが、心の中は嵐のようだった。
でも、オスカーの穏やかな声や、道中の星空や村の子供たちの笑顔を思い出すと、ほんの少しだけど、前に進む勇気が湧いてくる気がした。
「私にできることを探すしかないわ…それがどんなに小さなことでも」
馬車はゆっくりとヴァルトハイムの城へと向かって進んでいく。
その揺れとともに、私は未来への恐怖と小さな希望を抱えて目を閉じた。
見渡す限りの草原が、淡い緑の海のように波打っている。
時折、風に吹かれて揺れる野の花が、まるで私を歓迎しているかのように見えた。
「…歓迎、なんて都合よく考えすぎよね」
思わず小さく呟いた。
侍従たちは表情ひとつ変えず、ただ淡々と馬車の外で控えている。
私を乗せているこの馬車だって、王女のものとは思えないほど簡素だ。
いや、きっと意図的にそうされているのだろう。
リヴィアのことだ、華やかな馬車で送り出す気なんてさらさらないに違いない。
それでも、私はこんな旅の途中でさえ、少しの救いを見つけていた。
夜、宿に泊まることもなく野営をするとき、広がる星空の美しさに心を奪われた。
都会では決して見ることのできない数えきれない星々が、まるで私に語りかけてくるようだった。
「アリシア様、これをどうぞ」
ふと声をかけられて振り向くと、老齢の侍従オスカーが手に温かい飲み物を持って立っていた。
彼はこの旅の間、唯一私に優しくしてくれる人だ。
「ありがとうございます、オスカー」
私は微笑みながら受け取った。
その香りにほっとしながら口をつけると、心が少しだけ落ち着くのを感じた。
「大変なお役目だと思いますが、アリシア様ならきっと乗り越えられると信じておりますよ」と彼は穏やかな笑みを浮かべて言った。
「…そう思いますか?」
「もちろんです。お母上譲りの強さをお持ちですからね」
その言葉に、私は胸がじんと温かくなった。
母のことを思い出すと、どうしても涙がこぼれそうになる。
でも、ここでは泣くわけにはいかない。
旅の途中、馬車を一旦停めて近くの村を通ることになった。
リヴィアの宮殿にいるときは気づかなかったけれど、こうして間近に見ると、村の生活はなんて素朴で、でも活気に満ちているのだろう。
子供たちが道端で遊び、笑い声を響かせているのを見ていると、不思議と私の胸も軽くなった。
「お嬢さん、お菓子をどうぞ!」と、村の老婆が笑顔で干し果物を手渡してくれた。
「ありがとうございます」
私が丁寧に礼を言うと、彼女は目を細めて「まあ、優しいお嬢さんだねえ」と言ってくれた。
その瞬間、胸の中に小さな希望が灯った。
こんな素朴な暮らしの中に、幸せがあるのかもしれないと感じたのだ。
そんな心和む時間も、旅が進むにつれて徐々に消えていった。
隣国ヴァルトハイムの領地が近づくとともに、私の心臓は高鳴り、不安が膨れ上がるばかりだった。
「どうしてこんなに怖いんだろう…」
馬車の中でひとり、誰にも聞こえないように呟いた。
リヴィアの計画の全貌が明らかになっていないことが恐怖を煽っている。
それに、相手の王太子がどんな人なのかも分からない。
「きっと冷たくて怖い人に違いないわ…」
そんなことを考えていたとき、オスカーがそっと声をかけてくれた。
「アリシア様、少し休まれてはいかがですか?」
「…そうですね」
私は微笑みながら答えたが、心の中は嵐のようだった。
でも、オスカーの穏やかな声や、道中の星空や村の子供たちの笑顔を思い出すと、ほんの少しだけど、前に進む勇気が湧いてくる気がした。
「私にできることを探すしかないわ…それがどんなに小さなことでも」
馬車はゆっくりとヴァルトハイムの城へと向かって進んでいく。
その揺れとともに、私は未来への恐怖と小さな希望を抱えて目を閉じた。
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