虐げられた王女は隣国の王太子と出会ったので、真実の愛を見つけることにしました。

朝日みらい

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第9章: 初めての守り手 

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ある日、庭園で一人、ミレーユたちに鉢合わせしてしまい、普段通りに嫌がらせに耐えていると、気づけばまた周りにはあの陰湿な顔が並んでいた。

何度目だろう、このシーン。

ああ、まただと思って少し肩を落としながら歩きだすと、あの冷たい視線がさらに突き刺さってきた。

「ほら、あの姫様、ほかにしてもらえないのかしら? 本当に何の役にも立たないわ。」

「あんな人が王族だなんて、なんだかねぇ。」

どうしてこうなるんだろう…。

私は何も悪くないのに。

でも、これも宮廷の一部、仕方ないのかもしれない。 

そんな風に気を紛らわせようとしていたその瞬間、突然、背後から声がかかった。  

「姫様、何かお困りですか?」  

声が、ちょっと耳に馴染みがあるような気がして、思わず振り返った。

そこに立っていたのは、レオニードの幼馴染で近衛騎士団長のカイルだった。

彼は陽気に微笑んでいて、まるで私の周りの空気が変わったかのように、パッとその場の緊張を解き放った。  

「カイル?」  

私はびっくりして目を大きく見開くと、彼はにこやかに頭を軽く下げてくれた。  

「はい、私です。」  

「なんで…あなたがここに?」  

「偶然通りかかりまして。姫様が困っているように見えたので、助けに来ました。」  

カイルの言葉に、周りの貴族たちは一瞬で顔をこわばらせた。

突然の彼の登場に、何も言えなくなっている。

ああ、これ、私をいじめようとしてた連中が一気にしおしおになってるパターンだ。

どうしてこうも、カイルの一言で事態が変わるんだろう。  

「姫様のような方が、この宮廷には必要です。」  

彼の言葉が空気を変えた。

私は思わず胸が温かくなって、少し頬が赤くなるのを感じた。

まさか、私のためにこんなふうに言ってくれる人がいるなんて。  

「ありがと…」  

そう言おうとした瞬間、ミレーユたちは顔をこわばらせて、さっさとその場を去っていった。

あれ、こんなにあっさり引き下がるなんて。

ちょっと拍子抜けしたけれど、心の中では一つ、スッと息が抜けた気がした。

カイルはにっこりと微笑んで、私を少し気遣うように見つめた。  

「こんなに美しい姫様が、この宮廷で苦しんでいるのは我慢ならないですね。」  

「美しい…?」  

私は思わず首をかしげた。

カイルが何かを真面目に言っているのは珍しい気がして、ちょっと驚いた。  

「ええ、姫様はこの宮廷に必要な存在です。これからもぜひ頑張ってください。」  

カイルがニコッと笑うと、私はほんのり顔を赤らめた。

どうしてこんなに優しくされると、ドキドキするんだろう。  

「ありがとう、カイル。」  

私はそう言いながら、彼を見つめた。

彼の笑顔には、なんだか安心感があった。

どこか頼もしく感じてしまって…。  

その時、ふと背後に気配を感じて振り向くと、遠くの方でレオニードが見ていた。  

彼は私たちをじっと見つめているようで、何とも言えない表情をしていた。

微かに眉をひそめているようにも見えるけれど、どこか引き寄せられるような視線が私の胸にじんわりと響いた。  

「レオニード…」  

思わずつぶやいてしまったその名前が、なんだか心の中で大きく響いた。

レオニードの視線を感じながら、私はカイルと話を続けようとしたけれど、どこか集中できない。  

「姫様、大丈夫ですか?」  

カイルの声で我に返ると、彼は心配そうに私を見ていた。  

「え、うん、大丈夫よ。」  

私は笑顔を作ったけれど、心の中ではレオニードの顔がまだ頭を離れなかった。

あの冷たい目が、どうしてあんなに強く心に残るんだろう…?

「それなら良かった。姫様、何かあったらまた声をかけてくださいね。」  

カイルは屈託のない笑顔を向けて、また少し背を向けて歩き始めた。

その姿を見送りながら、私は少し不安な気持ちを感じていた。  

「カイル、ありがとう。」  

心の中でそう呟きながら、ふと振り向くと、レオニードの姿はもうなかった。

ただ、風が少し強く吹いて、庭の花が揺れる音だけが静かに響いていた。
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