虐げられた王女は隣国の王太子と出会ったので、真実の愛を見つけることにしました。

朝日みらい

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第12章: 隣国からの使者 

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その日、ヴァルトハイム王宮には不穏な空気が漂っていた。

隣国からの使者が訪れるというのだ。何も知らない私は、王宮の広間に並ぶ貴族たちに交じって、何となくその場に立っていた。

使者というのは、かなり高貴な身分らしい。

だけど、そんなものが私にどう関係があるのだろう。

私、特に気にしていなかった。

しかし、その使者が一歩踏み込んだ瞬間、全てが変わった。

彼の視線が私にピタリと向けられ、鼻で笑うように一言。

「噂ほどの美しさではないな。」

えっ、何? 

まさか私のことを言ったの?

 確かに私は普通の女の子だし、美人でもないけど、そんなにハッキリ言わなくても…!  

周りの貴族たちも、ぎくっとした様子で顔を見合わせている。

笑いをこらえきれない空気が漂って、でも誰も口を開こうとしない。

そんな中で私は、まるで冷たい風に吹かれたような気持ちになった。

ふっと周りの人たちを見回して、誰も私を助けてくれないことを悟った。

でも、その瞬間、私の心に何かがスッと通り抜けた。

腹が立つ。

こんなこと、許してはいけないんだから。

私は背筋を伸ばして、その使者に向き直った。

そして、冷静に、だけどしっかりと声をかけた。

「美しさは、国を守る力にはなりませんわ。」  

あれ? 

自分でも少し意外な言葉が出てきた。

でも、その言葉が私の心をスッキリさせてくれた。

「私はこれでいい」と、何かが確信できた気がした。

「私が示すのは、心と行いです。」  

その言葉に、場の空気がピタリと止まったような気がした。

使者は一瞬言葉を失い、周りの貴族たちはその場に沈黙を落とし込んだ。

私、やっちゃったな、と思ったけど、もう後には引けない。

でも、その時、ふっと視線が遠くの方に向けられた。

レオニードがいた。

その顔を見た瞬間、少しドキッとしてしまった。

彼は、まるで私の言葉を待っていたかのように、静かに微笑んでいた。

その笑顔が、少し優しく、そして少し誇らしげに見えた。

「よく言った。」  

彼のその一言に、私の心臓がビクッと跳ねた。

こんなところで彼に認められるなんて、ちょっと恥ずかしいけれど、なんだか嬉しい。

自分が誰かに認められるって、こんなにも心強いんだなって思った。

使者は、言葉を失ったまま私を見つめていた。

そして、少しだけ顔を赤らめたような気がした。

はは、案外焦ってる? 

そりゃそうよね、こんなに堂々と返されたら驚くよね。

でも、私はもう怖くなかった。

なんだか、むしろ嬉しい気持ちが強くなってきた。

そのまま、私はレオニードの方をちらりと見た。

彼は相変わらず冷静に、でも優しい笑顔を浮かべて私を見守ってくれていた。

ちょっと照れくさいけど、何だかそれだけで安心する。

やっぱりレオニードが側にいると、心強いなって思う。

「レディにそんなこと言うのは、もうやめておいた方がいいですわね。」  

私は、再びその使者に言葉を投げかけた。

どうやら、相手も気づいたのか、しばらく黙っていたが、やがて頷きながら退散していった。

「失礼しました。」  

その一言を残して使者は部屋を後にした。

場が静まり返る中、私の心は少しだけ軽くなった。

「あんなふうに言い返せるなんて、なかなかやるな。」  

ふっと後ろから聞こえた声に振り返ると、そこにはレオニードが微笑みながら立っていた。

彼の瞳には、私を誇りに思っている気持ちが見え隠れしていた。

どうしてそんなに優しい笑顔を向けてくれるのか、胸がキュンとなった。

「ありがとう、レオニード。あなたがいてくれたから、勇気が出たわ。」  

私は少し恥ずかしそうに言ったけれど、すぐに彼の顔を見ると、彼はますます笑みを深くしてくれた。

「いつでもお前を守るからな。」  

その言葉に、また心臓がドキッとした。

そんなことを言ってくれるのは、レオニードだけだよね。

なんだか、彼といるとどんどん心があたたかくなる。

これからも、ずっとこうしていられるといいなって、ふと思った。
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