虐げられた王女は隣国の王太子と出会ったので、真実の愛を見つけることにしました。

朝日みらい

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第13章: レオニードの葛藤(レオニード視点)

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ああ、こんなことになるなんて、思ってもみなかった。

僕はひたすら「政略結婚だから愛してはいけない」と自分に言い聞かせていた。

アリシアに対して、優しさを見せてはいけない。

彼女の心を引き寄せるようなことをしてはいけない…と、心の中で必死に呪文のように繰り返していた。

でも、ふとした瞬間にアリシアが見せる、その真剣な眼差しや、何も言わなくても伝わってくる心の強さに、僕は心が揺れ動いてしまうんだ。

「レオニード、あなたは本当に頼りになりますね。」

そんな言葉をかけられて、胸の奥で何かがポッと温かくなるのを感じる。

でもそれが本当に正しい感情なのか、僕はどうしても答えを出せなかった。

彼女のことを愛してはいけない、そう思っているのに…。

「でもな…」 

僕はいつも自分に言い聞かせていた。

でもその言葉がアリシアに向かって出てきたことは、ほとんどない。

だって、彼女といる時は、何か不思議な安堵感を感じるんだ。

優しさを押し殺して、冷たく接しようとしても、どうしてもできないんだ。

アリシアは、あまりにも素直だから。

そして、僕の心を捕まえて離さないその笑顔。

「レオニード、あのね、ちょっとお願いがあって。」

ある日のこと、アリシアがいつものように明るく声をかけてきた。

僕はその一言に心臓が跳ね上がるのを感じる。

「お願い」って何だろう…また無理を言われるのか? 

それとも、ただのお願いか?

「何だ?」 

僕は少し警戒しながら答えると、アリシアは嬉しそうに微笑んだ。

「あなた、今日もお疲れ様。少し休んでからお散歩でも行きませんか?」

え? それだけ? 

それなのに、僕は内心でドキドキしている。

この状況、ほんとうにおかしいな。

でも、そのお願いを断る理由は見当たらないし、あの笑顔を見たら、断れるはずがない。

「ああ、いいが。」

僕が答えると、アリシアはぱっと目を輝かせて立ち上がる。

そして、軽やかな足取りで僕を引っ張るように歩き出した。

最初は、少し照れくさい気持ちでついて行ったけど、しばらく歩いていると、だんだんその心地よさに安心してきた。

一緒に歩くことで、何となく心が落ち着く気がする。

お互いに何も言わなくても、ただ歩くだけで安心できる、そんな感覚。

こんなことが、今までなかったな…。

「レオニード、今日はあなたも少しリラックスしているみたいですね。」

アリシアがふと呟く。

その言葉に僕は、思わず表情を崩してしまう。つい笑ってしまう。

「いや、君と一緒だから、なんだか気が楽になるんだ。」

その言葉に、アリシアが嬉しそうに笑った。

その笑顔に、また心が温かくなる。

でも、やっぱり僕は怖かった。

もしアリシアが、この関係を越えてしまったら…どうなるんだろうか。

僕の心の中では、もうすでに葛藤が渦巻いていた。

その日、二人で歩いているとき、アリシアがふと僕の手に触れる。

瞬間的に、心臓がバクバクと音を立てて、顔が熱くなった。

「え、あ、あの…」

慌てて手を引こうとするけれど、アリシアは何も気にせず、またその手を握り返してくる。

その手の温もりに、僕は思わず言葉を失った。

「レオニード、私は、あなたが好きですよ。」

それは、思いも寄らない言葉だった。

どこかから湧き上がった熱が、僕の顔を真っ赤にさせた。

好き? 

そんなこと言って、君は本当に何もわかってないんじゃないか? 

それとも、僕が何か間違って伝えたのか? 

あれ、どんな顔をしたらいいんだ、これは?

「君は…どうしてそんなことを…」

思わず声が出た。

でもアリシアは、恥ずかしそうにうつむきながら、こう言った。

「だって、あなたがどんなに無理してるか、私は分かりますから。だから、少しでも楽になれるなら、私、あなたを支えたいと思って。」

その言葉が胸にグサッと刺さった。

アリシア、君は…。

君にそんな風に言われると、僕の心がますます揺れる。

けれど、君と僕は、まだ同じ道を歩んでいるだけじゃないか?

 まだ、僕は君に本当の気持ちを言えないんだ。

僕は、どうしてこんなにも不安になっているんだろう。

でも、それでも彼女の手を握り返すことは、僕にとって、もう後悔しないことだと確信した。

だって、アリシアが僕にこんなにも優しく接してくれるなら、それだけで心が軽くなる。

「ありがとう、アリシア。」

その言葉は、僕が言うべき一番大切な言葉だった。
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