虐げられた王女は隣国の王太子と出会ったので、真実の愛を見つけることにしました。

朝日みらい

文字の大きさ
20 / 28

第20章: レオニードの決断

しおりを挟む
「アリシアを傷つける行為は、私を侮辱することと同じだ。」

ミレーユを宮殿に呼び出し、彼女の目の前でレオニードがその一言を口にした瞬間、私は思わず心臓がドキッと跳ね上がるのを感じた。

彼の言葉は冷徹でありながら、どこか彼の深い愛情を感じさせるものだった。

その目、まるで鋭い刃のようにミレーユを見据えているけれど、私にはその視線がまるで守ってくれるように感じられる。

ミレーユは、その言葉に息を呑み、しばらく立ち尽くしていた。

目がうるんで、顔色が蒼白に変わっている。

普段の高慢な態度はどこへやら、彼女は震える手で自分のドレスを握りしめていた。

「私が、アリシアに何かしたとでも?」

ミレーユは必死で強がりながら言ったが、その声はかすかに震えていた。

レオニードの威圧感に圧倒されているのは、誰が見ても明らかだった。

「君が流した噂は、ただの噂じゃない。アリシアを傷つけるために仕組んだ計略だ。」

レオニードの声には、どこか冷徹さがにじんでいる。

それでも、彼が私を守ろうとしている気持ちがひしひしと伝わってきて、心が温かくなる。

私はその場でじっと見守っていた。

レオニードが私のために、ここまでしてくれるなんて…でも、まだ何も言わない方がいい。

あまりにも急にすべてが動き出しすぎて、私の頭がついていけない。

「君は一度、アリシアに謝罪すべきだ。」

レオニードが冷静に言い放つと、ミレーユの顔に一瞬だけ恐怖が浮かんだ。

だが、すぐにそれを隠すように顔を背ける。

「私は…私はただ、アリシアが目立っていたから、ちょっとした冗談を…」

彼女の言い訳は、完全に言い逃れに過ぎない。

レオニードがもう一度冷たい視線を向けると、彼女はそれ以上何も言えなくなった。

そして、その瞬間、私はレオニードの側に歩み寄った。

彼が私に気づき、すぐに顔を向ける。

彼の目に浮かぶのは、少し困惑したような、でもとても優しい表情だった。

「アリシア…」

彼の声は思わず低く、そして真摯だった。

「すまなかった。」

その一言に、私は胸がいっぱいになる。

レオニードの真剣な眼差しと、その言葉に、私の心が急に柔らかくなった。

あんなに冷たく、強い言葉を吐いた彼が、今こんなにも私を気遣ってくれるなんて。

「レオニード、別に…」

私は少し照れながら言った。

「私も、そんなに気にしていないわ。」

「でも、俺が守ると誓ったのに、君を傷つけてしまっただろ。」

レオニードはもう一度、強く言った。

その顔を見ていると、私の心は何だかあったかくなる。

「そんな、全部…気にしないで。私は大丈夫よ。」

私は少し照れくさそうに笑ってみせた。

でも、その笑顔に彼はすぐに反応した。

「アリシア、君が傷つくのを見たくない。君が僕の側にいる限り、俺はずっと守り続ける。」

その言葉に、私は一瞬、胸が熱くなった。

まるでその言葉が私の心に響くように感じた。

「ありがとう。」

私はレオニードの言葉に答えた。

その瞬間、彼は私の手をしっかりと握り、私の方を引き寄せてきた。

私たちの距離が一気に縮まって、私はちょっと戸惑いながらも、彼の顔を見る。

「本当にありがとう。」

レオニードの顔が私にとても近づいて、私の息が少し止まる。

彼の目は私をしっかりと見つめていて、心臓が速く打ち始めるのがわかる。

「アリシア…君が笑顔でいてくれるだけで、俺は幸せなんだ。」

彼の声はとても優しく、私の心を温かく包み込むようだった。

そのまま、私はその手をそっと握り返した。

言葉はなくても、今はただその優しさを感じていたくて、何も言わなかった。

その後、ミレーユは結局、何も言わずにその場を去った。

彼女がどんな顔をしていたのかは覚えていないけれど、私はもう何も気にしなかった。

レオニードが私の側にいる、それだけで十分だった。


その日から、私たちの関係は少しずつ変わっていった。

彼が私に見せてくれる優しさと、言葉では表せないほどの温かさに、私はすっかり心を奪われていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

スキルなし王妃の逆転劇〜妹の策略で悪役令嬢にされ、婚約破棄された私が冷酷王の心を歌で揺らすまで〜

雪城 冴
恋愛
聖歌もファンファーレもない無音の結婚式。 「誓いの言葉は省略する」 冷酷王の宣言に、リリアナは言葉を失った。 スキル名を持たないという理由だけで“無能”と蔑まれてきたリリアナ。 妹の企みにより婚約破棄され、隣国の王・オスカーとの政略結婚が決まる。 義妹は悪魔のような笑みで言う。 「次は婚約破棄されないようにお気をつけて」 リリアナに残されたのは、自分を慰めるように歌うことだけ。 ところが、魔力が満ちるはずの王国には、舞踏会すら開かれない不気味な静寂が広がっていた。 ――ここは〈音のない国〉 冷酷王が隠している“真実”とは? そして、リリアナの本当のスキルとは――。 勇気と知性で運命を覆す、 痛快逆転ファンタジー。 ※表紙絵はAI生成

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

辺境伯夫人は領地を紡ぐ

やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。 しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。 物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。 戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。 これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。 全50話の予定です ※表紙はイメージです ※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

処理中です...