【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(6)少しずつ縮まる距離 

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アリシアとレオネルの距離は、日に日に近づいていた。

最初はぎこちなかった会話も、今ではすっかり自然になり、毎日話すのが楽しみになっていた。

庭園で花を眺めたり、一緒に散歩をしたりする時間が、アリシアにとって何よりも幸せなひとときだった。  

そんなある日、二人は庭園のベンチに腰掛け、さわやかな風を感じながらおしゃべりを楽しんでいた。  

「アリシア、君ってさ、本当に面白いよな。」

ふとした間に、レオネルがそんなことを言った。  

「えっ?」

アリシアは驚いた顔をして彼を見る。

「急にどうしたんですか?」  

「いや、最初に会ったときは、お堅いお嬢様だと思ってたんだよ。」

レオネルはからかうように笑った。

「それが話してみたら、意外と笑えるところが多いし、ツッコミどころも満載だし。」  

「ひどい!」

アリシアはぷっと頬を膨らませた。

「私、そんなに変な人じゃないです!」  

「いやいや、褒めてるんだって。」

レオネルは手を振って弁解する。

「君ってさ、どこか肩の力が抜けてて、親しみやすいんだよ。それが魅力なんだって。」  

「魅力…?」

アリシアは少し戸惑ったように首をかしげる。

「でも、私はただ、周りに合わせてるだけですよ。」  

レオネルはその言葉にしばし沈黙し、真剣な顔をして彼女を見つめた。

そして、優しく微笑んで言った。  

「うん、そうだろうな。でも、アリシア、そんなに自分を抑えないでいいんだよ。」  

「抑えないで…?」  

「君は君らしくいていい。周りの目なんて気にしなくてさ、好きなことをして、好きなように笑ってればいいんだ。」  

その言葉に、アリシアは少し驚いた。今まで、彼女は自分の振る舞いが「立派な令嬢」であるべきだと信じていた。

だから、ついつい無理をして、周りに合わせようとしてきた。

でも、レオネルはそれを「君らしくない」と言ってくれた。  

「私らしく…」

アリシアはつぶやいた。  

「そう、君らしくさ。」

レオネルは軽く笑って肩をすくめた。

「君がどんなふうに笑うのか、どんなふうに過ごすのか、俺はもっと知りたいんだよ。」  

「でも、それって…ちょっと怖い気がします。」

アリシアは正直に言った。

「もし、私らしくすることで、周りの人に嫌われたらどうしようって。」  

「それは君が悪いんじゃない。」

レオネルはきっぱりとした声で答えた。

「それに、俺は絶対に嫌わないよ。むしろ、君が自由でいてくれるほうが、俺はずっと嬉しい。」  

「自由に…」

アリシアは再び考え込んだ。そして、小さく笑って言った。

「じゃあ、これからは少し自由にしてみます。」  

その言葉に、レオネルは顔を明るく輝かせた。

「そのほうが絶対に素敵だよ。君が笑ってる顔って、本当にきれいなんだから。」  

「笑ってる顔…」

アリシアは頬が熱くなるのを感じた。

「そんなの、普通の顔と変わらないですよ。」  

「全然違う!」

レオネルは断固として言う。

「君が笑うと、まるで太陽が昇ったみたいに周りが明るくなるんだ。だから、もっともっと笑ってくれよ。」  

その言葉に、アリシアはつい笑い出してしまった。

「そんなに言われたら、笑わずにはいられませんね。」  

「それでいいんだ。」

レオネルもつられて笑い、彼女の笑顔をじっと見つめる。

「君が笑うのを見ると、俺まで幸せになるんだよ。」  

レオネルのその言葉に、アリシアの胸は温かく満たされるような気がした。

彼のそばにいるだけで、こんなにも安心できる自分がいることに気づいた。  

自分らしく生きること。

それはずっと難しいと思っていたことだった。

けれど、彼の言葉がそっと背中を押してくれる気がした。

そして、そんな自分を「素敵だ」と言ってくれる人がいるという事実が、何よりも心強かった。  

その日、アリシアは心からの笑顔を浮かべた。

自由に、そして心地よく生きる新しい一歩を踏み出せたような気がした。  
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