【完結】妹の不要品を押し付けられていたら、素敵な婚約を勝ち取りました! ~耐え続けた姉の華麗なる逆転劇~

朝日みらい

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第11章 真実の告白と選択

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 妹セレーネの叫び声と共に幕を閉じた夜会から、幾日も経たない夜のことでした。

 学院でも街でも、彼女の名は「失脚した令嬢」として囁かれ、人々の噂の中心から落ちていきました。

 私の心もまだ揺れていました。

 妹が失脚した痛みか、それとも自分がようやく“見られる側”に立ってしまったことへの戸惑いか……。


 そんな時でした。

 静かな夜道を歩く私の前に、琥珀色の瞳の人が現れたのは。

 「クラリッサ」

 名を呼ばれるだけで胸が震えるのは、いつからだったでしょう。

 「君を……ずっと守りたかった」

 その言葉に足が止まりました。

 「……でも、あの時は……妹に婚約を受け入れたでしょう……」

 「家の意向だ。俺はただ従うしかなかった。それがどれだけ悔しかったか……君には伝わらなかったかもしれない」

 彼は一歩近づき、その大きな手で私の頬をそっと撫でます。

 熱が伝わり、思わず瞳を閉じてしまいました。

 「クラリッサ。俺は、今度こそ君を一人にしない。誰が何を言おうと、君を選ぶ」

 琥珀の色に映るのは揺るぎない誠意。

 胸がじんと熱くなるのに、次の瞬間には別の青い瞳が思い浮かんでしまうのです。

 「クラリッサ嬢」

 振り向けば、そこに立っていたのはアレクシオン殿下でした。

 月明かりの下、金糸のような髪がひときわ輝いておられます。

 「殿下……」

 「君はどれほど人知れず努力してきたのだろう。私は……その強さに心を打たれた」

 殿下は私の手を取って、ゆっくりと指を重ねられました。

 「君の意思を尊重したい。だが――もし許されるならば、君の未来に寄り添いたいと思っている」

 その優しい声に、心が大きく揺さぶられます。

 どうして私のような者が、殿下の言葉に胸を震わせているのか。


 琥珀とサファイア。

 どちらの瞳もまっすぐに私を見つめています。

 「俺は君を幸せにするためなら、すべてを敵にしても構わない」ダリオ。

 「私は君自身を見ている。他の誰でもなく、クラリッサを」アレクシオン殿下。

 涙が自然と溢れてしまいました。

 「どうして……こんなに、優しくしてくださるの……? わたしは……ずっと“不要品を押し付けられる姉”だったんです」

 唇が震え、言葉がこぼれます。

 その時ダリオは私を抱きしめ、殿下はそっと私の髪に指を触れられました。

 「君は自分を過小評価しすぎだ」

 「不要なのは“古い噂”であって、君ではない」

 両方の声が、胸を貫いていきます。


 私は涙を拭い、ゆっくりと顔を上げました。

 「……もう、誰かが決めた道は歩きません。わたくしの未来は、わたし自身が選びます」

 声は震えていましたが、確かに意思を持っていました。

 どちらを選ぶのか。その答えは今すぐには言えません。

 でも――。

 「必ず、自分の心で決めますわ。その時が来ましたら……どうか受け止めてくださいませ」

 私の言葉に、ダリオは強く頷き、殿下は優しく微笑まれました。
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