【完結】婚約解消だったので、嫌われ者の侯爵に嫁ぐことにしました。

朝日みらい

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第3章: 結婚と新生活の始まり 

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結婚から数日後、私はアレクシス侯爵との新しい生活を始めるため、侯爵家に引っ越すことになった。

家の中に足を踏み入れた瞬間、なんだかまるで氷の中にいるみたいな気分になった。

「お迎え申し上げます、セシリア様。」

家の使用人たちはみんな無表情で、まるで私がどこから来たのかも知らないかのように冷淡だ。

あ、もしかして、これがアレクシス侯爵が言ってた「無駄な社交なんていらない」ってやつ? 

「よろしくお願いします。」

私は小さく頭を下げるが、使用人たちからの返事はほとんどなし。

ほんと、空気が冷たすぎる。

結婚式の日からなんだか、私って“浮いてる”感じがする。

特にアレクシス。

結婚した途端、どうしてこんなに冷たいんだろう?

私は一度、彼を見てみるが、アレクシスはその辺にある本を読んでいるだけで、私をちらりと見た後は何も言わずにまたページをめくった。

あー、これはやっぱり予想通り、完全に無関心だな。

「…何か、しばらくは気を使うことばかりになりそうね。」

私、心の中でつぶやく。

やっぱり冷たい侯爵家に住むのは想像以上にしんどい。

前途多難だな、これは。


その夜、私は寝室でアレクシスが寝ているのを見て、改めてその冷たさに驚く。

彼が寝室にいるのは、まぁ普通だと思っていたけど、距離感がどうしても気になる。

ベッドの上で向かい合って寝てるけど、まったくお互いの体が触れていない。

まるで、別々の世界に住んでいるみたい。

「ねぇ、アレクシス。」

私は思わず、気になって声をかけてみる。

「なんで、あんなに冷たいの?」

アレクシスは一瞬だけ、私を見てから返事をする。

「冷たい、か…?」

彼の顔は一瞬、驚いたような顔をしたけど、すぐにまた平静に戻った。

「別に、何も冷たくしているつもりはないが。」

「じゃあ、どうして無視するの?私が入ったときも、話すことなくそのまま本に集中して…。」

私は少しだけ不安そうに聞いてみる。

「君が気にするほど、何もない。」

彼は冷静に答えながら、ほんの少しだけ目を逸らす。

なんだか、あまりにも正直すぎて逆に疑いたくなる。

「本当に?」

私は一歩、近づいてみる。

「冷たいだけじゃないよね?なんか、隠してることがあるんじゃないですか?」

「隠していることなんてない。」

アレクシスは微妙に顔を赤くしながら、言った。

あれ、今、顔が赤くなった?

私、間違ってないよね?

「本当?」

私はニヤニヤしながら、近づいてみると、アレクシスは慌てたように顔を背ける。

「しつこい。」

彼が言う言葉に、私はますます笑顔になる。

「あの、少しは優しくしてくれたっていいんじゃないですか?」

アレクシスは一瞬、私を見て、少しだけ顔をしかめた。

けど、目が合った瞬間、何かに耐えるような表情を見せた。

それは、少しだけ私に対して…いや、私のことを気にしているっていう表情だ。

「あんまり、君に関心を持ちすぎると、困るだろう。」

彼が言う。

その言葉の意味が、私にはちょっと理解できないけれど…それでも、ちょっとだけ、嬉しいような気がした。

「でも、私は気にしてますよ?」

私は思わず答えた。

「あなたが冷たくても、別に私は気にしないけど…もっと優しくしてくれるとうれしいです。」

「…わかった。」

アレクシスは一瞬だけ目を閉じて、深く息を吐いた後、ゆっくりと私に向き直った。

「これから、少しだけ気を使ってみる。」

彼が言ったその言葉に、私は胸の奥で何かがほんの少し温かくなった気がした。


次の日、私は庭に出て散歩をしていた。

アレクシスは私と一緒に歩くことはなく、少し距離を置いて歩いているだけ。

でも、さっき言った「少しだけ気を使う」って言葉が気になって、何かが変わるのかな、と思っていた。

ふと気づくと、アレクシスがいつの間にか私のすぐ近くに来ていた。

「どうしたの?」

私は少し驚きながら尋ねると、アレクシスは小さく肩をすくめて言った。

「いや、君が一人で歩いているのを見て、ちょっとだけ…」

彼はそこで言葉を切った。

少し照れくさそうに見えるアレクシスを見て、私はなんだか胸がきゅんとする。

「ありがとう。」

私は思わず、微笑みながら言った。

その瞬間、アレクシスの顔が少しだけほころんだ。

それでも、すぐに冷静さを取り戻してまた無表情に戻るけれど、その一瞬の笑顔が、私の心をちょっとだけ温かくした。

あれ、意外とアレクシスって…こんなに可愛いところがあるの?
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