2 / 12
第2章 新たな依頼人、セシリア
しおりを挟む
「リリアーナ様、大変でございます! 公爵家のご令嬢、セシリア様が……」
エルザの声が、遠い嵐のように聞こえてきました。
いつもの冷静な彼女からは想像もつかない、切羽詰まった声でした。
窓の外では、春の日の午後の光が穏やかに降り注いでいるのに、サロンの中だけが張り詰めた空気に満ちています。
ティーカップをそっとソーサーに戻しました。甘いカモミールの香りがふわりと立ち上ります。
「エルザ、落ち着いて。セシリア様がいらっしゃったのですね。どうぞ、お通しして」
そう言って微笑みかけるわたしの顔は、きっといつもの『平凡で天然な令嬢』のそれだったでしょう。
しかし、内心は全く落ち着いていませんでした。
公爵家、それもあのハートフィールド公爵家のご令嬢が、わたくしのような子爵家の娘のサロンに、アポイントメントもなく突然いらっしゃるなど、尋常ではありません。
しかもエルザがあれほど慌てているということは、ただの世間話ではないはずです。
ガチャリ、と重厚な扉が開きました。
そこに立っていたのは、いつもの優雅な笑みを完璧にまとうセシリア様とは、まるで別人のようでした。
彼女は、社交界でも屈指の美貌と品格を持つと評されています。常にどんな状況でも毅然と振る舞う、完璧な公爵令嬢。
その彼女が、今、潤んだ瞳で唇を噛み締め、両手でドレスの裾をぎゅっと握りしめていらっしゃいます。
白いドレスの胸元は、小刻みに震えていました。
ああ、この光景……。嫌な予感がします。
「セシリア様! 一体どうなさいました、そのようなご様子で!」
わたしは慌てて立ち上がり、彼女のもとへ駆け寄りました。
「リリアーナ様……ごめんなさい、突然……」
震える声に、彼女がどれほど深く傷ついているのかが伝わってきます。
「どうぞ、お気になさらず。さあ、こちらへ」
セシリア様の手をそっと取り、ソファへと促しました。
ひんやりとした彼女の手は、その内面の混乱を物語っているようでした。
エルザがすぐに温かいカモミールティーを運んできてくれます。
セシリア様は、震える手でカップを受け取ると、ゆっくりと、しかし絞り出すように話し始めました。
「実は……わたくし、ダミアン・エルヴァンス侯爵との婚約を、破棄されてしまいました」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がぎゅっと締め付けられました。
ダミアン・エルヴァンス侯爵。
見目麗しいが、傲慢で自己中心的な男。社交界の話題の中心にいる、あの男です。
「なんてこと……! いったい、なぜ!?」
わたしは、とっさに言葉を失いました。
セシリア様のような完璧な令嬢が、なぜ?
セシリア様は、涙をこらえながら奥歯を噛み締めました。
「彼は……『君は退屈だ。もっと刺激的な恋をしたい』と……そして、新しい女性と楽しげに過ごしているんです……」
その言葉は、わたしの心の奥底に封じ込めていた、苦い記憶を呼び覚ましました。
『君は、地味でつまらない』
かつて、わたしを打ちのめした、冷たい言葉。あの時の痛みと屈辱が、鮮やかに蘇ってきました。
目の前のセシリア様が抱えている痛みは、他人事ではありませんでした。わたし自身の、過去の痛みそのものなのです。
「そんな……あまりにも、ひどすぎますわ! セシリア様のせいではないのに」
わたしは、感情を抑えきれず、思わず立ち上がってしまいました。
セシリア様は、わたしが差し出したハンカチをそっと受け取ると、目元を拭いました。
「リリアーナ様……実は、あなたに、お願いがあって参りました」
彼女は、わたしをまっすぐ見つめました。
その瞳には、まだ涙が浮かんでいますが、それでも強い意志が宿っているように見えました。
「あなたの噂は、かねてより耳にしておりました。『理不尽に傷つけられた女性を、救う存在がいる』と……。どうか、わたくしに、あの侯爵に“ざまあ”をお見舞いするお手伝いをしていただけませんか」
その言葉に、わたしは大きく息を吸いました。
公爵令嬢からの依頼。しかも相手は、社交界の注目を一身に集める、ダミアン侯爵。
これは、今までで一番の大仕事になるでしょう。
ですが、わたしは迷いませんでした。
彼女の目に宿る絶望と、それでも諦めないという覚悟が、わたしの心に強く響いたからです。
過去の自分を救うためにも、彼女の依頼を受けなければならないと、強く感じました。
「セシリア様。わたくしに、そのお手伝いをさせてください。ダミアン侯爵に、最高の“ざまあ”をお見舞いし、あなたの誇りを必ず取り戻してみせます」
そう告げた瞬間、わたしはいつもの『平凡な令嬢』の仮面を脱ぎ捨て、裏の顔である『ざまあ請負人』としての顔に切り替わりました。
わたしの瞳から、優しさは消え、冷たい光が宿ります。そして、口元には、完璧に計算された冷たい笑みが浮かびました。
セシリア様は、そのわたしの変化に、思わず息を呑んだようでした。
「まずは、侯爵の情報を徹底的に集めましょう。彼の弱点、彼の傲慢さ、そして彼が誰を新しい恋人に選んだのか。全てが、今回の“ざまあ”の鍵になりますから」
わたしは、手元の手帳を開き、ペンを手に取りました。
「彼が新しい恋人として連れ回しているのは、ベラ・モンロー様。子爵令嬢ですね。彼女は、社交界でも派手な振る舞いで有名です。ですが、わたしが集めた情報によれば、彼女はかなりの浪費家で、男遊びも激しいという裏の顔を持っていました。きっと、ダミアン侯爵は彼女の奔放さに『刺激』を感じているのでしょう。そして、それが彼の最大の“弱点”になるはずです」
わたしが淡々と情報を述べると、セシリア様は驚きに目を見開きました。
「え……? そんなこと、どうしてリリアーナ様が……?」
「ふふ、情報収集は基本中の基本です。それに、あの伯爵令息は、自分が惚れた女性にうつつを抜かすタイプ。手綱を握りきれていない女性を選んだ時点で、彼の運命は決まっていたようなものです。今回の『ざまあ』は、彼に自ら破滅への道を歩ませていただきます。それが、一番効果的ですから」
わたしの言葉に、セシリア様はまだ半信半疑といった顔つきでしたが、わたしの真剣な眼差しに、やがて力強く頷いてくれました。
「セシリア様。わたくしが、全てを準備しますので、しばらくは静かに過ごしていただきます。そして、いつか、あなた自身が胸を張って新しい人生を歩み出せるよう、お手伝いさせてください」
わたしは、ソファに座るセシリア様の、震える手をそっと包み込むようにして取りました。
彼女の手は、まるで氷のように冷たかったけれど、それでも彼女の心から伝わってくる、諦めないという強い意志が感じられました。
「リリアーナ様……本当に……本当に、ざまあしてくださるのね」
セシリア様は、震える声でそう呟くと、ポロポロと大粒の涙をこぼし始めました。
それは、悲しみの涙というよりも、安堵と希望の涙に見えました。
「もちろんですわ。わたくしにお任せください」
わたしは、彼女の手を包み込んだまま、そっと髪を撫でて差し上げました。
大丈夫、もうあなたは一人じゃない。必ずあなたの無念を晴らしてみせますから。
セシリア様が、少しだけ穏やかな表情でサロンを後にしたあと、わたしは一人、手帳を広げていました。
『ターゲット:ダミアン・エルヴァンス侯爵』
『依頼人:セシリア・ハートフィールド公爵令嬢』
『計画:【自滅型】ダミアンの傲慢さと虚栄心を利用し、社交界での地位を失墜させる』
計画の概要を書き込んだわたしは、ふっと息を吐きました。
いつもの仕事に戻れた安心感と、セシリア様の痛みに触れたことによる、わたし自身の過去の傷の疼き。
複雑な感情が入り混じっていました。
(まったく、この世の男どもときたら……)
そう心の中で毒づきながら、ペンを走らせます。
過去の経験から、男性という生き物がどれほど幼稚で、自己中心的で、そして脆い存在であるかを痛感しています。
だからこそ、理不尽に傷つけられた女性を見ると、放っておけないのです。
それに、この『ざまあ請負人』という仕事は、わたし自身を癒すためのものでもあります。
過去の自分を救うための、ささやかな復讐。そうでも思わなければ、この裏稼業を続けることなんてできませんでした。
「エルザ、今後のスケジュールを調整して。しばらくは社交界の夜会やパーティーに積極的に参加します」
わたしは、エルザを呼び戻し、今後の予定を指示しました。
「かしこまりました。ですが、リリアーナ様……また、あの天然の仮面をお被りに?」
エルザは、わたしの仕事の裏側を唯一知っている存在です。
彼女の言葉に、わたしは苦笑いを浮かべました。
「ええ、もちろん。次の舞台は、ダミアン侯爵家の夜会。わたくしは、彼に警戒されないよう、『平凡で天然な令嬢』として潜入するわ。そして、彼の信頼を得て、計画の第一歩を始めるの」
そう、計画はもう始まっています。まずは、ターゲットに近づき、彼に無害な存在だと思わせること。
それが、一番の近道です。
窓の外を眺めました。
穏やかな春の光の下、人々は幸せそうに行き交っています。その中に、どれだけの悲しみや理不尽が隠されているのでしょうか。そして、それを晴らすために、今日もわたしは動くのです。
エルザの声が、遠い嵐のように聞こえてきました。
いつもの冷静な彼女からは想像もつかない、切羽詰まった声でした。
窓の外では、春の日の午後の光が穏やかに降り注いでいるのに、サロンの中だけが張り詰めた空気に満ちています。
ティーカップをそっとソーサーに戻しました。甘いカモミールの香りがふわりと立ち上ります。
「エルザ、落ち着いて。セシリア様がいらっしゃったのですね。どうぞ、お通しして」
そう言って微笑みかけるわたしの顔は、きっといつもの『平凡で天然な令嬢』のそれだったでしょう。
しかし、内心は全く落ち着いていませんでした。
公爵家、それもあのハートフィールド公爵家のご令嬢が、わたくしのような子爵家の娘のサロンに、アポイントメントもなく突然いらっしゃるなど、尋常ではありません。
しかもエルザがあれほど慌てているということは、ただの世間話ではないはずです。
ガチャリ、と重厚な扉が開きました。
そこに立っていたのは、いつもの優雅な笑みを完璧にまとうセシリア様とは、まるで別人のようでした。
彼女は、社交界でも屈指の美貌と品格を持つと評されています。常にどんな状況でも毅然と振る舞う、完璧な公爵令嬢。
その彼女が、今、潤んだ瞳で唇を噛み締め、両手でドレスの裾をぎゅっと握りしめていらっしゃいます。
白いドレスの胸元は、小刻みに震えていました。
ああ、この光景……。嫌な予感がします。
「セシリア様! 一体どうなさいました、そのようなご様子で!」
わたしは慌てて立ち上がり、彼女のもとへ駆け寄りました。
「リリアーナ様……ごめんなさい、突然……」
震える声に、彼女がどれほど深く傷ついているのかが伝わってきます。
「どうぞ、お気になさらず。さあ、こちらへ」
セシリア様の手をそっと取り、ソファへと促しました。
ひんやりとした彼女の手は、その内面の混乱を物語っているようでした。
エルザがすぐに温かいカモミールティーを運んできてくれます。
セシリア様は、震える手でカップを受け取ると、ゆっくりと、しかし絞り出すように話し始めました。
「実は……わたくし、ダミアン・エルヴァンス侯爵との婚約を、破棄されてしまいました」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がぎゅっと締め付けられました。
ダミアン・エルヴァンス侯爵。
見目麗しいが、傲慢で自己中心的な男。社交界の話題の中心にいる、あの男です。
「なんてこと……! いったい、なぜ!?」
わたしは、とっさに言葉を失いました。
セシリア様のような完璧な令嬢が、なぜ?
セシリア様は、涙をこらえながら奥歯を噛み締めました。
「彼は……『君は退屈だ。もっと刺激的な恋をしたい』と……そして、新しい女性と楽しげに過ごしているんです……」
その言葉は、わたしの心の奥底に封じ込めていた、苦い記憶を呼び覚ましました。
『君は、地味でつまらない』
かつて、わたしを打ちのめした、冷たい言葉。あの時の痛みと屈辱が、鮮やかに蘇ってきました。
目の前のセシリア様が抱えている痛みは、他人事ではありませんでした。わたし自身の、過去の痛みそのものなのです。
「そんな……あまりにも、ひどすぎますわ! セシリア様のせいではないのに」
わたしは、感情を抑えきれず、思わず立ち上がってしまいました。
セシリア様は、わたしが差し出したハンカチをそっと受け取ると、目元を拭いました。
「リリアーナ様……実は、あなたに、お願いがあって参りました」
彼女は、わたしをまっすぐ見つめました。
その瞳には、まだ涙が浮かんでいますが、それでも強い意志が宿っているように見えました。
「あなたの噂は、かねてより耳にしておりました。『理不尽に傷つけられた女性を、救う存在がいる』と……。どうか、わたくしに、あの侯爵に“ざまあ”をお見舞いするお手伝いをしていただけませんか」
その言葉に、わたしは大きく息を吸いました。
公爵令嬢からの依頼。しかも相手は、社交界の注目を一身に集める、ダミアン侯爵。
これは、今までで一番の大仕事になるでしょう。
ですが、わたしは迷いませんでした。
彼女の目に宿る絶望と、それでも諦めないという覚悟が、わたしの心に強く響いたからです。
過去の自分を救うためにも、彼女の依頼を受けなければならないと、強く感じました。
「セシリア様。わたくしに、そのお手伝いをさせてください。ダミアン侯爵に、最高の“ざまあ”をお見舞いし、あなたの誇りを必ず取り戻してみせます」
そう告げた瞬間、わたしはいつもの『平凡な令嬢』の仮面を脱ぎ捨て、裏の顔である『ざまあ請負人』としての顔に切り替わりました。
わたしの瞳から、優しさは消え、冷たい光が宿ります。そして、口元には、完璧に計算された冷たい笑みが浮かびました。
セシリア様は、そのわたしの変化に、思わず息を呑んだようでした。
「まずは、侯爵の情報を徹底的に集めましょう。彼の弱点、彼の傲慢さ、そして彼が誰を新しい恋人に選んだのか。全てが、今回の“ざまあ”の鍵になりますから」
わたしは、手元の手帳を開き、ペンを手に取りました。
「彼が新しい恋人として連れ回しているのは、ベラ・モンロー様。子爵令嬢ですね。彼女は、社交界でも派手な振る舞いで有名です。ですが、わたしが集めた情報によれば、彼女はかなりの浪費家で、男遊びも激しいという裏の顔を持っていました。きっと、ダミアン侯爵は彼女の奔放さに『刺激』を感じているのでしょう。そして、それが彼の最大の“弱点”になるはずです」
わたしが淡々と情報を述べると、セシリア様は驚きに目を見開きました。
「え……? そんなこと、どうしてリリアーナ様が……?」
「ふふ、情報収集は基本中の基本です。それに、あの伯爵令息は、自分が惚れた女性にうつつを抜かすタイプ。手綱を握りきれていない女性を選んだ時点で、彼の運命は決まっていたようなものです。今回の『ざまあ』は、彼に自ら破滅への道を歩ませていただきます。それが、一番効果的ですから」
わたしの言葉に、セシリア様はまだ半信半疑といった顔つきでしたが、わたしの真剣な眼差しに、やがて力強く頷いてくれました。
「セシリア様。わたくしが、全てを準備しますので、しばらくは静かに過ごしていただきます。そして、いつか、あなた自身が胸を張って新しい人生を歩み出せるよう、お手伝いさせてください」
わたしは、ソファに座るセシリア様の、震える手をそっと包み込むようにして取りました。
彼女の手は、まるで氷のように冷たかったけれど、それでも彼女の心から伝わってくる、諦めないという強い意志が感じられました。
「リリアーナ様……本当に……本当に、ざまあしてくださるのね」
セシリア様は、震える声でそう呟くと、ポロポロと大粒の涙をこぼし始めました。
それは、悲しみの涙というよりも、安堵と希望の涙に見えました。
「もちろんですわ。わたくしにお任せください」
わたしは、彼女の手を包み込んだまま、そっと髪を撫でて差し上げました。
大丈夫、もうあなたは一人じゃない。必ずあなたの無念を晴らしてみせますから。
セシリア様が、少しだけ穏やかな表情でサロンを後にしたあと、わたしは一人、手帳を広げていました。
『ターゲット:ダミアン・エルヴァンス侯爵』
『依頼人:セシリア・ハートフィールド公爵令嬢』
『計画:【自滅型】ダミアンの傲慢さと虚栄心を利用し、社交界での地位を失墜させる』
計画の概要を書き込んだわたしは、ふっと息を吐きました。
いつもの仕事に戻れた安心感と、セシリア様の痛みに触れたことによる、わたし自身の過去の傷の疼き。
複雑な感情が入り混じっていました。
(まったく、この世の男どもときたら……)
そう心の中で毒づきながら、ペンを走らせます。
過去の経験から、男性という生き物がどれほど幼稚で、自己中心的で、そして脆い存在であるかを痛感しています。
だからこそ、理不尽に傷つけられた女性を見ると、放っておけないのです。
それに、この『ざまあ請負人』という仕事は、わたし自身を癒すためのものでもあります。
過去の自分を救うための、ささやかな復讐。そうでも思わなければ、この裏稼業を続けることなんてできませんでした。
「エルザ、今後のスケジュールを調整して。しばらくは社交界の夜会やパーティーに積極的に参加します」
わたしは、エルザを呼び戻し、今後の予定を指示しました。
「かしこまりました。ですが、リリアーナ様……また、あの天然の仮面をお被りに?」
エルザは、わたしの仕事の裏側を唯一知っている存在です。
彼女の言葉に、わたしは苦笑いを浮かべました。
「ええ、もちろん。次の舞台は、ダミアン侯爵家の夜会。わたくしは、彼に警戒されないよう、『平凡で天然な令嬢』として潜入するわ。そして、彼の信頼を得て、計画の第一歩を始めるの」
そう、計画はもう始まっています。まずは、ターゲットに近づき、彼に無害な存在だと思わせること。
それが、一番の近道です。
窓の外を眺めました。
穏やかな春の光の下、人々は幸せそうに行き交っています。その中に、どれだけの悲しみや理不尽が隠されているのでしょうか。そして、それを晴らすために、今日もわたしは動くのです。
1
あなたにおすすめの小説
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
貧乏伯爵家の妾腹の子として生まれましたが、何故か王子殿下の妻に選ばれました。
木山楽斗
恋愛
アルフェンド伯爵家の妾の子として生まれたエノフィアは、軟禁に近い状態で生活を送っていた。
伯爵家の人々は決して彼女を伯爵家の一員として認めず、彼女を閉じ込めていたのである。
そんな彼女は、ある日伯爵家から追放されることになった。アルフェンド伯爵家の財政は火の車であり、妾の子である彼女は切り捨てられることになったのだ。
しかし同時に、彼女を訪ねてくる人が人がいた。それは、王国の第三王子であるゼルーグである。
ゼルーグは、エノフィアを妻に迎えるつもりだった。
妾の子であり、伯爵家からも疎まれていた自分が何故、そんな疑問を覚えながらもエノフィアはゼルーグの話を聞くのだった。
王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない
エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい
最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。
でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
【完結】冷遇・婚約破棄の上、物扱いで軍人に下賜されたと思ったら、幼馴染に溺愛される生活になりました。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
恋愛
【恋愛151位!(5/20確認時点)】
アルフレッド王子と婚約してからの間ずっと、冷遇に耐えてきたというのに。
愛人が複数いることも、罵倒されることも、アルフレッド王子がすべき政務をやらされていることも。
何年間も耐えてきたのに__
「お前のような器量の悪い女が王家に嫁ぐなんて国家の恥も良いところだ。婚約破棄し、この娘と結婚することとする」
アルフレッド王子は新しい愛人の女の腰を寄せ、婚約破棄を告げる。
愛人はアルフレッド王子にしなだれかかって、得意げな顔をしている。
誤字訂正ありがとうございました。4話の助詞を修正しました。
「誰もお前なんか愛さない」と笑われたけど、隣国の王が即プロポーズしてきました
ゆっこ
恋愛
「アンナ・リヴィエール、貴様との婚約は、今日をもって破棄する!」
王城の大広間に響いた声を、私は冷静に見つめていた。
誰よりも愛していた婚約者、レオンハルト王太子が、冷たい笑みを浮かべて私を断罪する。
「お前は地味で、つまらなくて、礼儀ばかりの女だ。華もない。……誰もお前なんか愛さないさ」
笑い声が響く。
取り巻きの令嬢たちが、まるで待っていたかのように口元を隠して嘲笑した。
胸が痛んだ。
けれど涙は出なかった。もう、心が乾いていたからだ。
氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。
吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる