【完結】お飾り花嫁のはずなのに、なぜか皮肉ばかり言う意地悪伯爵の溺愛が止まりません。

朝日みらい

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(14)二人きりの夜

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その日の夜、エリーナはリビングで編み物をしていた。

アルフォンスが静かに本を読んでいる横で、彼女は自分の集中力をなんとか保とうとしていた。

というのも、アルフォンスがずっと、じーっと彼女を見つめているからだ。

「…アルフォンスさん、何をそんなに見ているんですか?」

「君を見ている。」

「そ、それは分かりますけど、理由を聞いてるんです!」

エリーナは顔を赤くしながら問い返したが、彼は微動だにしない。

「理由か。特にない。ただ、君を見ていると落ち着く。」

「そんなこと言われたら、私が落ち着きません!」

エリーナは慌てて視線をそらし、編み物に集中しようとする。

しかし、アルフォンスの低い笑い声が聞こえてきた。

「お前は本当に可愛いな。」

「か、可愛いって…もう、やめてください!」

エリーナの耳まで真っ赤になっているのを見て、アルフォンスは満足そうに微笑む。

そして、彼女の隣に腰を下ろした。

「それで、何を作っているんだ?」

「…スカーフです。」

「私のためか?」

不意の問いに、エリーナは編み針を止めて彼を見上げた。

「違います!自分用です!」

「ほう、自分用か。」

彼は口元に薄く笑みを浮かべながら、突然彼女の手から編み物を取り上げた。

「ちょ、ちょっと、何するんですか!」

「よく見せろ。お前の編み目はどうにも乱雑だ。」

「…ひどいこと言いますね!初心者なんですから、仕方ないじゃないですか!」

エリーナはプンプンと膨れながら彼に詰め寄るが、アルフォンスは気にする素振りもなく、編み物を眺めていた。

「まあ、私のスカーフとして使うなら、許してやろう。」

「だから、自分用だって言ってるじゃないですか!」

「だが、私は欲しい。だから、それは私のものだ。」

その言葉に、エリーナはしばらく黙り込んでしまった。

彼の真剣な目が、冗談を言っていないことを物語っている。

「…そんなに欲しいなら、アルフォンスさんの分も作りますよ。」

「いや、これがいい。君が私のために作っていると思いながら使いたい。」

エリーナは唖然としながら彼を見つめるしかなかった。

「なんですかそれ…もう、本当にずるいです。」

「ずるいと言うなら、お前もずるくなればいい。だが、今の君が可愛すぎて手を離せなくなるかもしれんがな。」

そう言いながら、アルフォンスは彼女の頭を優しく撫でた。

「…こんなこと言われたら、本当に作る気がなくなりますよ。」

「それでも構わん。私は、こうして君が怒る顔も好きだからな。」

エリーナはため息をつきながら、彼の腕を軽く叩いた。

「本当に意地悪なんだから…!」

「そう思うか?」

「はい!」

だが、彼女の目に少しだけ浮かんでいる笑顔を見て、アルフォンスはそれ以上何も言わずに彼女をじっと見つめ続けた。
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