手向け花を捧ぐーREー

第45話

「この力について・・・ご存知なんですか？」

リチアは寮を出ると、学校の正面の上に飾られている大きなマシュリ像を見上げる。





この学校は・・・いえ・・・この世界は神様に見守られている・・・。
神様はそこら辺に存在しているから・・・。



そんな神様のいる世界に生まれ変わらせたのが、命を共有すると言われている鳥。この世の神を産んだとも言える存在、創造神様。









リチアはそんなマシュリ像に軽くお辞儀をすると門の方へと走った。





でも、そんな神がいてくれたお陰で私はもう一度この世界へ帰ってこれたから・・・。





門に向かって走っている時、ふと
ランが言っていたセリフを思い出した。




ーー

ラン「お客様が門の外で待ってるそうなので早く行ってあげてくださいね」

ランは寮の部屋を出ていこうとしたのをリチアが引き止める。


リチア「まっ、待ってください！」

ラン「・・・どうしました？」

リチア「・・・先輩・・・。あの、昨日のこと・・なのですが・・・」

ラン「リチアさんは気にしすぎです。気にしなくても別に大丈夫ですよ？」

リチア「・・・分かってます。先輩には人とは違って、力があるのですから・・・。
先輩は私にも力があるのではないかと言ってました。
私は今まで知りませんでした・・・私にあんな・・・力があったなんて・・・。先輩は・・・この力について・・・ご存知、なんですか？」

ラン「・・・力を持っているという事は、リチアさんも既に体験したのでは？
白い空間で、神様にお会いしませんでしたか？」

リチア「・・・！」





そう。確か私は・・・神様に・・・。

マシュリ様に会った・・・そして・・・心臓をくれるかわりに、この世界に蘇らせてくれて・・・神の力を・・・くれると言ってた、ような・・・。





リチアは白い空間でマシュリと会話をしたことを思い返す。




忘れてたけれど・・・
力を使ったことで・・・全て思い知らされました・・・。そうだ、私は・・・もう・・・






普通の人間じゃ、ないんですね。




ラン「空間の中で神様と契約を交わしたことを、僕たちの間では神の領域と呼んでます」









神の領域・・・。

私は、一度死んだ・・・
あの時、私は轢かれて・・・。あの日が私の命の終わりでした・・・。



でもまだ私がここにこうして生きていられるのは・・・きっと・・・まだ死んでなんていられないから・・・。
その為に私は・・・

神様の・・・マシュリ様と契約を交わし、現世に甦らせてくれたんだ・・・。


　


ー





リチアは門を開くボタンを押して、門を潜っていく。












私はマシュリ様に心臓を捧げた時に決めたんです。
私はこの世界で、ずっとケイの近くで、側で・・ケイを見守っていくんだって・・・。









この騎士学校は門が二重になっていて、一つの門を超えれば更に先にももう一つの門がある。

リチアは二つ目の門の扉を開け、外へと出たリチアはそこに立っていた人に目を丸くした。










リチア「・・・え？お、お母様！？」