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第97話
「確かに心はないですけど、ちゃんと良心はあります・・・!!」
しおりを挟むこの瞳・・・本気だ・・・本気でお兄様は、私を殺そうと・・・・・?
コチョウ「この際なので全部暴露しちゃいましょうか。市民が思ってるほどに、僕は・・・僕らは良いヒーローなどではないのですよ。
たくさん罪を犯してきました。
要はこういうことですよ。
人形を売って職人さんが素晴らしい人形を作りそれらを商品として金を儲けているのです、僕たちは。
貴方にあげた人形もそう・・・それらは元々、生きていた人間たちから作られたお人形なのです」
リチア「・・・・え・・・?」
コチョウ「人形を作る工程としてはまず、人間の首を切り落とし要らない眼球をくり抜き手足胴体などをバラバラにして、その首に新しい胴体を取り付け手足を付け加えて新しい眼球を入れて完成です。
その眼球は綺麗な瞳の人間から抜き取りました。
職人さんは最初は苦痛で苦労されて居たようですが、だんだん慣れてきて手際よく人形を作ってくれまして、よくやってくれた方ですね」
リチア「な・・・なに、言って、るの・・・・?」
コチョウ「あぁ、心配しないでください。痛みはほぼ感じませんから。そういう魔法をかけたので。だから手足など切ったところで痛みはしませんよ」
リチア「っそんなことを言ってるんじゃありません!!そんなことを・・・お兄様が・・・?」
コチョウ「僕らはただ人形を職人さんに提供しただけですが。まぁそれでも同罪には変わらないのですけど」
リチア「そん、な・・・じゃあ・・・じゃあ・・・人形屋にあった、あの人形は・・・・・」
"瞳が綺麗"
そんなセリフを人形屋で吐いていたことをリチアは思い出す。
コチョウ「はい。全部生きて居た人間です。
ちなみに、喋れる人形と喋らない人形の違いはその人形の中に元々生きて居た人間の心臓をくり抜いて人形に入れてやることで会話が可能となる仕組みです。
リチアさんにプレゼントされた人形もそれですね」
リチアはそれを想像してしまったのか、嘔吐しかけたが胃が空っぽのため吐くことはなかった。
うそ・・・・でしょ・・・・?
信じて、たのに・・・ずっと・・・・思って、たのに・・・・
今まで私に微笑んでくれて、守ってくれた先輩が・・・お兄様が・・・・
コチョウ「人形にされた者は死ぬ判定には入っていませんので、墓も建つこともありません。なにも心配は入りません。だからまさかこうなっているという事実はだれにも知られていない。唯一知っているのが職人様くらいでしょうか」
リチア「・・・っ全部・・・お兄様達の仕業、だったんですね・・・どうして・・・!
人間を、なんだと思ってるんですか・・・!?」
コチョウ「心のない僕らにとっては人間も何も関係ないと思いますけど」
リチア「私は・・・っ、確かに心はないですけど、ちゃんと良心はあります・・・!!」
コチョウ「・・・貴方の神様は特別な神の様ですね。貴方をみていると眩しくて敵いませんよ」
本当に・・・。
コチョウはその場にへたり込んでいるリチアの首元に剣の矛先を当てる。
コチョウ「今の僕は魔法が使えません。なので治療も使えません。
だから出来れば怪我を負わせたくありません。
神を教えてくれさえすれば、剣を振らずに済む・・・。
言えないのであれば、何回でも斬り刻み強引にでも吐かせてやりますよ」
リチア「・・・・っ」
リチアはそんなコチョウを見上げ怯えていたため一歩も動けずに一滴の涙を溢した。
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