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あなたはとてもバカな人間
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1日の授業が終わり、帰りのHRが終わるチャイムが鳴ると、男は私の手を引いた
「どこに行くの?」
「屋上だよ」
階段を上がりドアの開く音が聞こえた
やっとわかる
今までなにも分からなかった母の死の理由
そして私が失明した理由
はぁ、とため息が聞こえた
「教えて、お母さんはどうして死んだの?」
「...これから言うことは他言するなよ、それだけ約束しろ」
男の顔が近い気がした
こくりと頷くと男は深く深呼吸した
「お前の母親は、俺の兄貴が殺したんだ」
再び訪れる沈黙
周りに吹いているはずの風が感じられないほどに、私は硬直していた
「な...んで、なんで...?私の目もあなたのお兄さんのせいなの?」
「...あぁ」
意味がわからない
「私が失明したとき、なにも痛みなんて感じなかった!切られたり殴られたりした感覚だってなかった...」
「それが兄貴の能力だ」
「能力...?なにを言ってるの」
訳のわからない怒りが込み上げてくる
「俺と兄貴は、虐待されてたんだよ」
「...虐待?」
男は朝のような雰囲気ではなく、冷たく重い雰囲気を纏っていた
「虐待されて、人身売買で引き取られた奴に人体実験されて、俺は実験に成功したけど...兄貴は失敗しちまったんだよ」
虐待、人身売買、人体実験。
そんな恐ろしいな言葉がこの男の口から出たことに驚きが隠せなかった
「何をされたかは覚えてない。でも、俺らが人間じゃなくなったってことはわかる」
ここまで聞いてやっとわかった
母を殺したこの男のお兄さんを責めることができないことも
この男が親という言葉を知らないと言った意味も
「あなたは人間だよ」
そう口に出すと、一瞬、男の雰囲気が柔らかくなった
「さっき言っただろ?俺はもう人間じゃねぇんだ」
少し寂しそうな声
「あなたはとてもバカな人間」
「...うるせー」
少し笑ってくれた
親がいないという点においては、私と似ている
親近感が湧いた
「お兄さんは、どうするの?」
「...もちろん止める。今の兄貴は人を殺すことを楽しんでるからな」
「どこにいるかわかるの?」
「お前が快楽殺人者だったら、どこを狙う?」
なんだその物騒な質問
「...人の多いところ?」
「だよな、俺と兄貴は双子なんだ。当たり前だけど見た目は瓜二つ」
「そ...そっか」
「人が多くて自分が紛れやすいとこって言ったら...」
「...!」
「ここだろ?」
「高校......」
「どこに行くの?」
「屋上だよ」
階段を上がりドアの開く音が聞こえた
やっとわかる
今までなにも分からなかった母の死の理由
そして私が失明した理由
はぁ、とため息が聞こえた
「教えて、お母さんはどうして死んだの?」
「...これから言うことは他言するなよ、それだけ約束しろ」
男の顔が近い気がした
こくりと頷くと男は深く深呼吸した
「お前の母親は、俺の兄貴が殺したんだ」
再び訪れる沈黙
周りに吹いているはずの風が感じられないほどに、私は硬直していた
「な...んで、なんで...?私の目もあなたのお兄さんのせいなの?」
「...あぁ」
意味がわからない
「私が失明したとき、なにも痛みなんて感じなかった!切られたり殴られたりした感覚だってなかった...」
「それが兄貴の能力だ」
「能力...?なにを言ってるの」
訳のわからない怒りが込み上げてくる
「俺と兄貴は、虐待されてたんだよ」
「...虐待?」
男は朝のような雰囲気ではなく、冷たく重い雰囲気を纏っていた
「虐待されて、人身売買で引き取られた奴に人体実験されて、俺は実験に成功したけど...兄貴は失敗しちまったんだよ」
虐待、人身売買、人体実験。
そんな恐ろしいな言葉がこの男の口から出たことに驚きが隠せなかった
「何をされたかは覚えてない。でも、俺らが人間じゃなくなったってことはわかる」
ここまで聞いてやっとわかった
母を殺したこの男のお兄さんを責めることができないことも
この男が親という言葉を知らないと言った意味も
「あなたは人間だよ」
そう口に出すと、一瞬、男の雰囲気が柔らかくなった
「さっき言っただろ?俺はもう人間じゃねぇんだ」
少し寂しそうな声
「あなたはとてもバカな人間」
「...うるせー」
少し笑ってくれた
親がいないという点においては、私と似ている
親近感が湧いた
「お兄さんは、どうするの?」
「...もちろん止める。今の兄貴は人を殺すことを楽しんでるからな」
「どこにいるかわかるの?」
「お前が快楽殺人者だったら、どこを狙う?」
なんだその物騒な質問
「...人の多いところ?」
「だよな、俺と兄貴は双子なんだ。当たり前だけど見た目は瓜二つ」
「そ...そっか」
「人が多くて自分が紛れやすいとこって言ったら...」
「...!」
「ここだろ?」
「高校......」
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