3 / 42
2話ー① 惑星文明の滅亡
しおりを挟む「おにぃ。招集。」
そう言って声をかけてきたのは妹のエリーだ。
彼女は同じ研究施設で僕の妹として改造された。血の繋がりはない。
「マジか、久々の休日だったのに。」
「私も。潰された。」
彼女は無気力そうな顔で、言葉を一語一語区切って投げかけてくる。
以前はもっと普通に話していたが.......
いつの間にか聞き取りにくい話し方になってしまった。
「でも……休みの人を出勤させるほど緊急事態ってことだよね?」
僕は冒険者ギルドで冒険者として活動している。
最上位ではないがそれなりの実力を持ち、重宝されている。
天界の冒険者ギルドは、福利厚生がとてもしっかりとしている。
よほどの緊急性がない限り、休みの人を引きずり出すことはない。
命の危険を伴う仕事もあるにはあるが、組織としてはかなりホワイトだ。
「狂化星霊ベヒモス。今上位冒険者いない。」
「最近多いよな。そういうことなら仕方ない。報酬は弾んでくれるだろうし。」
魔獣の発生率はここ1000年で3倍近くに膨れ上がっており、これは明らかに異常な値だ。
僕は人為的な策略が背後にあると予想している。
「急いで準備するからここで少し待っててくれ。あと、長距離転移用の魔道具は持ってる?」
「持ってきた。急いで。」
「了解。すぐ行く。ダルい.......」
僕は本をしまい、急いで本邸へと飛んで行った。
:出発してから少し後:
僕らは広大な宇宙空間を、飛行魔法で高速移動していた。
目的地の経路には宇宙ガスや恒星が存在する。
そのため、最低限の防御魔術を施す必要があるのだ。
そして僕は妹に問いかけた。
「飛びながらでいい。口頭で討伐対象の情報を教えてくれ。」
「ベヒモス。全長800m前後、狂化状態。生態系、破壊中。数時間で星の生態系、完全破壊、する。」
「情報少な......まぁ問題はないか?過去の戦闘データも活かせば対処できそうだな。」
星霊ベヒモスは魔獣ベヒモスとは異なり難易度が極めて高い。
そして狂化しているという事はより強化されており、惑星文明はほぼ壊滅状態だ。
それは並みの惑星文明にとっては滅びそのものであり、こうして天上神界が介入するのだ。
情報では生態系が数時間内に破壊されるとあった。
生態系破壊ということは、惑星全体の生命が壊滅的な被害を受けているという事だ。
もっとも魔物に標的とされやすい、知性生命体の生存者はもう存在しないだろう。
「おにぃ。使用可能圏内。魔道具イケる。」
「座標の特定だね!ちょっと待て!」
天上神界はその高度な技術力を持って、数光年単位の距離をワープできる魔道具の開発に成功している。
そしてその中でも、長距離転移魔道具と呼ばれる魔道具は、数十万光年という膨大な距離を一息に移動できるのだ。
しかし価格も高く、使用後は使い捨てとなる。
コストパフォーマンス最悪の代物だ。
「座標算出の魔術は僕が使うよ。時間がないからね。」
「私、それ嫌い。」
「嫌い?ちゃんと使えるだろう?」
「うん。じゃなきゃ死んでる。嫌いなだけ。」
実を言ってしまうと、もっと長い距離を移動できる転移魔道具は存在する。
しかし今回は手持ちの転移魔道具で移動できる範囲内まで飛行する方が早いと判断した。
転移魔道具は誰でも買えるような代物ではない。
手続きや、申請などに掛かる時間を鑑みると、今あるものの転移範囲まで飛行する方が早いのだ。
「計算まだ?」
「トイレ行っていい?」
「おにぃ??」
「冗談!今終わった。いくぞ!進行方向にゲートを開く。減速せずに飛び込め!」
長距離転移魔道具には3つの情報を設定する必要がある。
まずは「0」と定める中心の座標。
次に目的地の座標。
そしてゲートを使用する位置の座標だ。
特に使用地点の座標計算が難しい。それは使用する僕達が高速で移動しているからだ。
ミスをすれば既に通りすぎた地点にゲートを開いてしまうことになる。
そして極めてどうでもいい情報だが......僕らに神族に排泄は必要ない。
「よし!着いたぞ!!軽く惑星全体を調べて。」
「......文明滅亡、確認。」
結果は......絶望的だった。
既にこの惑星の文明は滅亡している。
......たった一匹の怪物によって......
僕らは眼前に広がる緑の巨大惑星と対峙する。
「主人公の妹、エリー・ゼレトルスのイメージイラスト」
https://kakuyomu.jp/users/nagisakgp/news/16818093077729795816
★★★☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
エリーのイメージイラストは近況ノートにあります。
第2話ー①を読んでいただきありがとうございます!
今回は狂化星霊ベヒモスとの戦闘です。
星霊とは、その惑星の意思を色濃く受け継いだいわば星に作られ、選ばれた生命の事です。
そして今回のベヒモスは、その星霊を取り込んだ凶暴な個体です。
ベヒモス自体が元々星霊だったわけではありません。
次回!ついにベヒモス登場!?だけども何かがおかしい?
惑星規模で繰り広げられるベヒモスとの戦い!開幕!!
ぜひご覧ください!
1
あなたにおすすめの小説
タイム連打ってなんだよ(困惑)
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」
王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。
パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。
アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。
「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」
目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?
※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。
『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。
だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。凛人はその命令を、拒否する。
彼は、大地の女神により創造された星骸と呼ばれる伝説の六英雄の一人を従者とし、世界を知るため、そして残りの星骸を探すため旅に出る。
しかし一つ選択を誤れば世界が滅びる危うい存在……
女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。
これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした
夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。
しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。
やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。
一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。
これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる