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☆番外編2☆ (27章〜28章辺り)
勝負の行方5*
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片手にはドライヤー、反対の手にはブラシを持つ俺を、瑤子は鏡越しに見上げている。その顔が、なんとなく恨めしげに見えるのは気のせいだろうか。
「ほら。できたぞ?」
ドライヤーのスイッチを切りそう言うと、鏡の中の瑤子と目があった。
「なんでそんな顔してんだよ?」
無意識に顔を顰めて尋ねると、瑤子はようやく口を開いた。
「司がなんでもできちゃうのが悔しくて!」
「……何言ってんだよ?」
呆れるように返し、俺はまだ乾かしていない自分の髪を適当に乾かし始める。と言っても、すでに瑤子の髪を乾かしている間にほぼ乾いていて、ドライヤーなんかものの1分だ。
瑤子は目の前に座ったまま、まだ複雑そうに俺を見ていた。
「本当に……。岡田さんの言う通り、司って器用よね。さっきだって私の髪をブローしてくれたし」
「見よう見まねだけどな?」
ドライヤーやタオルを片付けながら返すと、「だから! それでできちゃうでしょ?」と、瑤子は不満気だ。
「俺にだってできねぇことくらいあるだろ……」
そう答えながら、俺はこれはあれだ……、絶対に今負けず嫌い発動中だ、と背中越しに瑤子の様子を盗み見る。
写真勝負にしろ、普段にしろ、瑤子は時々俺に勝負を仕掛けてくる。
の割には、自分が勝っても認めようとしない、なかなかに面倒な性格をしている。いくら俺のほうが負けっぱなしだと言っても、そこはなぜか全く信用してくれないのだから。
いまだって、そんな少しお怒りモードの瑤子を見て、『すっげー可愛いな』とこの俺に思わせていることに気づいていない。
「もういいだろ? 俺の弱点はベッドの中で考えろよ?」
俺が楽しげに笑っていたからか、瑤子は頰を膨らませながら立ち上がった。
「さっきもしたし、ちゃんと寝かせてくれるわよね?」
念を押すように、瑤子は俺に言う。確かにさっきまで、いつものようについつい瑤子を啼かせはした。が、もちろんそれだけじゃ足りない。
「そんなわけないだろ? 俺はまだ達ってねぇし?」
「へっ? 嘘でしょ?」
「嘘だと思うんなら、もう一回試してみる?」
瑤子はみるみるうちに顔を赤らめると、「なっ! 何言ってるのよ! 結局一緒じゃない!」と叫んでいる。
そんな瑤子を見て、俺は笑いを止められないでいた。
ったく、こんなに笑わせられてる時点で俺の負けだっつぅの!
言ったところで認めはしないだろう。でも、俺が本当はこんな風に笑う人間じゃなかった、なんて信じねぇだろうな、なんて考えながら、俺は寝室の扉を開けていた。
「あ、やっ。ちょっと、んっっ」
俺の横で体を揺らしながら、瑤子はそんな声を出す。もどかしそうに、不本意と言いたげな表情で、俺の片腕に縋り付いている。
俺はその様子を、横を向いて寝そべったまま、頭だけ自分の腕で支えて見下ろしていた。
「何? やめて欲しいのか?」
そう言いながら、布団で隠れている手を動かす。
「ひゃっ、あ、だ、めっ」
瑤子は動きに合わせるように身を捩る。俺の指には温かな蜜がいっそう絡みつき、グチュグチュとイヤラシイ感覚を伝えてきた。
「や、だ、達っちゃうっ、あ、んんっ」
しがみつく指に力を入れて、瑤子は官能的に顔を歪めた。
「すげぇ、いい顔。もっと見せて?」
そう言いながら、瑤子の中を掻き混ぜる。
「あっ、あぁっ! やだぁっ。な、んども……達かせっ、ないでっ」
途切れ途切れに、熱く息とともにそう瑤子は吐き出す。確かにさっきから、ずっと俺に達かされ続けている。
「お前の達く顔、何度見ても飽きねぇからな」
軽く唇を落として顔を離すと、瑤子は悩ましげに薄目を開けた。
「あ、んっ、んっ! な、に、言ってる……のよっ」
いっこうに中を擦る指の動きを止めない俺に、抵抗するようにそう言う。
「じゃ、どうして欲しい?」
少しだけ体を倒して耳元で囁くと、スルリと瑤子の腕が俺の腕に絡む。
「…………て」
「……何?」
唇だけ動かしたような、小さな声。
だが俺は、なんて言ったのか、わかっていながらあえて尋ねる。我ながら意地が悪い、とは思うがやめられない。
「はぁ、っ。挿入て。……お願い」
その言葉に俺は息を漏らし笑うと、瑤子の体に跨った。そして指を抜き、代わりに瑤子が欲しがっているものを蜜口にあてがった。
少し中に挿入ただけで、もっと欲しいと蠢きながら俺を誘う。
「これで、いいか?」
ワザとらしく浅い場所を擦りながら尋ねる。瑤子は涙を溜めて、恨めしげに俺を見上げていた。
「やっぁ、あっ、ンっ! ち、がうの、わかってるんで、しょ?」
ゆるゆると動く俺にそう訴えかけながら、瑤子は俺に腕を伸ばした。
「もっと、奥、まで……。きて、おねが、いっ」
途端に背中に電流が走る。何度こうして求められても、その度に俺を滾らせる。本当に、いつも負けているのは俺のほうだ。
膝裏を抱え、体を倒すように瑤子の中に一気に入る。
「あっ、あぁっ!」
ひときわ高い声を上げて、瑤子は俺の背中にしがみついた。
「ほ、んとっ。お前の中、気持ちいい、わ」
心の声を漏らしながら、俺は一層その淫靡な体に溺れていた。
「ほら。できたぞ?」
ドライヤーのスイッチを切りそう言うと、鏡の中の瑤子と目があった。
「なんでそんな顔してんだよ?」
無意識に顔を顰めて尋ねると、瑤子はようやく口を開いた。
「司がなんでもできちゃうのが悔しくて!」
「……何言ってんだよ?」
呆れるように返し、俺はまだ乾かしていない自分の髪を適当に乾かし始める。と言っても、すでに瑤子の髪を乾かしている間にほぼ乾いていて、ドライヤーなんかものの1分だ。
瑤子は目の前に座ったまま、まだ複雑そうに俺を見ていた。
「本当に……。岡田さんの言う通り、司って器用よね。さっきだって私の髪をブローしてくれたし」
「見よう見まねだけどな?」
ドライヤーやタオルを片付けながら返すと、「だから! それでできちゃうでしょ?」と、瑤子は不満気だ。
「俺にだってできねぇことくらいあるだろ……」
そう答えながら、俺はこれはあれだ……、絶対に今負けず嫌い発動中だ、と背中越しに瑤子の様子を盗み見る。
写真勝負にしろ、普段にしろ、瑤子は時々俺に勝負を仕掛けてくる。
の割には、自分が勝っても認めようとしない、なかなかに面倒な性格をしている。いくら俺のほうが負けっぱなしだと言っても、そこはなぜか全く信用してくれないのだから。
いまだって、そんな少しお怒りモードの瑤子を見て、『すっげー可愛いな』とこの俺に思わせていることに気づいていない。
「もういいだろ? 俺の弱点はベッドの中で考えろよ?」
俺が楽しげに笑っていたからか、瑤子は頰を膨らませながら立ち上がった。
「さっきもしたし、ちゃんと寝かせてくれるわよね?」
念を押すように、瑤子は俺に言う。確かにさっきまで、いつものようについつい瑤子を啼かせはした。が、もちろんそれだけじゃ足りない。
「そんなわけないだろ? 俺はまだ達ってねぇし?」
「へっ? 嘘でしょ?」
「嘘だと思うんなら、もう一回試してみる?」
瑤子はみるみるうちに顔を赤らめると、「なっ! 何言ってるのよ! 結局一緒じゃない!」と叫んでいる。
そんな瑤子を見て、俺は笑いを止められないでいた。
ったく、こんなに笑わせられてる時点で俺の負けだっつぅの!
言ったところで認めはしないだろう。でも、俺が本当はこんな風に笑う人間じゃなかった、なんて信じねぇだろうな、なんて考えながら、俺は寝室の扉を開けていた。
「あ、やっ。ちょっと、んっっ」
俺の横で体を揺らしながら、瑤子はそんな声を出す。もどかしそうに、不本意と言いたげな表情で、俺の片腕に縋り付いている。
俺はその様子を、横を向いて寝そべったまま、頭だけ自分の腕で支えて見下ろしていた。
「何? やめて欲しいのか?」
そう言いながら、布団で隠れている手を動かす。
「ひゃっ、あ、だ、めっ」
瑤子は動きに合わせるように身を捩る。俺の指には温かな蜜がいっそう絡みつき、グチュグチュとイヤラシイ感覚を伝えてきた。
「や、だ、達っちゃうっ、あ、んんっ」
しがみつく指に力を入れて、瑤子は官能的に顔を歪めた。
「すげぇ、いい顔。もっと見せて?」
そう言いながら、瑤子の中を掻き混ぜる。
「あっ、あぁっ! やだぁっ。な、んども……達かせっ、ないでっ」
途切れ途切れに、熱く息とともにそう瑤子は吐き出す。確かにさっきから、ずっと俺に達かされ続けている。
「お前の達く顔、何度見ても飽きねぇからな」
軽く唇を落として顔を離すと、瑤子は悩ましげに薄目を開けた。
「あ、んっ、んっ! な、に、言ってる……のよっ」
いっこうに中を擦る指の動きを止めない俺に、抵抗するようにそう言う。
「じゃ、どうして欲しい?」
少しだけ体を倒して耳元で囁くと、スルリと瑤子の腕が俺の腕に絡む。
「…………て」
「……何?」
唇だけ動かしたような、小さな声。
だが俺は、なんて言ったのか、わかっていながらあえて尋ねる。我ながら意地が悪い、とは思うがやめられない。
「はぁ、っ。挿入て。……お願い」
その言葉に俺は息を漏らし笑うと、瑤子の体に跨った。そして指を抜き、代わりに瑤子が欲しがっているものを蜜口にあてがった。
少し中に挿入ただけで、もっと欲しいと蠢きながら俺を誘う。
「これで、いいか?」
ワザとらしく浅い場所を擦りながら尋ねる。瑤子は涙を溜めて、恨めしげに俺を見上げていた。
「やっぁ、あっ、ンっ! ち、がうの、わかってるんで、しょ?」
ゆるゆると動く俺にそう訴えかけながら、瑤子は俺に腕を伸ばした。
「もっと、奥、まで……。きて、おねが、いっ」
途端に背中に電流が走る。何度こうして求められても、その度に俺を滾らせる。本当に、いつも負けているのは俺のほうだ。
膝裏を抱え、体を倒すように瑤子の中に一気に入る。
「あっ、あぁっ!」
ひときわ高い声を上げて、瑤子は俺の背中にしがみついた。
「ほ、んとっ。お前の中、気持ちいい、わ」
心の声を漏らしながら、俺は一層その淫靡な体に溺れていた。
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