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2.吹き荒れるは、春疾風
24*
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一度緩めた腕に再び力を込め、彼は私を抱き寄せる。そして耳には、悩ましげに息を吐く気配が伝わってきた。
「それって……どういう意味?」
「え?」
遠回しすぎたのか、それともわかっていて尋ねているのか、どちらなのだろう。けれどはっきりわかるのは、彼の心臓も自分と同じくらい早鐘を打っているということだ。
「嘘ついてごめんなさい。明日、本当は仕事は午後から……なんです。だから……」
朝帰りでも構わない、と口に出すのは憚られ言葉を濁す。彼はどう思っているだろうか。結婚は考えていないなんて言いながら、大人の関係を望むような私のことを。
「今日は……帰さなくてもいい、って受け取ってもいいのか?」
「……その。重く受け取らないでください。デーティングで体の相性を確かめるなんて、よくあることでしょう?」
あえて強がってそんなことを言ってみる。日本ではあり得ない話だが、アメリカではそうじゃない。あくまでもデーティングの一環として、ともっともらしい理由をこじつけた。
「……途中で止められるほど、俺はできた男じゃないけど。いいのか?」
「私、二十九ですよ? 大丈夫です」
笑いながら答えるけど、本当は少し怖い。彼を満足させられないのは、経験値の低い自分のほうだ。初めてを捧げたあの日から、誰にも体を許してこなかったのだから。
「……そうか。恵舞ももう、二十九になるんだな……。では、誘いに乗ろうか。体の相性を確かめるために」
囁かれるように吐き出された言葉は耳を撫で、瞬く間に体の熱を上げていた。
掴まって、と言われて素直に首に腕を回すと、そのまま抱え上げられる。恥ずかしくて肩に顔を埋めていると、彼は私を軽々と腕に抱えたままリビングを出た。
寝室は玄関から一番近い部屋で、そこに入るとセンサーが付いているのか、ベッドのフットライトが部屋をほんのりと照らした。
「あの、シャワーとか……」
まだその腕の中でおずおず尋ねる私を、依澄さんはベッドに下ろす。ギシリとベッドが揺れると、彼はそのまま私を組み敷いた。
「……悪い。今はそんな余裕はないんだ」
こんな状況には慣れていて、自信だってあるはずだ。なのに彼は言葉通りに、どこか痛みに耐えているような、苦しげに表情を見せていた。
どうしてだろう。彼は今、自分と同じように不安を感じているのかも知れない、なんて思う。
「……依澄さ……ん……」
呼びかけながら伸ばした手が彼の肩に回ると、それを合図に性急に唇が重ねられた。
「ン、ぅんっ!」
口の中で蠢く舌は、遠慮気味の自分の舌を捕える。絡まった場所から溶かされそうでしり込みする私の舌を、彼は離すことなく軽く吸った。
頭が痺れて何も考えられない。息さえする暇もなく、唇がほんの少し離れた瞬間に荒い息を繰り返す。
「はぁっ……。ぅんんっっ」
部屋に響く熱を帯びた呼吸は、どちらのものかわからない。二人ともただ、本能に逆らうことなくお互いを求めていた。
肌に触れていたニットの感触とは違う、しっとりとした別の感触がお腹を直に滑る。そのまま体の線に沿って動く指は背中に回り、ブラジャーのホックをあっさり外す。そのまま中に滑り込んできた大きな手は、膨らみを包み込み、ゆっくりと揉みしだく。
「あっ、んんっっ!」
「……ここ、いい?」
与えられた刺激に身を捩ると、依澄さんは耳に口付けしながら小さく笑い声を漏らした。
「それって……どういう意味?」
「え?」
遠回しすぎたのか、それともわかっていて尋ねているのか、どちらなのだろう。けれどはっきりわかるのは、彼の心臓も自分と同じくらい早鐘を打っているということだ。
「嘘ついてごめんなさい。明日、本当は仕事は午後から……なんです。だから……」
朝帰りでも構わない、と口に出すのは憚られ言葉を濁す。彼はどう思っているだろうか。結婚は考えていないなんて言いながら、大人の関係を望むような私のことを。
「今日は……帰さなくてもいい、って受け取ってもいいのか?」
「……その。重く受け取らないでください。デーティングで体の相性を確かめるなんて、よくあることでしょう?」
あえて強がってそんなことを言ってみる。日本ではあり得ない話だが、アメリカではそうじゃない。あくまでもデーティングの一環として、ともっともらしい理由をこじつけた。
「……途中で止められるほど、俺はできた男じゃないけど。いいのか?」
「私、二十九ですよ? 大丈夫です」
笑いながら答えるけど、本当は少し怖い。彼を満足させられないのは、経験値の低い自分のほうだ。初めてを捧げたあの日から、誰にも体を許してこなかったのだから。
「……そうか。恵舞ももう、二十九になるんだな……。では、誘いに乗ろうか。体の相性を確かめるために」
囁かれるように吐き出された言葉は耳を撫で、瞬く間に体の熱を上げていた。
掴まって、と言われて素直に首に腕を回すと、そのまま抱え上げられる。恥ずかしくて肩に顔を埋めていると、彼は私を軽々と腕に抱えたままリビングを出た。
寝室は玄関から一番近い部屋で、そこに入るとセンサーが付いているのか、ベッドのフットライトが部屋をほんのりと照らした。
「あの、シャワーとか……」
まだその腕の中でおずおず尋ねる私を、依澄さんはベッドに下ろす。ギシリとベッドが揺れると、彼はそのまま私を組み敷いた。
「……悪い。今はそんな余裕はないんだ」
こんな状況には慣れていて、自信だってあるはずだ。なのに彼は言葉通りに、どこか痛みに耐えているような、苦しげに表情を見せていた。
どうしてだろう。彼は今、自分と同じように不安を感じているのかも知れない、なんて思う。
「……依澄さ……ん……」
呼びかけながら伸ばした手が彼の肩に回ると、それを合図に性急に唇が重ねられた。
「ン、ぅんっ!」
口の中で蠢く舌は、遠慮気味の自分の舌を捕える。絡まった場所から溶かされそうでしり込みする私の舌を、彼は離すことなく軽く吸った。
頭が痺れて何も考えられない。息さえする暇もなく、唇がほんの少し離れた瞬間に荒い息を繰り返す。
「はぁっ……。ぅんんっっ」
部屋に響く熱を帯びた呼吸は、どちらのものかわからない。二人ともただ、本能に逆らうことなくお互いを求めていた。
肌に触れていたニットの感触とは違う、しっとりとした別の感触がお腹を直に滑る。そのまま体の線に沿って動く指は背中に回り、ブラジャーのホックをあっさり外す。そのまま中に滑り込んできた大きな手は、膨らみを包み込み、ゆっくりと揉みしだく。
「あっ、んんっっ!」
「……ここ、いい?」
与えられた刺激に身を捩ると、依澄さんは耳に口付けしながら小さく笑い声を漏らした。
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