160 / 206
番外編 〜巡る季節〜
夏.6
しおりを挟む
食事も徐々に運ばれてきて、それを口にしながら自己紹介代わりにそれぞれ自分のいた国のことを話し出す。ここにいるのは全員帰国子女。けれど育った国は様々だ。黒岩さんはアフリカ大陸の各国を転々としていたし、深瀬くんドイツ育ち。紗里ちゃんはフランスとイタリア。依澄さんは出張で色んな国へいったことがあるらしく、みんなと会話を弾ませていた。
メインのステーキも届き、いっそう場は盛り上がりながら、食事とお酒を楽しむ。楽しすぎて時間も、報告したいことも忘れてしまいそうだったが、そんなわけにはいかない。
どう切り出そうか悩んでいると、その様子を察したのか紗里ちゃんが振ってくれた。
「そういえば、恵舞さん。何か話したいことあるんですよね? そろそろ教えてくださいよ」
「う、うん」
挙動不審になりながら、返事をして立ち上がる。向かいの三人は何事かと私を見上げているのに対し、羽瑠ちゃんは涼しい顔してワイングラスを傾けている。依澄さんはというと、同じように涼しい表情をしているように見えて、実はハラハラしている気がする。今ではすっかりその表情は読めるようになった。
咳ばらいを一つすると、私は切り出す。
「実は私……。結婚が決まったの」
案の定、三人ともポカンとしている。ずっと結婚なんてと言っていた私の口から、こんなことを聞かされるとは思っていなかったようだ。
「えっ? 恵舞さん、結婚するんですか?」
「本当に……。さすがに驚きました」
「って、マジ?」
想像通りの反応をされて、苦笑いを浮かべる。まだ話には続きがあるというのに。
「……うん。来月には入籍して、10月にアメリカで式を挙げる予定」
そういってからしずしずと座る。三人とも、口を開けっ放しで私を目で追っている。そして、まさかという表情で私の隣に視線を移した。
「もしかして、その相手って……」
黒岩さんが唖然としながらまっさきに口を開く。そんな彼に依澄さんは、笑みを浮かべて頷いた。
「そう。恵舞と結婚するのは、俺だ」
すっかり素の自分をさらけ出している依澄さんは、悪戯が成功したみたいな顔をして笑っている。向かい側の、驚きすぎで声も出せない三人とは対照的だ。
「「「え……え? えぇ⁈」」」
ようやく我に返った三人から、同時に悲鳴のような声が上がる。
「いつの間に……」
「そうですよ、恵舞さん!」
「僕、今年一番の驚きです」
言葉の通り放心している三人を見て、乾いた笑いしかでてこない。そこまで驚かれるなんて、苦笑いするしかなかった。
メインのステーキも届き、いっそう場は盛り上がりながら、食事とお酒を楽しむ。楽しすぎて時間も、報告したいことも忘れてしまいそうだったが、そんなわけにはいかない。
どう切り出そうか悩んでいると、その様子を察したのか紗里ちゃんが振ってくれた。
「そういえば、恵舞さん。何か話したいことあるんですよね? そろそろ教えてくださいよ」
「う、うん」
挙動不審になりながら、返事をして立ち上がる。向かいの三人は何事かと私を見上げているのに対し、羽瑠ちゃんは涼しい顔してワイングラスを傾けている。依澄さんはというと、同じように涼しい表情をしているように見えて、実はハラハラしている気がする。今ではすっかりその表情は読めるようになった。
咳ばらいを一つすると、私は切り出す。
「実は私……。結婚が決まったの」
案の定、三人ともポカンとしている。ずっと結婚なんてと言っていた私の口から、こんなことを聞かされるとは思っていなかったようだ。
「えっ? 恵舞さん、結婚するんですか?」
「本当に……。さすがに驚きました」
「って、マジ?」
想像通りの反応をされて、苦笑いを浮かべる。まだ話には続きがあるというのに。
「……うん。来月には入籍して、10月にアメリカで式を挙げる予定」
そういってからしずしずと座る。三人とも、口を開けっ放しで私を目で追っている。そして、まさかという表情で私の隣に視線を移した。
「もしかして、その相手って……」
黒岩さんが唖然としながらまっさきに口を開く。そんな彼に依澄さんは、笑みを浮かべて頷いた。
「そう。恵舞と結婚するのは、俺だ」
すっかり素の自分をさらけ出している依澄さんは、悪戯が成功したみたいな顔をして笑っている。向かい側の、驚きすぎで声も出せない三人とは対照的だ。
「「「え……え? えぇ⁈」」」
ようやく我に返った三人から、同時に悲鳴のような声が上がる。
「いつの間に……」
「そうですよ、恵舞さん!」
「僕、今年一番の驚きです」
言葉の通り放心している三人を見て、乾いた笑いしかでてこない。そこまで驚かれるなんて、苦笑いするしかなかった。
35
あなたにおすすめの小説
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
清貧秘書はガラスの靴をぶん投げる
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「お前、頬を叩いた詫びに婚約者になれ」
上司で社長の彪夏と秘書の清子はお似合いのふたりだと社内でも評判。
御曹司でイケメンの彪夏は女子の憧れの的。
清子はどこぞのご令嬢と噂され、男女問わず視線を集めていた。
……しかし。
清子には誰もが知らない、秘密があったのです――。
それは。
大家族のド貧乏!
上は高校生、下は生まれたばかりの五人弟妹。
おっとりして頼りにならない義母。
そして父は常に行方不明。
そんな家族を支えるべく、奮闘している清子ですが。
とうとう、彪夏に貧乏がバレたまではよかったけれど。
子持ちと間違われてついひっぱたいてしまい、償いに婚約者のフリをする羽目に。
しかも貧乏バラすと言われたら断れない。
どうなる、清子!?
河守清子
かわもりさやこ 25歳
LCCチェリーエアライン 社長付秘書
清楚なお嬢様風な見た目
会社でもそんな感じで振る舞っている
努力家で頑張り屋
自分がしっかりしないといけないと常に気を張っている
甘えベタ
×
御子神彪夏
みこがみひゅうが 33歳
LCCチェリーエアライン 社長
日本二大航空会社桜花航空社長の息子
軽くパーマをかけた掻き上げビジネスショート
黒メタルツーポイント眼鏡
細身のイケメン
物腰が柔らかく好青年
実際は俺様
気に入った人間はとにかくかまい倒す
清子はいつまで、貧乏を隠し通せるのか!?
※河守家※
父 祥平 放浪の画家。ほぼ家にいない
母 真由 のんびり屋
長男 健太(高一・16歳)服作りが趣味
次男 巧(高一・15歳)弁護士になるのが目標
三男 真(小五・10歳)サッカー少年
四男 望(保育園年中・5歳)飛行機大好き
次女 美妃(保育園児・五ヶ月)未知数
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる