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なんだかまだフワフワしてる……
初めては痛い、なんて話はよく聞くけど、信じられないくらいに気持ち良かった、なんて言ったら引かれてしまいそうだ。でも、もうすでに我を忘れてそう口走ってしまっていて、急に恥ずかしくなる。
温かい睦月さんの腕の中で、強烈な眠気と戦いながら、私はその顔を見上げる。
「……ありがとう。俺に初めてをくれて」
睦月さんは微笑みながら私の額に唇で触れる。
「……私のほうこそ……睦月さんが初めての人で……よかった……」
願わくば、私にとって最初で最後の人で、睦月さんにとって私が最後の人であって欲しい。
私は重くなる瞼に逆らうことができず目を閉じながら思う。
だんだんと遠ざかる意識の中で、睦月さんが何か言ったような気がした。私はただ、幸せだな……って思いながら眠りについた。
……っ!!今、何時?
終わったあとの余韻すらすっ飛ばし、私はあっという間に意識を失っていた。はっとして目を開けると、もう服を着て、ベッドの縁に座る睦月さんが驚いたように私を見下ろしていた。
「びっくりした。今起こそうかな?って思ってたところだったから」
そう言いながら、睦月さんは私の髪を優しく撫でる。
「あ、の、今一体……何時……?」
「夜中の1時前。遅い時間だけど、お風呂入ったほうがいいと思って。お湯張ってあるよ?」
何事もなかったように笑いかけてくれる睦月さんを見て、少し前にあったあれやこれを鮮明に思い出し猛烈に恥ずかしくなってしまった。
「……?どうしたの?さすがに今日は一緒に入ろうとか言わないからさ、ゆっくりして来て?」
「えっ!一緒に入る⁈」
想像もしたこともない事を言われて私が慌てたように返すと、睦月さんは楽しそうにふふっと笑って私の頰にキスをする。
「またのお楽しみね?ここにバスタオル置いてあるから。俺はリビングにいるね?」
クシャクシャと私の髪を撫でると、睦月さんは部屋を出て行った。
ようやく起き上がり、私はそばに置いてあったタオルを手にした。
またのお楽しみって……そのうち一緒に入りたいってことだよね?
想像しただけで顔が熱くなる。もうすでに全身くまなく見られてるけど、明るいところとなると睦月さんを直視できないかも知れない。
これって大人なら普通なのかな……
自分の恋愛レベルの低さに呆れながら、私は大きく息を吐き出した。
誰かに聞こうにも、こんな話し誰にも聞けない。けど、他の人がどうとか関係ないか、と思い直す。
睦月さんがそうしたいなら……頑張ろう。体には、全く自信ないけど……
そんなことを思いながら、私はベッドから抜け出した。
ゆっくりお風呂をいただいて、持ってきたルームウェアに着替えてリビングへ向かう。
とてつもなく気恥ずかしくて、扉からそっと顔を覗かせて「お風呂……ありがとうございました」と声をかけると、睦月さんが不思議そうな顔をしてこちらにやってきた。
「廊下、寒いでしょ?風邪ひくよ?」
扉と廊下の境目に立ったままの私に、睦月さんはそう言う。私がそちらを見ることができず、ついそっぽを向いてしまうと、それを気にする様子もなく睦月さんは私の手を引いた。
「ホットミルクでも作ろっか。ケーキはどうする?こんな時間に食べたら太るかな?」
「あ……の、睦月さんがよければ食べてしまったほうが……」
さすがに明日の朝でも傷んでることはないだろうけど、ちょっと味は落ちてそうだ。
「うん、そうしよう。さっきカロリー消費したし、これくらいいいよね?」
笑いながらそう言って、睦月さんは私の顔を覗き込んだ。
「…………。⁈」
一瞬意味が分からなかったが、睦月さんが何が言いたかったのか理解して、顔から火が出そうになる。
そんな私を見て、睦月さんは楽しそうにクスクス笑っていた。
「もーっ!また揶揄ってますね!」
私が頰を膨らませるように怒ると、「ごめんごめん。さっちゃんがあんまりにも可愛いからさぁ」と睦月さんは言いながら私の肩を抱き寄せると、頰に音を立ててキスをした。
そんな、いつもと変わらない睦月さんの姿に、私の緊張感も和らいでいた。こんな何気ないやりとりさえ楽しいんだもの。
「ケーキ持ってきます。睦月さんは座ってて下さい」
「紅茶淹れる?確かノンカフェインのがあったはずだし、ミルクティーにしよっか」
私の表情に安堵したような顔をして、睦月さんは私に問いかける。もしかしたら、睦月さんも本当は緊張してたのかな?なんて思いながら、私は「はい。そうしましょう」と答えた。
それから、日付は変わってしまった夜中のティーパーティーで睦月さんのお誕生日会を締め括った。
忙しかったけど、凄く凄く楽しくて幸せだった。これから先も、毎年こうやってお誕生日をお祝いできたらいいな、って思いながら私は睦月さんの優しい顔を眺めていた。
「明日は……同じティーカップ、もう一つ買いに行こうね?」
2人で洗い物をしていると、睦月さんは私にそう言った。
「はい。私も……睦月さんと同じもの、増やしたいです」
物が全てじゃないけど、やっぱりお揃いのものを2人で使うのって嬉しい。
私がそう口にすると、「これからも、うちをさっちゃんの物でいっぱいにしたいな?」なんて言って、睦月さんは笑っていた。
初めては痛い、なんて話はよく聞くけど、信じられないくらいに気持ち良かった、なんて言ったら引かれてしまいそうだ。でも、もうすでに我を忘れてそう口走ってしまっていて、急に恥ずかしくなる。
温かい睦月さんの腕の中で、強烈な眠気と戦いながら、私はその顔を見上げる。
「……ありがとう。俺に初めてをくれて」
睦月さんは微笑みながら私の額に唇で触れる。
「……私のほうこそ……睦月さんが初めての人で……よかった……」
願わくば、私にとって最初で最後の人で、睦月さんにとって私が最後の人であって欲しい。
私は重くなる瞼に逆らうことができず目を閉じながら思う。
だんだんと遠ざかる意識の中で、睦月さんが何か言ったような気がした。私はただ、幸せだな……って思いながら眠りについた。
……っ!!今、何時?
終わったあとの余韻すらすっ飛ばし、私はあっという間に意識を失っていた。はっとして目を開けると、もう服を着て、ベッドの縁に座る睦月さんが驚いたように私を見下ろしていた。
「びっくりした。今起こそうかな?って思ってたところだったから」
そう言いながら、睦月さんは私の髪を優しく撫でる。
「あ、の、今一体……何時……?」
「夜中の1時前。遅い時間だけど、お風呂入ったほうがいいと思って。お湯張ってあるよ?」
何事もなかったように笑いかけてくれる睦月さんを見て、少し前にあったあれやこれを鮮明に思い出し猛烈に恥ずかしくなってしまった。
「……?どうしたの?さすがに今日は一緒に入ろうとか言わないからさ、ゆっくりして来て?」
「えっ!一緒に入る⁈」
想像もしたこともない事を言われて私が慌てたように返すと、睦月さんは楽しそうにふふっと笑って私の頰にキスをする。
「またのお楽しみね?ここにバスタオル置いてあるから。俺はリビングにいるね?」
クシャクシャと私の髪を撫でると、睦月さんは部屋を出て行った。
ようやく起き上がり、私はそばに置いてあったタオルを手にした。
またのお楽しみって……そのうち一緒に入りたいってことだよね?
想像しただけで顔が熱くなる。もうすでに全身くまなく見られてるけど、明るいところとなると睦月さんを直視できないかも知れない。
これって大人なら普通なのかな……
自分の恋愛レベルの低さに呆れながら、私は大きく息を吐き出した。
誰かに聞こうにも、こんな話し誰にも聞けない。けど、他の人がどうとか関係ないか、と思い直す。
睦月さんがそうしたいなら……頑張ろう。体には、全く自信ないけど……
そんなことを思いながら、私はベッドから抜け出した。
ゆっくりお風呂をいただいて、持ってきたルームウェアに着替えてリビングへ向かう。
とてつもなく気恥ずかしくて、扉からそっと顔を覗かせて「お風呂……ありがとうございました」と声をかけると、睦月さんが不思議そうな顔をしてこちらにやってきた。
「廊下、寒いでしょ?風邪ひくよ?」
扉と廊下の境目に立ったままの私に、睦月さんはそう言う。私がそちらを見ることができず、ついそっぽを向いてしまうと、それを気にする様子もなく睦月さんは私の手を引いた。
「ホットミルクでも作ろっか。ケーキはどうする?こんな時間に食べたら太るかな?」
「あ……の、睦月さんがよければ食べてしまったほうが……」
さすがに明日の朝でも傷んでることはないだろうけど、ちょっと味は落ちてそうだ。
「うん、そうしよう。さっきカロリー消費したし、これくらいいいよね?」
笑いながらそう言って、睦月さんは私の顔を覗き込んだ。
「…………。⁈」
一瞬意味が分からなかったが、睦月さんが何が言いたかったのか理解して、顔から火が出そうになる。
そんな私を見て、睦月さんは楽しそうにクスクス笑っていた。
「もーっ!また揶揄ってますね!」
私が頰を膨らませるように怒ると、「ごめんごめん。さっちゃんがあんまりにも可愛いからさぁ」と睦月さんは言いながら私の肩を抱き寄せると、頰に音を立ててキスをした。
そんな、いつもと変わらない睦月さんの姿に、私の緊張感も和らいでいた。こんな何気ないやりとりさえ楽しいんだもの。
「ケーキ持ってきます。睦月さんは座ってて下さい」
「紅茶淹れる?確かノンカフェインのがあったはずだし、ミルクティーにしよっか」
私の表情に安堵したような顔をして、睦月さんは私に問いかける。もしかしたら、睦月さんも本当は緊張してたのかな?なんて思いながら、私は「はい。そうしましょう」と答えた。
それから、日付は変わってしまった夜中のティーパーティーで睦月さんのお誕生日会を締め括った。
忙しかったけど、凄く凄く楽しくて幸せだった。これから先も、毎年こうやってお誕生日をお祝いできたらいいな、って思いながら私は睦月さんの優しい顔を眺めていた。
「明日は……同じティーカップ、もう一つ買いに行こうね?」
2人で洗い物をしていると、睦月さんは私にそう言った。
「はい。私も……睦月さんと同じもの、増やしたいです」
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