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第4話 邂逅
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維頼side
夏休みに入って1週間が経過した。夏休みに入ってからは、バイトやサークルでの活動ばかりで、あっという間に1週間が過ぎてしまった。
真夏の今は、夕方になっても酷い暑さが続く。蝉たちも大きな声で鳴き喚いている。バイト帰りにコンビニで買ったアイスクリームを溶かさないように、俺は急いで家に帰った。
家に帰って、すぐにエアコンのスイッチをつける。部屋は数時間いなかっただけで蒸し風呂状態になっていた。
暑すぎる……。
最近の暑さは異常だと思う。数年前まではこんなに暑くなかったのに。近年は異常気象ばかり続いている。
何気なくテレビもつける。そのまま先ほど買ったアイスクリームを口に頬張った。
ニュースは今日も異常気象のことばかり取り上げている。今日は36度もあったのか。ボーッと見ていたテレビから目を離すと、俺は何となくスマホを操作し始めた。
メッセージアプリを開く。友人からの返信は、10件来ている。どれも新からの返信のようだ。10件も送ってくるなんて、何かあったのだろうか。
胸騒ぎがする。いつもはこんなに送ってくることはないのに……。
新からのメッセージを開く。その中にあった名前に、一瞬息が止まる。
紅羽さんが……行方不明?
理解が追いつかない。そのメッセージは、紅羽さんが行方不明になったという内容だった。何が起きたというのか。そもそもなぜ新が知っているのか。
何も状況が分からないまま新に返信をする。紅羽さんに何があったのだろう。頭にあの夢が浮かんでくる。紅羽さんが飛び降りてしまう、あの夢を。
胸騒ぎはどんどん大きくなる。無事を確かめるために、紅羽さんにもメッセージを送った。
"地元はどうだった?"
簡潔な文。俺は返信が来るのを祈るしかなかった。
しかし、数時間経っても返信は来ない。紅羽さんは本当に行方不明に? だとしたらなぜ……。何か事件に巻き込まれたのだろうか。
少し冷静になった頭で考える。紅羽さんが行方不明になったという情報は、紅羽さんの親戚である三上柚木乃からの情報らしい。それを知った新が俺に連絡をしてきたようだ。
自分でも分からないくらい、動揺していた。彼女にもう二度と会えないのではないかと恐ろしくなる。
俺は、このままでいていいのだろうか?
蝉たちの合唱が外から響く中、俺はただ何も出来ず、項垂れていた。
***
紅羽side
鳥のさえずりが遠くから聞こえる。暖かな光を受けて、とても気持ちがいい。ここは、どこなのだろう。
しばらくすると、どこからか声が聞こえてきた。
「……、……!」
誰かを呼んでいる声のようだ。でも、はっきりとは聞こえない。その声は何度も呼びかけるように響き、次第に大きくなっていく。
「……れ、呉!」
その名前は、どこか懐かしい気がした。そうか。ここは……
「呉!」
その声に、煌びやかな和服を纏った少女が、うたた寝から目覚める。とてもあどけない顔をして。
なぜだか、すぐに分かった。あれは……私だ。
今の私とは、生きる時代も、名前も違う。それなのに、なぜか、こんなにも懐かしいと感じる。この場所が、この感触が……。
不思議な感覚の中で、私は流れるように前世の自分のことを思い出していった。
「いつまで眠っているの。起きなさい」
母上にそう言われる。春になったばかりで日差しが気持ちよく、鳥のさえずりは心地よく響いていて、ついうたた寝をしてしまっていたようだ。
「母上、今日は使者の方はいらっしゃるの?」
「今日はいらっしゃらないわ。でも、もうすぐお屋敷へ移るのだから、呉も気を張りなさい」
「はい」
私はもうすぐこの家を出る予定だった。少し前、私は高貴な方の目に留まり、その方と婚姻を結ぶことになったからだ。私の家は貴族という身分ではあったが、位はそう高くない。しかし、お相手はかなり位の高い人で、両親も私もこの話を断る理由はなかった。
私には大きな秘密が2つある。
まず1つは、不思議な力を持っていること。このことは母しか知らない。私は幼い頃からこの力の秘密を守ってきた。誰かに知られれば悪用されてしまうに違いないからだ。
2つ目は、今の父は本当の父でないこと。これは母から聞いた話だ。私と母しか知らない秘密である。私も詳しくは分からないが、私の力は父譲りのもであり、本当の父は人ではないという信じられない話だった。
私の母は人ならざるものに恋をした。父は人から恐れられる"鬼"と呼ばれる妖怪で、私はその2人から生まれた半妖であるというのだ。初めてこの話を聞いた時は本当に驚いた。しかし、生活に不便なことはなく、恵まれた環境で、母からも、本当の父でない人からも守られて育った。本当の父のことはよく知らない。私が幼い時に死んでしまったから。
私は昔から、この力を疎ましく思っていた。私はずっと、普通になることに憧れていたのだ。母からは、力のことを誰にも知られてはならないと、教えられて育った。だから、私は力を出来るだけ使わずに生きてきた。私は実の父のように、鬼になんてなりたくないから……。
でも、今回の婚姻で、初めて生家から出ることになる。世の中を何も知らず、力を持っていることがバレてしまう不安はあるが、人として普通に生きられることが、私にとって何よりも大きいことだった。
でもこの日は、私の運命を変えることになる。
昼下がり、私は庭を散策していた。長く続いた雨がようやく止んだこの日は、暖かくて本当に心地が良かった。
その庭で、私は1匹の蛇を見つけた。蛇はただの蛇ではなかった。普通の人間が見れば、ただの燻んだ色の蛇にしか見えない。でも、私にはそう見えない。蛇は、何かに包まれ、どす黒い色をしていて、その体には数えきれないほどの傷を抱えていたのだ。
あれは、呪われたナニカだ。
瞬時にそう分かった。蛇は恐らく、元々は妖か神の類なのだろう。それが、何らかの理由によって呪われているのだ。
助けるべきだろうか……。
私の力なら、きっとあの蛇を助けられる。でも、それは許されることなのだろうか?
蛇は苦しそうに傷にもがき、呪いに侵されている。その姿はあまりに痛々しかった。
助けられるのは、私しかいない。
私は、その蛇を助けることにした。あまりに悲惨なその姿を、これ以上見ていられなくなったのだ。なぜ呪われているのかは知らない。しかし、これ以上苦しそうな姿を見るのは耐えられなかった。
「可哀想に。辛かったでしょう」
私はそう言うと、蛇に妖術を使う。しばらくして、蛇にかかった呪いは消え去った。蛇の姿から解放されたものは、人間の青年のような姿をしていた。
「……ああ、我は解放されたのか」
痛みから解放され、何を思うのか、自身の手をじっと見つめている。
「はい。あなたにかかっていた呪いは私が解きました。どこの御方か存じ上げませんが、どうか御住まいへお戻りください」
「我に帰る場所などない」
「?」
そう言うと、それはこちらを一瞥する。
「感謝する、娘よ。名は何と申す」
「紅……と申します」
「紅、か」
私は真名ではなく、普段呼ばれる名の方を教える。深い意味はないが、母以外の人には紅と呼ばれているから、なんとなくそう名乗る。
それは私に名前を聞くと、自らのことを語り出した。
「我は遠い昔、龍の神であったが、今はその役目を追放れた。我は呪われ、人間たちに散々傷つけられた。身体を斬られ、焼かれ、それでも我は死ねぬ。我は人も神も恨めしい」
「龍神、様……」
神様とは、初めて会った。今は違うと言っていたけど、こんなに格式の高いものにお目にかかれたことは今までにない。一体彼は、何を犯して神の座を追放されたのだろう?
「なぜ、神の座を追放されたのですか」
恐る恐る聞いてみる。すると、あっさり彼は答えた。
「我も覚えてはおらぬ」
覚えていないのか。よほど昔のことなのか、記憶がないのかもしれない。
「紅よ。我はそなたに恩を返さねば。この地獄から救ってくれたのだから」
「恩などは要りません。どうぞ、御随意に行かれると良いでしょう」
すると、彼は少し考えて私を見た。
「ならば、そなたの元に居よう。タダでは居らん。これでも神の端くれであった。そなたの加護になって進ぜよう」
彼はそう突拍子もないことを言い放った。
「い、いえ。私はこれから嫁ぐ身。貴殿の加護は必要ありません」
「心配要らぬ。そなたは何も気にせずに居れば良い」
「そ、そのようなことを仰せられても……」
彼は引く気はないようだ。嫁ぎ先まで付いてくるというのだろうか。力のことを隠さなければいけないのに、ややこしくなりそうだ。
私の助けた蛇は事もあろうに神様だった。私はもしかしたら、余計なことをしてしまったのかもしれない。ただ、これから先、何も起きないことを祈るばかりだった。
夏休みに入って1週間が経過した。夏休みに入ってからは、バイトやサークルでの活動ばかりで、あっという間に1週間が過ぎてしまった。
真夏の今は、夕方になっても酷い暑さが続く。蝉たちも大きな声で鳴き喚いている。バイト帰りにコンビニで買ったアイスクリームを溶かさないように、俺は急いで家に帰った。
家に帰って、すぐにエアコンのスイッチをつける。部屋は数時間いなかっただけで蒸し風呂状態になっていた。
暑すぎる……。
最近の暑さは異常だと思う。数年前まではこんなに暑くなかったのに。近年は異常気象ばかり続いている。
何気なくテレビもつける。そのまま先ほど買ったアイスクリームを口に頬張った。
ニュースは今日も異常気象のことばかり取り上げている。今日は36度もあったのか。ボーッと見ていたテレビから目を離すと、俺は何となくスマホを操作し始めた。
メッセージアプリを開く。友人からの返信は、10件来ている。どれも新からの返信のようだ。10件も送ってくるなんて、何かあったのだろうか。
胸騒ぎがする。いつもはこんなに送ってくることはないのに……。
新からのメッセージを開く。その中にあった名前に、一瞬息が止まる。
紅羽さんが……行方不明?
理解が追いつかない。そのメッセージは、紅羽さんが行方不明になったという内容だった。何が起きたというのか。そもそもなぜ新が知っているのか。
何も状況が分からないまま新に返信をする。紅羽さんに何があったのだろう。頭にあの夢が浮かんでくる。紅羽さんが飛び降りてしまう、あの夢を。
胸騒ぎはどんどん大きくなる。無事を確かめるために、紅羽さんにもメッセージを送った。
"地元はどうだった?"
簡潔な文。俺は返信が来るのを祈るしかなかった。
しかし、数時間経っても返信は来ない。紅羽さんは本当に行方不明に? だとしたらなぜ……。何か事件に巻き込まれたのだろうか。
少し冷静になった頭で考える。紅羽さんが行方不明になったという情報は、紅羽さんの親戚である三上柚木乃からの情報らしい。それを知った新が俺に連絡をしてきたようだ。
自分でも分からないくらい、動揺していた。彼女にもう二度と会えないのではないかと恐ろしくなる。
俺は、このままでいていいのだろうか?
蝉たちの合唱が外から響く中、俺はただ何も出来ず、項垂れていた。
***
紅羽side
鳥のさえずりが遠くから聞こえる。暖かな光を受けて、とても気持ちがいい。ここは、どこなのだろう。
しばらくすると、どこからか声が聞こえてきた。
「……、……!」
誰かを呼んでいる声のようだ。でも、はっきりとは聞こえない。その声は何度も呼びかけるように響き、次第に大きくなっていく。
「……れ、呉!」
その名前は、どこか懐かしい気がした。そうか。ここは……
「呉!」
その声に、煌びやかな和服を纏った少女が、うたた寝から目覚める。とてもあどけない顔をして。
なぜだか、すぐに分かった。あれは……私だ。
今の私とは、生きる時代も、名前も違う。それなのに、なぜか、こんなにも懐かしいと感じる。この場所が、この感触が……。
不思議な感覚の中で、私は流れるように前世の自分のことを思い出していった。
「いつまで眠っているの。起きなさい」
母上にそう言われる。春になったばかりで日差しが気持ちよく、鳥のさえずりは心地よく響いていて、ついうたた寝をしてしまっていたようだ。
「母上、今日は使者の方はいらっしゃるの?」
「今日はいらっしゃらないわ。でも、もうすぐお屋敷へ移るのだから、呉も気を張りなさい」
「はい」
私はもうすぐこの家を出る予定だった。少し前、私は高貴な方の目に留まり、その方と婚姻を結ぶことになったからだ。私の家は貴族という身分ではあったが、位はそう高くない。しかし、お相手はかなり位の高い人で、両親も私もこの話を断る理由はなかった。
私には大きな秘密が2つある。
まず1つは、不思議な力を持っていること。このことは母しか知らない。私は幼い頃からこの力の秘密を守ってきた。誰かに知られれば悪用されてしまうに違いないからだ。
2つ目は、今の父は本当の父でないこと。これは母から聞いた話だ。私と母しか知らない秘密である。私も詳しくは分からないが、私の力は父譲りのもであり、本当の父は人ではないという信じられない話だった。
私の母は人ならざるものに恋をした。父は人から恐れられる"鬼"と呼ばれる妖怪で、私はその2人から生まれた半妖であるというのだ。初めてこの話を聞いた時は本当に驚いた。しかし、生活に不便なことはなく、恵まれた環境で、母からも、本当の父でない人からも守られて育った。本当の父のことはよく知らない。私が幼い時に死んでしまったから。
私は昔から、この力を疎ましく思っていた。私はずっと、普通になることに憧れていたのだ。母からは、力のことを誰にも知られてはならないと、教えられて育った。だから、私は力を出来るだけ使わずに生きてきた。私は実の父のように、鬼になんてなりたくないから……。
でも、今回の婚姻で、初めて生家から出ることになる。世の中を何も知らず、力を持っていることがバレてしまう不安はあるが、人として普通に生きられることが、私にとって何よりも大きいことだった。
でもこの日は、私の運命を変えることになる。
昼下がり、私は庭を散策していた。長く続いた雨がようやく止んだこの日は、暖かくて本当に心地が良かった。
その庭で、私は1匹の蛇を見つけた。蛇はただの蛇ではなかった。普通の人間が見れば、ただの燻んだ色の蛇にしか見えない。でも、私にはそう見えない。蛇は、何かに包まれ、どす黒い色をしていて、その体には数えきれないほどの傷を抱えていたのだ。
あれは、呪われたナニカだ。
瞬時にそう分かった。蛇は恐らく、元々は妖か神の類なのだろう。それが、何らかの理由によって呪われているのだ。
助けるべきだろうか……。
私の力なら、きっとあの蛇を助けられる。でも、それは許されることなのだろうか?
蛇は苦しそうに傷にもがき、呪いに侵されている。その姿はあまりに痛々しかった。
助けられるのは、私しかいない。
私は、その蛇を助けることにした。あまりに悲惨なその姿を、これ以上見ていられなくなったのだ。なぜ呪われているのかは知らない。しかし、これ以上苦しそうな姿を見るのは耐えられなかった。
「可哀想に。辛かったでしょう」
私はそう言うと、蛇に妖術を使う。しばらくして、蛇にかかった呪いは消え去った。蛇の姿から解放されたものは、人間の青年のような姿をしていた。
「……ああ、我は解放されたのか」
痛みから解放され、何を思うのか、自身の手をじっと見つめている。
「はい。あなたにかかっていた呪いは私が解きました。どこの御方か存じ上げませんが、どうか御住まいへお戻りください」
「我に帰る場所などない」
「?」
そう言うと、それはこちらを一瞥する。
「感謝する、娘よ。名は何と申す」
「紅……と申します」
「紅、か」
私は真名ではなく、普段呼ばれる名の方を教える。深い意味はないが、母以外の人には紅と呼ばれているから、なんとなくそう名乗る。
それは私に名前を聞くと、自らのことを語り出した。
「我は遠い昔、龍の神であったが、今はその役目を追放れた。我は呪われ、人間たちに散々傷つけられた。身体を斬られ、焼かれ、それでも我は死ねぬ。我は人も神も恨めしい」
「龍神、様……」
神様とは、初めて会った。今は違うと言っていたけど、こんなに格式の高いものにお目にかかれたことは今までにない。一体彼は、何を犯して神の座を追放されたのだろう?
「なぜ、神の座を追放されたのですか」
恐る恐る聞いてみる。すると、あっさり彼は答えた。
「我も覚えてはおらぬ」
覚えていないのか。よほど昔のことなのか、記憶がないのかもしれない。
「紅よ。我はそなたに恩を返さねば。この地獄から救ってくれたのだから」
「恩などは要りません。どうぞ、御随意に行かれると良いでしょう」
すると、彼は少し考えて私を見た。
「ならば、そなたの元に居よう。タダでは居らん。これでも神の端くれであった。そなたの加護になって進ぜよう」
彼はそう突拍子もないことを言い放った。
「い、いえ。私はこれから嫁ぐ身。貴殿の加護は必要ありません」
「心配要らぬ。そなたは何も気にせずに居れば良い」
「そ、そのようなことを仰せられても……」
彼は引く気はないようだ。嫁ぎ先まで付いてくるというのだろうか。力のことを隠さなければいけないのに、ややこしくなりそうだ。
私の助けた蛇は事もあろうに神様だった。私はもしかしたら、余計なことをしてしまったのかもしれない。ただ、これから先、何も起きないことを祈るばかりだった。
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