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第5話 愛憎
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そこからの記憶は途切れ途切れで、詳しくは思い出せない。
私はあの時、龍神様を助けてから、滞りなく輿入れを済ませた。夫となった方は素敵な方だった。私もその人を深く愛するまでに……。
普通とは、何て心地良いものなのだろう。恵まれた生活に私は幸せを感じていた。
あの時の龍神は、時々、誰もいないときに私の元へ現れた。
「龍神様、あなたは度々姿を現すのね。見つかったら大変なことになるというに」
「良いであろう。誰も居らんのだから」
気づけば、彼とは他愛もない話をよくするようになっていた。
「その上質な衣はそなたによう似合う」
「何枚も着物を重ねているの。殿から頂いたものよ」
「何とも美しい姿だ」
「私からすれば、龍神様の方が美しいわ」
彼は時折私を褒めた。神様のことはよく知らないが、気まぐれなのだろう。しかし、彼との会話は、私の中では楽しい時間になっていた。
そんなある日、事件が起きた。
夫である殿の側室が、危篤の病に倒れたのである。その病の犯人を、名の馳せた僧侶が私であると言いがかりをつけてきたのだ。
「殿! このお方は鬼女や女狐の類いですぞ。嫉妬のあまり夫人に妖術を使われたに違いない」
「違います、殿。私は人間です。殿もご存知でしょう?」
私は平静を保ってそう言った。この僧侶はなぜ私が普通の人間ではないことを見破ったのだろうか。しかし、私は力なんて使っていない。第一、私を寵愛する殿が僧侶の言うことを信じるわけがない。
「本当なのか、紅?」
「と、の?」
しかし、展開は予想外の方向に進んだ。
「そなたのことは好いている。だが、そなたがここへ来てからというもの、私の周りでは凶事ばかりが起きるのだ。これがそなたでなくて誰の仕業なのだ?」
凶事?
何のことかさっぱり分からなかった。でも、誠実な殿が言うのならば本当なのだろう。私には弁明の余地すらなかった。
「私は殿を愛しています。お願いです!私を信じてください……」
私は必死にそう願った。しかし、その願いは聞き受けられなかった。
私は後日、鬼女として山に幽閉されることになった。私は何もしていないのに。なぜ罪を受けなければならないの。なぜ愛する人に裏切られなければならないの。
私の思いは次第に濁っていき、私はいつしか、人の心を忘れていった。嫉妬や憎悪ばかりが私の胸の内を支配した。
憎い……誰も彼も
私は結局、実の父と同じ道を辿るしかないのかもしれない。私の心は鬼そのもので、もはや人ではなくなっていた。
「ねえ、龍神様」
「なんだ」
「凶事は、あなたの仕業?」
「ああ、あの事か。
そうだ。我がやった事だ」
また、あっさりと彼は答えた。
「なぜそんなことを?」
「単なる気まぐれだよ。だが、そなたも清々したのではないか?そなたの生きる道は、こちらの方がふさわしい」
「……そうかもしれないわね」
怒る気もなかった。もうどうだっていい。彼がこうしなければ、私は未だにあのお屋敷に住んでいただろう。
人の心は惑わされやすい。私は寧ろ、それを知れてよかったと、今となっては思うのだ。
幽閉されてからは、ほとんど人の出入りはない。龍神は、以前よりも多く私の元へ現れるようになった。
私自身も、普段使わなかった妖術をたくさん使うようになった。妖術で雨を降らせたり、武器を操ったりした。さらに、妖術で僕となる小さな妖怪を作ることにも成功した。
「私の妖術は、こんなに万能だったのね。人間として生きていた頃は知らなかったわ」
自由に生きるのは楽しかった。自分の好きなことをして、琴を弾き、妖術を使う。
しかし、1つ、足りないものがあった。
愛情だった。私はこの碁に及んで、人間が恋しいと思う時があった。
殿が恋しい。人間が恋しい。
日に日にその思いは強くなった。
私は日に日に憂鬱になり、自分の作り出した妖怪たちに命じて人の村を襲わせた。こうなれば、もう私は立派な鬼だった。
私はいつしか、世間で悪名高い鬼になっていた。そんな私に討伐命が下ったらしい。人間が私を殺しにくる。
初めはそんなつもりはなかったのに。私はどこか虚しい気持ちと、人間に対しての怒りの気持ちが沸き起こった。
悲しい。なぜ、なぜこうなってしまったの。
妖術で敵を払う。しかし、最早人間たちの力には敵わなかった。
私は、殺されるんだ。
そう思うと突然、冷静になってくる。私は元々、人間を愛したかった。普通の人間になりたかったんだ。
不思議と殺されることに、抵抗はなかった。せめて人間のような気持ちを持って最期を迎えようと、そう思ったのだ。
ーー。
所々曖昧で、自分の最期までは思い出せなかった。しかし、恐らく私はあの後、人間によって殺されたのだろう。部分的ではあるが、私は自分の前世を思い出した。
自分が紅と呼ばれる姫であったこと、実父が鬼であったこと、よく晴れた春の日、蛇を1匹助けたこと……。それによって私の運命が変わったことを。
そして、思い出した今だからこそ理解した。なぜ私がここに誘い込まれたのか。
あの蛇は、今世でも私を、
"鬼"にしようとしている。
私の体は、なぜか紅の体になっている。妖術が使えることも分かるし、何より紅羽だった頃と感覚が違った。
「目が覚めたか、紅姫」
蛇の男がそう呟く。
私は静かに目を開いた。
「……最悪な目覚めね」
彼は静かに私の頬へ手を伸ばそうとした。しかしその手を阻むように掴み、グッと力を込め、爪を食い込ませる。
「よくも私を陥れたわね」
憎しみを込めた低い声でそう言った。だが、彼は静かに私を見下ろすだけだ。
恐らく彼の言う通り、今世の私は一度死んでいる。自分でははっきりと覚えていないが、今の現状を考えると本当なのだろう。それは彼の仕業に間違いはない。
そして、私の体を利用し、何らかの手段によって前世の私、紅のものへと変えた。しかし、そんなことが可能なのだろうか?
「なぜ私は前世の頃の姿に戻っているの? 答えなさい!」
すると、彼は口を開く。
「そなたの亡骸を、使っただけだ」
「どういうこと?」
「そなたが死んでから、我は千年もの間亡骸を大切にしていたのだ。そなたを再び蘇らせるために」
「な……私の、亡骸を?」
「そうだとも。そして、そなたの生まれ変わりの紅羽と掛け合わせたのだ。全てはそなたのために」
何ということをしたのだ、この男は。驚きと怒りのあまり、握ったままの手に思い切り力を込める。すると、彼の手から赤い血が溢れてきた。
「何ということをしたの。私がお前に何をしたと言うの! 私の願いを忘れたつもり? 私はようやく人になれたのに……お前はまた私の邪魔をするの?」
「そなたには似合わん。人間であったそなたは実に異様であった。この時をどれほど待ちわびたことか」
彼は目を見開くと、私の手を強く握り返す。
痛い。
思わず顔を歪める。それに気づいた男は手を緩めると、私から手を離した。
「ああ、すまない。だが、我は千年もの間、待ち続けたのだ。これ以上は待てん」
彼の視線に耐えきれず目を逸らす。彼はなんて自分勝手なのだろう。呆れて何も言えなくなる。
しばらくして彼は私の腕を掴むと、私を抱き抱えた。
「……私をどうするつもり」
冷静にそう呟く。きっとまた自分勝手なことを言い出すのだろう。
「我の居城に住まわせる」
居城?
「貴方、いつから城主などになったの」
「そなたが死んでからだ」
「へぇ、そう……」
私が死んでから、彼に何があったのかは知らない。だが、私の死を覆そうとするまで、何か強い気持ちがあったのだろうか。
「私のことは、紅じゃなくて紅羽と呼んで。私は今も人間のつもりよ」
「名など気にせぬが……そなたは鬼であることに変わらぬ」
「相変わらず強情なのね、黒蛇」
腹いせに彼をそう呼ぶ。彼にとっての蔑称を。
私はあの時、龍神様を助けてから、滞りなく輿入れを済ませた。夫となった方は素敵な方だった。私もその人を深く愛するまでに……。
普通とは、何て心地良いものなのだろう。恵まれた生活に私は幸せを感じていた。
あの時の龍神は、時々、誰もいないときに私の元へ現れた。
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「その上質な衣はそなたによう似合う」
「何枚も着物を重ねているの。殿から頂いたものよ」
「何とも美しい姿だ」
「私からすれば、龍神様の方が美しいわ」
彼は時折私を褒めた。神様のことはよく知らないが、気まぐれなのだろう。しかし、彼との会話は、私の中では楽しい時間になっていた。
そんなある日、事件が起きた。
夫である殿の側室が、危篤の病に倒れたのである。その病の犯人を、名の馳せた僧侶が私であると言いがかりをつけてきたのだ。
「殿! このお方は鬼女や女狐の類いですぞ。嫉妬のあまり夫人に妖術を使われたに違いない」
「違います、殿。私は人間です。殿もご存知でしょう?」
私は平静を保ってそう言った。この僧侶はなぜ私が普通の人間ではないことを見破ったのだろうか。しかし、私は力なんて使っていない。第一、私を寵愛する殿が僧侶の言うことを信じるわけがない。
「本当なのか、紅?」
「と、の?」
しかし、展開は予想外の方向に進んだ。
「そなたのことは好いている。だが、そなたがここへ来てからというもの、私の周りでは凶事ばかりが起きるのだ。これがそなたでなくて誰の仕業なのだ?」
凶事?
何のことかさっぱり分からなかった。でも、誠実な殿が言うのならば本当なのだろう。私には弁明の余地すらなかった。
「私は殿を愛しています。お願いです!私を信じてください……」
私は必死にそう願った。しかし、その願いは聞き受けられなかった。
私は後日、鬼女として山に幽閉されることになった。私は何もしていないのに。なぜ罪を受けなければならないの。なぜ愛する人に裏切られなければならないの。
私の思いは次第に濁っていき、私はいつしか、人の心を忘れていった。嫉妬や憎悪ばかりが私の胸の内を支配した。
憎い……誰も彼も
私は結局、実の父と同じ道を辿るしかないのかもしれない。私の心は鬼そのもので、もはや人ではなくなっていた。
「ねえ、龍神様」
「なんだ」
「凶事は、あなたの仕業?」
「ああ、あの事か。
そうだ。我がやった事だ」
また、あっさりと彼は答えた。
「なぜそんなことを?」
「単なる気まぐれだよ。だが、そなたも清々したのではないか?そなたの生きる道は、こちらの方がふさわしい」
「……そうかもしれないわね」
怒る気もなかった。もうどうだっていい。彼がこうしなければ、私は未だにあのお屋敷に住んでいただろう。
人の心は惑わされやすい。私は寧ろ、それを知れてよかったと、今となっては思うのだ。
幽閉されてからは、ほとんど人の出入りはない。龍神は、以前よりも多く私の元へ現れるようになった。
私自身も、普段使わなかった妖術をたくさん使うようになった。妖術で雨を降らせたり、武器を操ったりした。さらに、妖術で僕となる小さな妖怪を作ることにも成功した。
「私の妖術は、こんなに万能だったのね。人間として生きていた頃は知らなかったわ」
自由に生きるのは楽しかった。自分の好きなことをして、琴を弾き、妖術を使う。
しかし、1つ、足りないものがあった。
愛情だった。私はこの碁に及んで、人間が恋しいと思う時があった。
殿が恋しい。人間が恋しい。
日に日にその思いは強くなった。
私は日に日に憂鬱になり、自分の作り出した妖怪たちに命じて人の村を襲わせた。こうなれば、もう私は立派な鬼だった。
私はいつしか、世間で悪名高い鬼になっていた。そんな私に討伐命が下ったらしい。人間が私を殺しにくる。
初めはそんなつもりはなかったのに。私はどこか虚しい気持ちと、人間に対しての怒りの気持ちが沸き起こった。
悲しい。なぜ、なぜこうなってしまったの。
妖術で敵を払う。しかし、最早人間たちの力には敵わなかった。
私は、殺されるんだ。
そう思うと突然、冷静になってくる。私は元々、人間を愛したかった。普通の人間になりたかったんだ。
不思議と殺されることに、抵抗はなかった。せめて人間のような気持ちを持って最期を迎えようと、そう思ったのだ。
ーー。
所々曖昧で、自分の最期までは思い出せなかった。しかし、恐らく私はあの後、人間によって殺されたのだろう。部分的ではあるが、私は自分の前世を思い出した。
自分が紅と呼ばれる姫であったこと、実父が鬼であったこと、よく晴れた春の日、蛇を1匹助けたこと……。それによって私の運命が変わったことを。
そして、思い出した今だからこそ理解した。なぜ私がここに誘い込まれたのか。
あの蛇は、今世でも私を、
"鬼"にしようとしている。
私の体は、なぜか紅の体になっている。妖術が使えることも分かるし、何より紅羽だった頃と感覚が違った。
「目が覚めたか、紅姫」
蛇の男がそう呟く。
私は静かに目を開いた。
「……最悪な目覚めね」
彼は静かに私の頬へ手を伸ばそうとした。しかしその手を阻むように掴み、グッと力を込め、爪を食い込ませる。
「よくも私を陥れたわね」
憎しみを込めた低い声でそう言った。だが、彼は静かに私を見下ろすだけだ。
恐らく彼の言う通り、今世の私は一度死んでいる。自分でははっきりと覚えていないが、今の現状を考えると本当なのだろう。それは彼の仕業に間違いはない。
そして、私の体を利用し、何らかの手段によって前世の私、紅のものへと変えた。しかし、そんなことが可能なのだろうか?
「なぜ私は前世の頃の姿に戻っているの? 答えなさい!」
すると、彼は口を開く。
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「どういうこと?」
「そなたが死んでから、我は千年もの間亡骸を大切にしていたのだ。そなたを再び蘇らせるために」
「な……私の、亡骸を?」
「そうだとも。そして、そなたの生まれ変わりの紅羽と掛け合わせたのだ。全てはそなたのために」
何ということをしたのだ、この男は。驚きと怒りのあまり、握ったままの手に思い切り力を込める。すると、彼の手から赤い血が溢れてきた。
「何ということをしたの。私がお前に何をしたと言うの! 私の願いを忘れたつもり? 私はようやく人になれたのに……お前はまた私の邪魔をするの?」
「そなたには似合わん。人間であったそなたは実に異様であった。この時をどれほど待ちわびたことか」
彼は目を見開くと、私の手を強く握り返す。
痛い。
思わず顔を歪める。それに気づいた男は手を緩めると、私から手を離した。
「ああ、すまない。だが、我は千年もの間、待ち続けたのだ。これ以上は待てん」
彼の視線に耐えきれず目を逸らす。彼はなんて自分勝手なのだろう。呆れて何も言えなくなる。
しばらくして彼は私の腕を掴むと、私を抱き抱えた。
「……私をどうするつもり」
冷静にそう呟く。きっとまた自分勝手なことを言い出すのだろう。
「我の居城に住まわせる」
居城?
「貴方、いつから城主などになったの」
「そなたが死んでからだ」
「へぇ、そう……」
私が死んでから、彼に何があったのかは知らない。だが、私の死を覆そうとするまで、何か強い気持ちがあったのだろうか。
「私のことは、紅じゃなくて紅羽と呼んで。私は今も人間のつもりよ」
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