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第9話 昔話
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「姫、お体が優れないのですか?顔が真っ青ですよ?」
彼の部屋を出てから律にそう聞かれる。当然のことかもしれない。私はとんでもない約束を彼としてしまったのだから。
「……後で話させて」
「はい、もちろんです。お部屋に戻りましょう」
律は私の様子を察してくれたようで、私を再び部屋までエスコートしてくれる。
このままではまずい。
彼が婚姻を申し込んでくるなんて思わなかった。それに、柚木乃まで巻き込むなんて想定外だ。
先程は彼の前だったから気丈に振る舞っていたが、今は不安からか体が小刻みに震えていた。
彼の狙いは恐らく私の力なのだろう。私は鬼としては半人前だが、父譲りの妖力は絶大なものだ。この力を人間に対して使えば……もう私は後戻りできない。
思えば、私は黒蛇と再会してから彼にいいようにされてばかりだ。再び鬼として生きろと言われ、ここに住まわされている。彼はいつから私の人生に関わっているのだろう?
部屋に着くと、律がお茶を入れてくれる。律は婚姻の話を聞いたら喜ぶかもしれない。
「律……私、彼と婚姻を結ぶことになったの」
「え、婚姻……ですか?」
驚いたように私を見つめてくる。驚くのも無理はない。こんな話をされるなんて思ってもいないはずだ。
「それはおめでたい話ですね!ご婚姻なさったら、姫はこの城の奥方になられるのですから」
案の定律は喜んだ。純粋に喜んでくれているのだろうけど、私はちっとも嬉しくない。
「律……あなたを私の僕と信じて、話したいことがあるの」
私はそう切り出す。律には私の本当の気持ちを知っていてもらいたいと思ったのだ。
「はい、何なりと。私は姫の僕です」
律はそう答えてくれる。一呼吸置いてから、私は胸の内を彼女に話した。
「私はね、本当はここを抜け出したいと思っているの。婚姻なんてする気はないし、まして……鬼として生きようだなんて微塵も思わない」
「……それが、姫の御心なのですね」
彼女は真剣に聞いてくれている。私は話を続けた。
「でも、無関係な人たちを巻き込むわけにはいかない。例え私が約束を破ってここから逃げられたとしても、他の人たちの安全を保障することはできない……」
きっと彼は、私が約束を破ったら絶対に許さない。そうしたらきっと他の人たちに害が及ぶ。柚木乃や家族にまで……。そんなことあってはならない。
「だから、今は彼に従うフリをする。でもいずれは……ここから出る。律、あなたはついてきてくれる?」
「もちろんです、姫。どこまでもお供いたします」
そう言って彼女は私に向かって膝をつき、恭しく頭を下げた。
「ありがとう」
律にとっては本当は複雑なのかもしれない。前世で私が死んで、それから彼に救われた。こうして私たちが再会できたのも彼のお陰なのに、今は私と共に彼を裏切ろうとしているのだから。
「ご心配なさらずとも、私は姫を精一杯お守りいたしますよ」
「え?」
「不安そうなお顔をしていらっしゃったので」
そう言って彼女は私に微笑みかける。彼女には何でもお見通しのようだった。
「律はさすがね」
「私はずっと姫のお傍に居りましたから」
律は前世でも私をたくさん支えてくれた。時には命を張りながら、ずっと傍にいてくれた。今度は私が守る番だ。もし私がこの城から出る時は、彼女を自由にしてあげたい。
そんなことを思いながら私は律と共に穏やかな時間を過ごした。
***
数時間後。あれからお茶も飲み終え、律も部屋を出て行き、私は1人窓の外から真っ暗な景色を眺めていた。
こんな風に1人でいると、なぜかいつも、ある人物が思い浮かんだ。
大月維頼
彼のことが忘れられなかった。高校生の時に出会って、私を助けてくれた彼のことを。
最近、久しぶりに連絡をくれたのも嬉しかった。自分からは中々忙しくて連絡出来ずにいたから。
彼は今頃どうしているのだろう。どうして私は彼のことを忘れられないのか。
気がつくと、目から涙が溢れていた。出来ることなら、もう一度会いたいと強く思う。こんなことにならなければ彼と会えていたのだろうか。
その時、私の部屋の前から物音が聞こえる。誰か来たようだ。私は咄嗟に涙を拭うと扉の近くに寄る。
「紅羽、我だ。入っても良いか」
声からして黒蛇のようだ。私は一呼吸置いてから返事をした。
「どうぞ」
スッと扉を開けて入ってきた彼は先程と違って身軽な服装をしていた。手には酒器のような物を持っている。
「何かお話でも?」
「いや、共に酒を、と思ってな。そなたも好きであろう」
「今はまだ未成年なんだけど……」
「鬼に年は関係ない。……それよりもそなた、泣いているのか?」
そう言って彼はそっと手を私の目元へ這わせる。完全に拭い切れていなかったみたいだ。
「泣いていないわ。目にゴミが入っただけ」
「そうか、ならば良いが」
心配そうな顔で見つめてくる彼の手をそっと払うと、私はゆっくり座布団に座る。彼も卓子を挟んで私の目の前に腰を下ろした。
彼は私の目の前に盃を差し出すと、そこに酒を注ぐ。酒独特の香りが辺りに漂った。
「あなたは昔からお酒好きだったわね」
「ああ、今も変わらぬ。そなたも昔はよく我と酒を交わしてくれた。昨日のことのように覚えているぞ」
そう言って自分の盃にも酒を注ぐと彼は酒を飲み始めた。
彼につられて私も一口酒を口に含む。酒は前世の頃飲んだものとよく似た味をしていて、何だか懐かしかった。
「美味しい……」
ついそんな言葉が出る。すると彼は嬉しそうに答えた。
「それは良かった。まだ酒はある、存分に飲むと良い」
そう言って再び私に酒を注ごうとしたが、私は首を振ってそれを断った。
その後しばらく、彼と昔の話をした。懐かしい話ばかりだった。こうして彼と話していると昔の自分に戻った気分になる。この城にいるのはあまり居心地が良くないが、昔話というのは案外楽しいものだった。
「我は今でも感謝しているぞ、そなたに助けられたことを。そなたが救ってくれなければ、我は未だに地を彷徨っていたかもしれぬ」
「感謝されるほどのことではないわ。あんな傷だらけの姿を見たら、助けるに決まっているもの」
「我に優しく笑いかけてくれたのはそなただけだった。だが人間共は我を散々痛めつけ、殺した。我は人間を許せぬ。……なぜそなたは許せるのだ?そなたとて、人間に殺されたというのに」
「……さっきも言ったでしょう。私は愛する尊さを知った。だから人間を憎いとは思えない」
「愛とは何だ、我には分からぬ。我に教えてはくれないか」
彼は試すようにこちらを見つめてくる。
愛とは何か。前世の時に愛する人はいたけれど、それが正しい愛だったのかは分からない。でも、今の私が言えることは……
「正解はない……と思う。だけど私は、ただその人の傍にいたいと願うことは、愛なんだと思ってる。その人を尊く思うことは愛なんだと……」
いつの間にか維頼くんを思い出して、また涙が溢れそうになった。私はこんなに涙脆かっただろうか。感情が溢れ出してきて止まらない。
涙目になっているところを見られたくなくて目を伏せると、彼が突然私の手の上に手を重ねてくる。咄嗟に手を引こうとしたがギュッと握られ動かせなくなった。
「……そうか。ならば、我はそなたを愛しているのだな。我は、そなたさえ傍に居てくれれば、それで良いと思っているのだから」
そう言って微笑んでこちらを覗き込んでくる彼に、私は何も言えなくなる。
彼が私を……? 思いもしないことだ。だって彼は私の力が欲しいだけのはずだから。前世でも、一度もこんなことを言ってきたことはないのに。
「……紅羽?」
固まっている私に彼が声をかけてくる。その声にハッとすると、彼が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「何でもないわ、ごめんなさい」
「そうか?」
彼があまりに自然に言うものだから少し動揺してしまった。先程の言葉は、彼の本心なのだろうか。色々考えてしまって彼が分からなくなりそうだ。私は話題を変えることにした。
「……そういえば、あなたに聞きたいことがあるの」
「何だ」
ずっと彼に聞きたかったこと。私が人間として生きてきたまでの間のことについて。
「私が人間として生きていた時のこと。私の周りでは、良くないことがたくさん起こった。あなたも関わっているのでしょう?」
「ああ、そのことか」
彼はさほど興味のないようにそう言うと、私の手からゆっくりと手を離した。
「教えてほしい。あなたがどう私の人生に関わっていたのか」
「ならばまずは、そなたが幼少であった頃から話をしようか。少し長くなるがな」
そう言って彼は私の過去を話し始めた。
彼の部屋を出てから律にそう聞かれる。当然のことかもしれない。私はとんでもない約束を彼としてしまったのだから。
「……後で話させて」
「はい、もちろんです。お部屋に戻りましょう」
律は私の様子を察してくれたようで、私を再び部屋までエスコートしてくれる。
このままではまずい。
彼が婚姻を申し込んでくるなんて思わなかった。それに、柚木乃まで巻き込むなんて想定外だ。
先程は彼の前だったから気丈に振る舞っていたが、今は不安からか体が小刻みに震えていた。
彼の狙いは恐らく私の力なのだろう。私は鬼としては半人前だが、父譲りの妖力は絶大なものだ。この力を人間に対して使えば……もう私は後戻りできない。
思えば、私は黒蛇と再会してから彼にいいようにされてばかりだ。再び鬼として生きろと言われ、ここに住まわされている。彼はいつから私の人生に関わっているのだろう?
部屋に着くと、律がお茶を入れてくれる。律は婚姻の話を聞いたら喜ぶかもしれない。
「律……私、彼と婚姻を結ぶことになったの」
「え、婚姻……ですか?」
驚いたように私を見つめてくる。驚くのも無理はない。こんな話をされるなんて思ってもいないはずだ。
「それはおめでたい話ですね!ご婚姻なさったら、姫はこの城の奥方になられるのですから」
案の定律は喜んだ。純粋に喜んでくれているのだろうけど、私はちっとも嬉しくない。
「律……あなたを私の僕と信じて、話したいことがあるの」
私はそう切り出す。律には私の本当の気持ちを知っていてもらいたいと思ったのだ。
「はい、何なりと。私は姫の僕です」
律はそう答えてくれる。一呼吸置いてから、私は胸の内を彼女に話した。
「私はね、本当はここを抜け出したいと思っているの。婚姻なんてする気はないし、まして……鬼として生きようだなんて微塵も思わない」
「……それが、姫の御心なのですね」
彼女は真剣に聞いてくれている。私は話を続けた。
「でも、無関係な人たちを巻き込むわけにはいかない。例え私が約束を破ってここから逃げられたとしても、他の人たちの安全を保障することはできない……」
きっと彼は、私が約束を破ったら絶対に許さない。そうしたらきっと他の人たちに害が及ぶ。柚木乃や家族にまで……。そんなことあってはならない。
「だから、今は彼に従うフリをする。でもいずれは……ここから出る。律、あなたはついてきてくれる?」
「もちろんです、姫。どこまでもお供いたします」
そう言って彼女は私に向かって膝をつき、恭しく頭を下げた。
「ありがとう」
律にとっては本当は複雑なのかもしれない。前世で私が死んで、それから彼に救われた。こうして私たちが再会できたのも彼のお陰なのに、今は私と共に彼を裏切ろうとしているのだから。
「ご心配なさらずとも、私は姫を精一杯お守りいたしますよ」
「え?」
「不安そうなお顔をしていらっしゃったので」
そう言って彼女は私に微笑みかける。彼女には何でもお見通しのようだった。
「律はさすがね」
「私はずっと姫のお傍に居りましたから」
律は前世でも私をたくさん支えてくれた。時には命を張りながら、ずっと傍にいてくれた。今度は私が守る番だ。もし私がこの城から出る時は、彼女を自由にしてあげたい。
そんなことを思いながら私は律と共に穏やかな時間を過ごした。
***
数時間後。あれからお茶も飲み終え、律も部屋を出て行き、私は1人窓の外から真っ暗な景色を眺めていた。
こんな風に1人でいると、なぜかいつも、ある人物が思い浮かんだ。
大月維頼
彼のことが忘れられなかった。高校生の時に出会って、私を助けてくれた彼のことを。
最近、久しぶりに連絡をくれたのも嬉しかった。自分からは中々忙しくて連絡出来ずにいたから。
彼は今頃どうしているのだろう。どうして私は彼のことを忘れられないのか。
気がつくと、目から涙が溢れていた。出来ることなら、もう一度会いたいと強く思う。こんなことにならなければ彼と会えていたのだろうか。
その時、私の部屋の前から物音が聞こえる。誰か来たようだ。私は咄嗟に涙を拭うと扉の近くに寄る。
「紅羽、我だ。入っても良いか」
声からして黒蛇のようだ。私は一呼吸置いてから返事をした。
「どうぞ」
スッと扉を開けて入ってきた彼は先程と違って身軽な服装をしていた。手には酒器のような物を持っている。
「何かお話でも?」
「いや、共に酒を、と思ってな。そなたも好きであろう」
「今はまだ未成年なんだけど……」
「鬼に年は関係ない。……それよりもそなた、泣いているのか?」
そう言って彼はそっと手を私の目元へ這わせる。完全に拭い切れていなかったみたいだ。
「泣いていないわ。目にゴミが入っただけ」
「そうか、ならば良いが」
心配そうな顔で見つめてくる彼の手をそっと払うと、私はゆっくり座布団に座る。彼も卓子を挟んで私の目の前に腰を下ろした。
彼は私の目の前に盃を差し出すと、そこに酒を注ぐ。酒独特の香りが辺りに漂った。
「あなたは昔からお酒好きだったわね」
「ああ、今も変わらぬ。そなたも昔はよく我と酒を交わしてくれた。昨日のことのように覚えているぞ」
そう言って自分の盃にも酒を注ぐと彼は酒を飲み始めた。
彼につられて私も一口酒を口に含む。酒は前世の頃飲んだものとよく似た味をしていて、何だか懐かしかった。
「美味しい……」
ついそんな言葉が出る。すると彼は嬉しそうに答えた。
「それは良かった。まだ酒はある、存分に飲むと良い」
そう言って再び私に酒を注ごうとしたが、私は首を振ってそれを断った。
その後しばらく、彼と昔の話をした。懐かしい話ばかりだった。こうして彼と話していると昔の自分に戻った気分になる。この城にいるのはあまり居心地が良くないが、昔話というのは案外楽しいものだった。
「我は今でも感謝しているぞ、そなたに助けられたことを。そなたが救ってくれなければ、我は未だに地を彷徨っていたかもしれぬ」
「感謝されるほどのことではないわ。あんな傷だらけの姿を見たら、助けるに決まっているもの」
「我に優しく笑いかけてくれたのはそなただけだった。だが人間共は我を散々痛めつけ、殺した。我は人間を許せぬ。……なぜそなたは許せるのだ?そなたとて、人間に殺されたというのに」
「……さっきも言ったでしょう。私は愛する尊さを知った。だから人間を憎いとは思えない」
「愛とは何だ、我には分からぬ。我に教えてはくれないか」
彼は試すようにこちらを見つめてくる。
愛とは何か。前世の時に愛する人はいたけれど、それが正しい愛だったのかは分からない。でも、今の私が言えることは……
「正解はない……と思う。だけど私は、ただその人の傍にいたいと願うことは、愛なんだと思ってる。その人を尊く思うことは愛なんだと……」
いつの間にか維頼くんを思い出して、また涙が溢れそうになった。私はこんなに涙脆かっただろうか。感情が溢れ出してきて止まらない。
涙目になっているところを見られたくなくて目を伏せると、彼が突然私の手の上に手を重ねてくる。咄嗟に手を引こうとしたがギュッと握られ動かせなくなった。
「……そうか。ならば、我はそなたを愛しているのだな。我は、そなたさえ傍に居てくれれば、それで良いと思っているのだから」
そう言って微笑んでこちらを覗き込んでくる彼に、私は何も言えなくなる。
彼が私を……? 思いもしないことだ。だって彼は私の力が欲しいだけのはずだから。前世でも、一度もこんなことを言ってきたことはないのに。
「……紅羽?」
固まっている私に彼が声をかけてくる。その声にハッとすると、彼が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「何でもないわ、ごめんなさい」
「そうか?」
彼があまりに自然に言うものだから少し動揺してしまった。先程の言葉は、彼の本心なのだろうか。色々考えてしまって彼が分からなくなりそうだ。私は話題を変えることにした。
「……そういえば、あなたに聞きたいことがあるの」
「何だ」
ずっと彼に聞きたかったこと。私が人間として生きてきたまでの間のことについて。
「私が人間として生きていた時のこと。私の周りでは、良くないことがたくさん起こった。あなたも関わっているのでしょう?」
「ああ、そのことか」
彼はさほど興味のないようにそう言うと、私の手からゆっくりと手を離した。
「教えてほしい。あなたがどう私の人生に関わっていたのか」
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