勇者様より私ががんばってます

空沙樹

文字の大きさ
8 / 26
メインストーリー

8.最後の試練

しおりを挟む
 最近は、勇者様たちに課題を出してその間に魔界に遊びに行っていた。
 別に見てるだけだと飽きるとか、そう言うわけじゃないですが。

「魔法使いちゃん、今日の課題終わったよ」

 時間をだんだん縮まってきて、魔界に行っても大丈夫そうな強さにはなってきた。

 レベルも、勇者様は75、騎士さんは72、武闘家さんになると83、まあ確かに武闘家って大概スタメンですから一人だけレベルが高いってこともありますよね。
 おっとすいません、違う世界の話をしてしまいました。

「ふんっ、もうお前が出す課題は退屈だ、その貧相な胸と同じように死ね」

「とうっ!」

 騎士さんは盾で防いだ、なかなか防御力も上がっているようで何よりだ。
 だが、この胸の恨み、晴らさずにはいられない。

「なかなか良い防御ですが、後ろがガラ空きです」

 私は普段から愛用している箒を操作して、背中に思いっきりぶつけてやった。
 風魔法を纏わせていたので、例の如く、五十メートル位飛んだ。
 遠くからボキボキといういびつな音がしたが、即刻ヒールをかけたので問題ないだろう。

「まだまだですね」

 多分私は今、ドヤ顔というものをしていたのだろうが特に気にしない。
 
「………魔王がいないとネタがないな~」

「何か言った? 魔法使いちゃん」

 ついこの世界のメタい部分に触れてしまった。
 全くもって、魔界の個性といったらこいつらはもうちょっと学んで欲しいものだ。

「いえいえ、明日の課題について考えていただけです」

「そっか」

 正直言って、勇者様と武闘家さんって私の名前呼ぶときとか、短い言葉になると似てるんだよな。
 だから、毎回書きづらくてしょうがないんですよ。

 はっ、私は一体何をしていたのでしょうか。
 神に操られていたような気分でした。

「明日にテストをします! もし合格できたなら、次の日でも魔界に行きましょう」

 三人は、子供のように喜んでいて目の保養になった。
 男三人に女一って今まで普通だなーとか思ってましたが、今考えると結構偏りありますよね。

 三人とも真面目などうて…じゃなくて純潔な方ですから心配はないんですがね。
 まあ、今考えると仲の良さはいろんなパーティーの中でも最高だと思う。
 だからこそ、騙している罪悪感が強くて、強くておかしくなってしまいそうだった。
 これじゃあお父さんを殺した下賤な魔物共と同じじゃないか。

 あぁ、私が嫌いなのは世界じゃなかった、私自身だったんだと思った。

「魔法使いちゃん! どうしたの、泣いてるよ」

 無意識というのは、怖いものですね。
 泣くのは平和な世界を見てから、なんていうこと言ってたくせにだらしないな、私。

「少し、我儘言ってもいですか? 勇者様」

「いいよ、魔法使いちゃん」

 私は勇者様の胸でただ、ただ泣いた。
 時々、いやかなり稀に私は勇者様に慰めてもらう。
 それで自分を騙す。
 勇者様を好きになったとまた、錯覚する。

 なんて私は醜いのでしょうね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...