勇者様より私ががんばってます

空沙樹

文字の大きさ
9 / 26
メインストーリー

9.最後の試練2

しおりを挟む
「試練なんて言っても大したことはありませんよ、私に負けを認めさせてください」

 このテストについて説明してしまえば、彼らが私より自分の方が優れたことを列挙すれば直ぐに終わるテストなのですが、この方たちは。
 つまり、争いなく、勝つことが重要ということです。
 前日に泣いた奴が何言ってんだって? 記憶にありませんね。

「よしっ! 特訓の成果を見せましょう」

「そうですね、勇者様」

「女の子に負けてられねえしな」

 はい、こいつら馬鹿だな。
 あなた達に足りないのは頭脳プレイと今まで伝えようとしていたのに、お祝いのケーキも買ってたのに。
 男って生き物はみんなそうなんですかね、だとしたら魔王のがまだ惚れる要素があります。

「それじゃあいくぜ! 憎き魔女め、ジャスティスソード!」

 この騎士、魔女と呼びましたか、ついに。
 確かに魔族で女だから魔女であっているかもしれませんが、指導してやった人間を憎いとか言いましたか。

「テンペスト!」

 今回は一キロメートルですね。
 新記録達成です、嬉しい限りですね。

 結局ヒールはかけましたが、一人が戦闘不能になったらヒールかけるとか、さすがに私でも魔力が足りません。

「武闘家さん! 協力していきましょう」

「おうともさ」

 この二人は学んだことは学んだのですが、争いをせずに終わらせる気がないのがマイナスポイントです。

「出でよ! カマイタチ」

 これは私が初めて従えたペットです。
 風の壁を作り、入ってきた相手に少しずつ切り傷をつける厄介な魔物です。
 ケロちゃんと並ぶ毛並みの持ち主です。

 全く、二人とも考えなしに突っ込んでくるから、出血多量で気絶しちゃいましたよ。
 これは、私が風魔法で高速移動しながら、いっちゃん(カマイタチ)の壁を量産しただけのことです。
 戦術的勝利ですね。

 さて、またヒールをかけに行かないと。

「油断してんじゃね~! この悪女が」

 私が箒を持ってないことに気づいてほしいものです。
 背中に箒が当たり、本日二回目、ぶっ飛びました。

 悪女って、悪女はないんじゃないかな、あいつ地味に私のメンタル破壊しにきてるよ。

 三人はとりあえず戦略的撤退をしたようだ。
 こうなってしまうと私は暇だ。

 よし、索敵でもするか。

「アニマルマジック イーグルアイ」

 獣魔法 鷹の目でもいいんじゃないか、とか言わないでくださいよ。
 こっちのが、かっこいいんですもん。

 そして、勇者様達は三キロ離れた洞穴に身を隠していますね。
 魔物に邪魔されたくないので、近くの魔物を狩りに行きますか。

「さーて、一狩り行きますかー! まあ、勇者様達もいじめに行くんで人狩りとも言いますね」

 言ってからとんでもないこと言ってるんじゃないかと思ったことは内緒ですよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...