アホと魔女と変態と (異世界ニャンだフルlife)

影虎

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一章 出会いの季節

出会いの季節 終

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 シュナの胸元でうつらうつらと船を漕いでいたら、やがて森を抜けて草原に辿り着いた。
「黄昏の森を抜けたのは久しぶりじゃのぉ。レトラバの町ものぉ」
 懐かしむように微笑んだシュナは朝焼けから視線を守るように手をかざし、遠くに見える明らかに人工物でできた塀を遠視した。
「もう少しじゃからのぉ。もう少ししたら町に行ってご飯じゃぞ。のぉ……」
 僕の頭を優しく撫でながら、何故かシュナは言葉に詰まり他の三人に目を向けた。
「この子猫の名前、何とするのじゃ?」
「あ、そう言えば……」
「どうしましょう?」
 困ったように四人は思い思いに首を傾げる。
「ハク、はありきたりよね?」
「まぁ、見た目から取るならのぉ」
「分かりやすいとは思うけど、ちょっと……」
「他にも色々使われてそうですしね」
 使われてるって。その通りだと思うけど……。
 そんなことより、今話してるの僕の名前だよね。
 一応僕は昂祐、て名前があるけど、猫に昂祐はおかしいよね。第一喋れないし。この世界の文字知らないし。
 うん。もう諦めよう。
 僕は今日から昂祐て名前は捨てるんだ。
 ここにいる四人につけてもらった名前を大事にしていこう。
そう思って僕は四人を見回す。
彼女たちはあーでもない、こーでもない、と頭を悩ませながらゆっくりと町へ向かっていた。
「でしたらこういうのはどうでしょう。『ニート』君」
 はい!?
 この世界にきてから初めて不穏な単語を聞いたぞ。
「なんでニートちゃん? 名前の響きは格好イイけど」
 ナスカの疑問に対し嬉しそうにウェンディは手を叩き「昔聞いたことがあるんですが」と続けた。
「北の大陸ブルノビアのある地方では、猫に付ける名前を、オスはニート君、メスはセシウムちゃんと名付けるのが一般的だそうですよ」
 いやいやいや。
 片や自宅警備員で、片や放射性物質て。
 何か天からの悪意を感じる。
「ニートちゃんか……」
「いいんじゃないかのぉ。なかなか男らしい名前じゃし」
―――止めてください! お願いします!
「みぃ! みぃ! みぃ!」
 僕は必死にシュナの胸元から手を出して抗議の声をあげた。
「おぉ。喜んでおるのぉ」
―――ちがぁぁぁぁう!!
「宜しくね、ニート」
「今日からニートじゃぞ」
「良かったな。格好いい名前がついて。ニートちゃん」
「ニート君。名前負けしない男の子になるんですよ」
 四人がそれぞれ笑顔を向けて、僕の頭を撫でたり顎の下を撫でたりしてくる。
 あ、ダメ。やめて。
 ニートはイヤだ。嫌なのに。
「よしよし」
 もぅいいよ。もぅいいよぉぉ。
 やぁめぇてぇぇぇ。
 撫でられれば撫でられるほど、何か気持ちよくてどうでもよくなってくる。
 分かりました。分かりましたよ。
 僕は今日からニートです。
 ニートでいいです。
 ニートになります。
 だから撫でて!
 もっと撫でてぇぇぇ!
「ゴロゴロゴロゴロ……」



 いつの間にか僕たちは町に到着していた。
 あの後シュナの胸元から取り出された僕は、取っ替え引っ替え四人の女性たちの気がなすままに、抱っこされたり頬ずりされたり撫でられまくったりした。
 猫でよかった。
 人間だったらこんな体験絶対できなかった。
 役得である。むふぅ。

 槍を片手に武装した門兵さんと一言、二言、言葉を交わした四人は、迷うことなく町の中を進んで行った。
「ギルドに行くのも久しぶりじゃのぉ。ギルド長のハモンズは元気にしておるか?」
「ハモンズさんは、痛風が祟って去年引退しました」
「それは残念じゃ。奴とは馬が合ったんじゃがのぉ」
 シュナは腕を組んで昔を懐かしむかのように目を瞑った。
「して、今のギルド長は?」
「そ、それがですね……」
 言い辛そうにハルカは他の二人に目を向けると、ナスカとウェンディの二人は「ははは」と乾いた笑いを浮かべた。
「なんじゃ? 何か不味いことでもあるのかの?」
「不味いことは、まぁ……」
「ないと言えば、ないし」
「あると言えば、ありますよね」
「歯切れが悪いのぉ。ハッキリせんかい!」
 額をピクピクさせてシュナは叫んだ。
「あ、アレなんですよ。シュナ先生。さっきニートの名前を付けるときウェンディが『ブルノビアの地方では』て話しをしたじゃないですか」
「確かにしたのう。それと何の関係があるのじゃ?」
「実は、今のギルド長がそこの出身者なんですが……」
 またハルカはそこで言葉を途切れさせ、言い辛そうに口の端を人差し指で掻いた。
「じゃから、なんなんじゃ! 何故そこでさっきから言葉に詰まる!」
「み、み、み、見てもらえば……。シュナさんも、会ってもらえれば分かりますから」
 見かねたナスカが横から助け舟を出す。
「どういうことなんじゃ?」
 頭に疑問符を浮かべシュナは首を傾ける。
「ぎ、ギルドに行って見てもらえれば、シュナさんも私たちの言いたいことが、分かってもらえると思います」
 更にウェンディも援護してきた。
 どういうことなんだろう、と僕も疑問を感じる。
 そこまで言い辛そうにしているってことは、シュナにとって何かよくないことがあるんではないだろうか。
 まぁ、これからそこに行くんだし。深く考えなくてもいいか。
 そうしてナスカに抱っこされた僕と四人は、ギルドへと向かっていった。

 後で知ったことであるがこのナトゥビアでは、小さな町になると町長などは居らずギルド長とギルド職員が、町の管理をしているのが一般的らしい。
 そのためギルドの長ともなると、それなりに名が知られ実力を伴った信用ある人物でなければなれないそうだ。

 まぁそんなことは知らずとも、今の僕たちは考えることを止めて絶句していた。

 行方不明になっていたシュナが生きていてこの町へ帰って来たのを伝えるために、いの一番にギルドへとやって来たのだが、そこで通されたギルド長室で待っていた人物が問題だった。
 そこにいたのは筋骨隆々でいかにも男らしい笑顔を讃えたロマンスグレーの男性がいた。
 多分、男性。
 何故多分かと言うと、メイド服を着ていたのである。しかもスカートからは逞しい太股と一緒に、長い白髪混じりの尻尾がユラユラと揺れているのが見える。
「貴方がシュナ・プロバンスですか」
 ニカっと八重歯を見せて腹の底から声を響かせると、頭にある白髪混じりの獣耳がピーンと伸び、シュナの前に右手を差し出し顔の皺を歪めた。
「なんなんじゃ貴様は……」
 彼女は額をピクピクとさせ小さく呟いた。
 その瞬間ナスカたち三人はサササッと一瞬にして壁際まで下がっていた。
「私はギルド長の……」
「そんなことを聞いておるのではないわ! 何故スカートなんじゃ!? 何故メイド服なんじゃ!?」
 怒りと共に叫ぶやいなや、シュナは右手を振りかぶり強烈なストレートを放った。
「ぐばぁっ!」
「読者様に謝れ! 獣耳、尻尾、メイド服ときたら美少女であろうが!!」
 それには僕も激しく同意する!
「みぃ!」
 ナスカの腕から飛び出した僕は、張っ倒されたギルド長の頭に思いっきり噛り付いた。
 そしてシュナは仰向けになったギルド長に馬乗りになり、怒りのままに往復ビンタを食らわせる。
「何故じゃ! 何故じゃ! 何故なんじゃぁぁぁ!!」
「しゅ、シュナ先生!!」
「それ以上は!」
「ニート君も、それはモンスターじゃないんですから!」
 僕はウェンディに引っぺがされ、シュナはナスカとハルカに引っ張られ左右から押さえ付けられていた。
「ふしゃーー、ふしゃーー……」
「はふぅーー、はふぅーー……」
 僕とシュナは肩で息をしながら、仰向けに倒れて泡を吹き白目を向いたギルド長を睨んでいた。
「落ち着いて下さい、シュナ先生。何もギルド長も好きであんな格好してるんじゃないんですから」
「あん!?」
 下唇を尖らせシュナはハルカを睨む。
「ぎ、ギルド長は、出身地の風習でメイド服を来てるんです!」
「はぁ!?」
 口をあんぐりと開け右の顔半分を歪ませシュナはナスカを睨んだ。
「い、いや、その……」
 ナスカが言葉に詰まったその瞬間、ナスカは二人の拘束を振りほどくとギルド長の胸倉を掴み「起きんかい!!」と耳元で大声をあげた。
「は!? ここ、は……」
 アオタンになった瞼をパチクリさせて、ギルド長は辺りを仰ぎ見る。
「貴様は風習でこんな格好をしておるのか!?」
「は、はい??」
 まだ頭がハッキリしていないと見たシュナは、バシーンと力強いビンタを左頬にお見舞いした。
「じゃから! その格好は、風習なのじゃな!?」
「は、はい! 私の出身地であるガザード砦町では、健全な男子は勝負服や仕事着としてメイド服を着用するようにと、三百年程前から決まっております!」
 声を裏返らせてギルド長は早口に捲し立てる。
 誰だ! そんなふざけた風習作った奴は!
 大体『健全な男子は……』て腐女子の発送じゃないか!
 こんなおっさんがメイド服着て出歩いたらどうなるかとか、考えなかったのか!?
「そうか。すまなかったのぉ」
 シュナは肩を怒らせながらも胸倉を掴んだ手を離し、ムスッとした表情で引き下がった。そしてドッカと音を立てて部屋の中央にある長椅子に腰を下ろしふんぞり返った。
「何をしておるのじゃ!!」
「は、はい!」
 その様子を恐る恐る見ていた僕たちは、彼女の一喝で慌てて椅子に着席した。
「殴って悪かったのじゃ。風習ならば、我も寛容な心でソレを受け入れよう」
 一体どの口が、と皆の頭に浮かんだ筈であるが、誰もその言葉を声にする者はいなかった。
「あ、ありがとう、ございます」
 ビンタされた頬を擦りながらギルド長は対面の椅子に座り、彼女たちに目を向けた。
「え、えーと、シュナ・プロバンスさんには行方不明届けと、捜索届けが出されていましたので、現時点でこの二つは取り下げます。つきましては事情の方など、お聞かせ頂ければ……」
 額に汗をかきながらギルド長は上目遣いにシュナに訊ねた。
「あん!?」
「い、いえ! い、い、いいんですよ。言いたくなければ、こちらの方で、適当に書類に書いておきますから」
 シュナの方が体格的に小さい筈なのに、今ではあの筋骨隆々なギルド長の方が小さく見えている。
「宜しく頼んだのじゃ。ところでギルド長よ」
「は、はい!」
 完全に声が裏返っている。
 あんまり同情はしないけど、それなりに可哀想。
「名は何と言うのじゃ? 先程言いきる前に殴ってしまったからのぉ」
 その言葉でギルド長は最初のストレートパンチを思い出したのか、青い顔をして目線を逸らした。
「ラザンテ・ボローニャです」
「ラザンテか、覚えたぞ。これからも宜しく頼むのじゃ」
「は、はい」
 シュナはギルド長に右手を差し出すと、彼はその手を握り返し「あいたた」と小さく呻き声をあげた。
「情けないのぉ、これくらいで」
 シュナは離した手を腰に当てふんぞり返り、ギルド長は握られていた手を上下にふって痛みを和らげた。
「それで、ラザンテよ。他にも何か我はやらなければならないのか?」
「い、いえ、もう特には……」
 立ち上がったギルド長は自分の事務机の上にある書類を眺め「ないですね」と振り返った。
「そうか。では、悪いんじゃがのぉ、ラザンテよ」
 ウェンディに抱かれていた僕を抱き取り、ナスカはギルド長の方へと歩いていった。
「この子猫はニートと言うんじゃが、我の家と拠点の片付けが終るまで、ギルドで預かってくれんかの?」
「それでしたら、そちらの三人ではダメなのですか?」
「三人には修行がてら黄昏の森の我の拠点に付いてきてもらい、片付けを手伝ってもらう予定じゃ」
「そうでしたか……」
 ギルド長は顎に手を当てて天井に視線を向けると、十秒くらいで僕の方に目を向けてニッコリと微笑んだ。
「よろしいですよ。私も猫は好きですからね。それに私は猫獣人ですから、親近感が湧きますね」
 そう言ってシュナから僕のことを受け取ると、ギルド長は今まで見たこともない恍惚とした表情を浮かべ頬擦りしてきた。
「可愛いでちゅねぇぇぇぇ」
―――いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ!!
 髭痛い! 髭痛い!
 離せ!! クソジジィ!!
「みぃぃぃぃぃぃ!!」
 僕は思いっきり頬に噛み付いて爪を立てた。
「甘噛みしてきて、なんて可愛いんでちゅかぁ! さぁいっっっぱい! 甘えさせてあげまちゅからねぇぇぇ!」
―――やぁぁぁぁめぇぇぇろぉぉぉぉ!!
「で、では頼んだぞ。ラザンテよ」
 その光景を見ていて青筋を立てたシュナたちは、そそくさとその部屋を出て行った。
―――だ、誰かぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
「みぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

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