絵描き旅行者〜美術部員が、魔術師の絵の世界へ連れていかれました

香橙ぽぷり

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1日目

村編5 メイプル村の歓迎会(前)

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宿に帰るとサ―ラがにこにこ顔で聞いた。
「お帰り。いい絵は描けた?」
「はい。メミリ―に案内されて、村の入り口でこの通りを描いてきたんです」
透がそうはきはき答える。
「そうなの。メミリ―が」
サ―ラはそう微笑んだ後、今度は楽しそうに言った。
「あのね、さっき村長が来て、今夜あなた達の歓迎会を開きたいって」
「えっ!わたし達のために?」
3人は驚きとうれしさでそう聞いた。
サ―ラはそんな3人にうなずいて言った。
「ええ。だからそれまで部屋で待ってて。外で準備あるから」
「はい」
3人はうれしい気持ちで返事をした。

「今から歓迎会始めるって。来て!」
サ―ラが各部屋を周ってそう呼びかける。
時は夕暮れ時。
3人は1階へと集まった。
「じゃあ、着いて来て」
サ―ラに着いて外に出ると、村の人達がたくさん集まっていた。
うわあ。すご―い。
にぎやかね―。
透、鈴良、優志もその様子を見て圧巻された。
メインストリ―トに大きな長いテ―ブルがいくつか出してあり、その上にはたくさんの料理、そして周りにはたくさんの人々がいた。
透達は村の人達に注目された。
「ようこそ。メイプル村へ」
「こんにちは。よく来てくれたわね」
「お姉ちゃん達、よろしくね」
村の人に口々にそう言われ、透達は照れた。
そんな透達の元に1人のおじいさんがやってきた。
その人はこの村の村長で、透達にあいさつした。
「私はこの村の村長のショテ―ル。ようこそ、みなさん。
 外から人が来るのは、この村にとって始めてのことじゃ。旅人というのは、本で読んで知ってはおったがのう」
3人は村長にそれぞれあいさつをして、その中鈴良は考えた。
この村の人ってみんな、本読んでるのね。
そして村長は3人に聞いた。
「みなさんは、いつ頃までいて下さるのかな?」
3人は、ぱっと答えられず少し考えた。
え―と、確かおじいさんは…。
鈴良が真っ先に思い出して簡潔に答えた。
「私達が持っているスケッチブックがいっぱいになるまでです。
 この村で1人1冊ずつ描こうと思っています。
 今日早速1ペ―ジ描かせていただきました」
あ、そうだった、そうだった。
透と優志は、鈴良の答えを聞いて思い出した。
「では、結構長くいて下さるんですな」
村長は、その答えを聞いてうれしそうに言った。
「私達はみなさんに来てもらってとても喜んでおります。
 それで歓迎会を開きたいと思いましてな。
料理も用意しましたので、どうぞ召し上がって下さい」
「ありがとうございます」
そしてテ―ブルの周りにいた女の人達が透達を手招きした。
「森で採った山菜料理食べてみて。おいしいのよ」
透達が誘いにのって、女の人達はお皿に料理を乗せて渡してくれた。
食べてみると、
「おいしい」
その料理は3人とも食べたことのないものだったが、とてもおいしかった。
透達が喜んで食べていると、隣から聞き覚えのある声がした。
「そうかい?良かった、良かった」
声の方を向くと、それはこの村で最初に話したナコだった。
シャミ―もちゃんといる。
シャミ―はさっきとは違い、瞳をぱっちり開けて透達を見ている。
「あ、ナコさん」
透がそう言うと、ナコは3人にうれしそうに言った。
「これは、この村が始まった時からある伝統の料理なんだよ。気に入ってもらえて良かった」
「はい。飲み物もあるのよ」
そう言って女の人が透達3人にジュ―スの入ったコップを渡してくれた。
「ありがとうございます」
飲んでみると、それはオレンジジュ―スだった。
3人とも大好きだったのでうれしかった。
「本当においしいですね」
3人が喜んで食べたり飲んだりしていると、サ―ラの宿まで案内してくれたダンがやってきた。
「3人とも楽しんでるか?
 食べてる最中で悪いが、村のみんなにあいさつしてくれ。みんな、どんな子かわかってないしな。
 ほら、踏み台とマイクも持ってきたから、1人ずつ話してくれ」
ダンが指差す先には大きめの踏み台があり、ダンはマイクを差し出している。
そんなダンの言葉を聞いて、まず透が立候補した。
「は―い。ではわたしが最初にやります」
透は料理の乗った皿とコップをひとまずテ―ブルに置き、ダンからマイクを受け取って踏み台の上へと昇った。
「わたしは真坂透、14歳です。
 好きなことは絵を描くことの他に、知らないところを探検することです。
 この村のお隣に森があるそうなので、行くの楽しみです。
 これからよろしくお願いします」
透はそう元気良く言いお辞儀をした後、踏み台を降りて近くにいた優志にマイクを渡した。
「はい。どうぞ」
優志はマイクを渡されてしまったので、次にしゃべることとなってしまった。
優志も踏み台に昇り、あいさつを始めた。
「野村優志です。……………」
優志は名前を言ったあと、止まってしまった。
年はいいたくないな。
俺、誕生日まだきてないんだよな。
透は14って言ってたし、すずかも14だったら俺だけ下になるじゃね―か。
かといって、他にしゃべることもね―し。
そんなことを考えていた。
しばらくいろいろ考えていたが、やはり何も思いつかないので、
「どうぞよろしく」
そう言って踏み台を降りてしまった。
そして鈴良にマイクを渡した。
鈴良もマイクを受け取ると、はっきりとあいさつした。
「夢里鈴良です。13歳です。
 物を作るのが大好きです。工作をしたり、料理もよく作ります。
 絵を描くのももちろん大好きなので、これから頑張ろうと思います。
 お世話になります」
鈴良のあいさつを聞きながら優志は少しほっとしていた。
すずかも13か。俺だけじゃなくて良かった。
しかし、はっきり「すずら」と言ったのに、優志は気付かなかった。
3人のあいさつが終わると、村中の人が歓迎の拍手をおくってくれた。
「じゃあみんなで料理を食べてお祝いしよう」
誰かがそう言って、村の人達と透達3人はいろいろな話をしながら、おいしい料理を食べた。
こうして歓迎会はとても楽しく続いた。
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