みかんちゃんの魔法日和〜平和な世界で暮らす、魔法使いの日常

香橙ぽぷり

文字の大きさ
39 / 55
5年生6月

お友達の動物達(上)

しおりを挟む
まず学校の前で、どっちの方に行こうか考えます。
「いなくなったうさぎさん、無事だといいですね」
そのテトリちゃんの言葉にうなずきます。
「うん。ちょっと待ってね」
それから気持ちを集中させます。
するとかすかに使える力で、感じとることができました。
「大丈夫!トキくんは無事だよ。
でもどっちにいるかまではわかんないな」
いつもなら、どこにいるかもわかるんだけど…。
右左ときょろきょろしてしまいます。
そんなわたしに、テトリちゃんが力強くいいました。
「探しにいきましょう!
きっと見つけられます」
「そうだね!」
わたし達はとりあえず、知っている場所を回ってみることにしました。

「うさぎって、狭いところが好きっていいますよね」
街中を走り回っていると、そうテトリちゃんが教えてくれました。
「そうだね。じゃあこんな狭い道にいたりして…」
路地を期待してのぞいてみます。
でもトキくんはいませんでした。

学校の近くにある商店街の八百屋さんにも聞いてみました。
朝出掛けたんだったら、トキくんはお腹がすいているよね。
だからうさぎさんが大好きな野菜を並べている、八百屋さんに来なかったかなと考えました。
お店にはちょうど他のお客さんはいなくって、おじさん1人でした。
「すみません。小さいうさぎさんを見かけませんでしたか?」
するとおじさんは不思議そうな顔をします。
「いや、見なかったよ。
お嬢ちゃん、どうしたんだい?」
わたしは急ぎながらも、きちんと答えます。
「学校のうさぎさんが1匹いなくなっちゃって、探してるんです」
するとおじさんはお店の奥に向かいました。
「そりゃあ大変だ。
じゃあちょっと待ってな」
そしてすぐに戻ってきて、何かが入った袋をわたしにくれました。
「キャベツの外皮だ。
そのうさぎもおなかが空いているだろうから、見つかったら食べさせてやりな」
わたしはそんな親切に感謝します。
「おじさん、ありがとう」
「いいってことよ。
元々捨てる物だったしな」
そのおじさんの元気な笑顔に、わたし達はますますやる気が出ました。

キャベツのお土産を持って、わたし達は探し回ります。
公園は隠れるところがたくさんあるので、慎重に。
「やぶの中にいたりするかもしれませんね」
そのテトリちゃんの言葉にうなずきます。
街の中よりも、こういう植物がたくさんある場所の方が喜びそうです。
いるかもしれません。
「だったら、トキくんは白と灰色が混ざっているから、見つけやすいよ」
でも木の周りや茂みの中にはいませんでした。

公園に遊びに来ていた、小さな子達にも聞いてみます。
砂場でお山を作っている、幼稚園くらいの2人の女の子達に。
「あのね、お姉ちゃん、うさぎさんを探してるんだけど、どこかで見かけなかったかな?」
「うさちゃん?ううん」
そう首を振ってから、その女の子はテトリちゃんをじーっと見ます。
「そのおねえちゃんといっしょにいるねこさん、ぬいぐるみみたいだね」
わたしはにっこりうなずきます。
「うん、テトリちゃんは生きてるぬいぐるみなんだよ」
するととっても喜ばれました。
「わー。すごーい」
「ねこさん、こっちに来て」
そうちょっとの間、テトリちゃんは頭をなでられます。
本当にテトリちゃんは、大人気です。
そうみんなでちょっと気持ちが和みました。

池にも見に行きました。
池の周りにはいなかったけれど、もしかして落ちてしまったかもしれないという危険もあります。
それはとっても怖い話なんだけど、念のために。
わたしは池をのぞき込みます。
「先生がいっていたんだけど、この池ってとっても深いんだって」
そう注意されたことを思い出しました。
それでなくても今水着とかは持っていません。
だから水の中に入るのは難しいです。
テトリちゃんも無理だし。
「やっぱり池に住んでる、かえるさんに聞いてみようか。
テトリちゃん、聞いてくれる?」
「はい!」
テトリちゃんはうなずいて、かえるさんがいるところに走っていきました。
「こんにちはー」
でもテトリちゃんが寄っていくと、かえるさんはぴょこんと水の中に飛び込んでしまいます。
なんでかな?
すぐにはわからなかったけれど、思い出しました。
あっ、そういえば、かえるは猫が苦手だったんだっけ。
テトリちゃんは怖くないって、わかってもらわないと。
わたしはそう考えて、テトリちゃんのところに行きます。
「なんでいなくなってしまうんでしょう?」
わからないテトリちゃんは、首をかしげています。
わたしはテトリちゃんに、そのことを教えました。
「そうなんですか。
私、猫ですもんね」
そのテトリちゃんの手を、こちらの様子をうかがっている、かえるさんに見せます。
「ねえ!テトリちゃんは本物の猫じゃないから、怖がらないで。
ほら、手もふかふかでしょ?」
そういっても、かえるさんはまだ怪しんでいるようです。
猫さんって、自由に爪を出したりできるしね。
だったらわたしが魔法使いだってことを証明するしかないかな。
そうしたら信じてもらえるかもしれません。
でも今は魔法を使えない時です。
どうしようかな?うーん。
考えたわたしは、ペンダントに行き当たりました。
そうだ!
このペンダントはいつも通りの力を持っています。
他のアイテムには変えられないけど、このままなら使えます。
でもわたしが今思い付いたことは、いつもお世話になっているペンダントに対してひどい使い方です。
でも信じてもらう方法がこれしか思い付きません。
「かえるさん見て!
わたしは魔法使いで、この子は魔法で生きているぬいぐるみの猫なんだよ。
その証拠に、このペンダントは魔法で浮きます」
そうわたしはペンダントを持って、池の上でぱっと手を離しました。
でもペンダントは池の中には落ちません。
水の上ぎりぎりのところに浮かびます。
持ち主が付けていない時は、沈んで無くなったりしないように、こうなるそうです。
話には聞いていたけど、やってみるのは初めてです。
大丈夫かちょっと心配しました。
するとこれを見た、かえるさんが寄ってきます。
そして口をぱくぱく開けて、何かいっています。
(まったく、大事な物にこんなことをして、困った魔法使いさんだよ)
(もし沈んだりしたら、どうするんだい?)
テトリちゃんはそれを聞いて、苦笑いしました。
わたしはなんていっていたのかわかりません。
でもかえるさんはもう遠くに行ってしまいそうにないので、一安心です。
まずはペンダントを首にかけます。それからテトリちゃんに聞いてもらいました。
「この池に、うさぎが来ませんでしたか?」
でもかえるさんは見かけていないそうです。
他の池で聞いてみても、同じでした。
でもトキくんが水の中に落ちたりしていなくて、良かったです。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

魔法使いアルル

かのん
児童書・童話
 今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。  これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。  だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。  孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。  ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

処理中です...