転生者G-転生前はゴキブリでした-

花鳴カナリア

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  Ⅰ 父と子

 少女とGとファラン様

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 「はい、出来上がりっと。
初めてにしては上手く出来ました。
これを二本足さんにプレゼントすれば二人は大人の関係に……」
「ちょっと、そこの妄想ゴキブリ」

疲労でユリカの苛々はピークに達していた。

「そもそも探しに行こうって言い出したのはあんたなんだから、遊んでないで例の特殊スキルでなんとかしなさいよ」
「解りました。
でも、Gはもう少し二人の時間を楽しみたいなと」
「……は?
何よ、それ。
私が真剣に領主を探し回ってる間、あんたは呑気にそんなつまらない事を考えてたって訳?!」
「つまらない事って。
Gはただ二本足さんと……」
「うるさいっ!」

ユリカはGの持っていた花冠を地面に叩き付けた。

「……キモいのよ、あんた。
ゴキブリの癖に!」

深緑の木陰に消えた背中を見詰めるGの胸に、揚羽蝶が止まる。

「慰めてくれてるんですか?
大丈夫、言われ慣れてますから」

力なく微笑む少年の落ち込み具合を見かねたのか、虹色の蝶は立派な大樹の裏側へとGを誘った。
長い年月によって育まれたであろう巨大な幹に、ぽっかりと空洞が出来ており、枝には赤い布の切れ端が引っ掛かっている。

「まさか、領主はこの穴に落ちたと言うのですか?」

蝶はそれを肯定するかのように、頭の上を飛び回った。

「こんな所に落ちるなんて、うっかりにも程があるでしょうに。
蝶々さん、教えてくれて有り難う」

木の幹に手を掛けると、Gの体は大穴のなかへと吸い込まれていった。
噎せ返るような苔と樹木の薫りが鼻腔に広がる。
普通の人間なら不快極まりない悪環境だったが、

「この暗さ、湿度、落ち着きますねえ。
なんと快適な空間でしょうか」

ゴキブリにとってはまさに天国だった。
やがて幹の内部を滑り降りていたGの足が、柔らかなものに触れた。

「ぐえっ!」
「……おや?
いまカエルを踏んだような音がしましたが。
照明魔法、Gライト」

魔法の光が洞窟の天井や壁面に広がり、周囲を明るく照らし出してゆく。
足元を見下ろすと、少女がGの全体重を受け止めるクッションと化していた。

「これは失礼しました」

慌てて飛び退いたが、少女の怒りは収まらない。

「無礼者めっ!
私を商業都市マラカーンが領主、ファラン=ロズラファエルと知っての狼藉か?!」

初対面の少女にいきなり噛み付かれ、面喰らうG。

「……ええと。
貴女がファラン様?」
「如何にも!
して、貴殿は何者だ?」
「はじめまして。
僕は転生者Gです」
「G、とはなんだ?」
「GとはG、ゴキブリのGです」
「……ゴキ……ゴキブリ?!」


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