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Ⅰ 父と子
二本足さん、出番です
しおりを挟む「……Gよ、貴殿には礼を言う。
斯様に情けない気持ちで生け贄を捕らえたところで、白聖祭が良いものとなる筈もなかった。
しかし、私は王より領地を預かる身。
生け贄無しでどうすれば民意に応える事が出来るか解らぬ。
知恵を貸してはくれぬか?」
街へと戻る道の途中で、ファランはGに頭を下げた。
「ううん、困りました。
大勢に幻覚を見せるスキルは確かにあるのですが、暫くすると同士討ちを始めちゃうんですよ。
祭で血祭りなんてゴキブリでも笑えません。
二本足さん、何か妙案はありますか?」
「え、私?
ごめん。
私、ちょっと用事っ!」
ユリカはGライトの効果が及ばない遠くの草むらに駆け出した。
暫くして戻ってきた彼女の手には、萎れた輪っかが握られていた。
「……それって」
「あんたの不細工な花冠。
この辺りだと思ってずっと探してたのよ。
ま、初めてにしては上出来なんじゃない?」
ユリカはGの花冠を頭に乗せて微笑んだ。
途端に元気のなかった花々がゆらゆらと息を吹き返し、ユリカの髪を七色に彩る。
「ほう、これは月光蝶にも勝るとも劣らぬ美しさよのう」
ファランが感嘆の声を洩らした。
「Gは、Gは感激ですっ。
二本足さんがとうとう二人の大人の関係を受け入れ……」
「G、少し黙ろうか?」
笑顔で拳を作るユリカ。
しかし、Gの勢いは止まらない。
ユリカの両肩をがっしりと掴むと、その瞳を食い入るように見詰めた。
「ちょ、ちょっとG!
いい加減に」
「……こ、こ、こ、これだっ‼
これですよ、二本足さん」
抱き締めようとするGの腕をするりとかわすと、ユリカは足払いを見舞った。
「あいたっ!
いきなり何するんですか?!」
「それはこっちの台詞よ」
複雑な表情で二人のやり取りを見守るファランを尻目に、Gは立ち上がって弁明した。
「閃いたんですよ、名案が!
今こそ二本足さんのチートスキルの出番です」
自信満々に言い放つGの言葉に不安を覚えるユリカだったが、帰り道を進みながらGの作戦に耳を傾ける内に、すっかりやる気になっていた。
三人が打ち合わせを終え、そろそろ森の出口に辿り着こうかと言う頃。
「おい、居たぞ!
ファラン様も御一緒だ」
茂みの奥から一人の兵士が掲げた松明の灯りが、三人の姿を仄かに照らした。
たちまち数十人の男達に囲まれ戸惑うユリカ達。
「あぁ、良かった!
御無事でしたか、ファラン様」
集団の中から一歩前に出たのはあの門番である。
男は昼間見た時とは違った憔悴した表情で、甲冑の胸を撫で下ろした。
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