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Ⅳ 凶禍
共同戦線、異常あり
しおりを挟む「厄介な事になりましたね」
空から頂の光景を見下ろし、Gが呟いた。
戦闘開始直後から、Gとクレードの攻撃は二体の不死竜を圧倒していた。
チートスキルを操る者が二人も居るのだから、それ自体は予想通り。
しかし、彼らにはひとつ大きな誤算があった。
それはマラカーンの街でクレードの一撃を受けた不死竜に、腐蝕効果への耐性が生まれていた事である。
Cショックを受けても暗黒の不死竜は倒れず、それどころか先に倒れた一体を取り込んで更なる強さを手に入れていた。
口から炎のブレスを吐き、その爪の一振りが空中に鎌鼬を発生させる。
「火と風の二属性か。
これだけやっても死なないなんてゴキブリみたいなやつだねぇ、まったく」
面倒臭そうにクレードが吐き捨てた。
「その言葉は心外です。
Gは炎なんて吐きませんよ」
二人は空中で攻撃を回避しながらスキルを連発したが、再生速度まで二倍になった不死竜を追い込む事は困難だった。
西の山脈にかかる茜色の陽が目に飛び込む。
日没まで残り十五分と言ったところか。
「クレード。
少しの間、敵の気を逸らせますか?」
「造作もない。
だが、それでどうするつもりだい?」
「……あれを呼びます」
Gの瞳は覚悟に満ちていた。
その横顔を見てクレードが哄笑する。
「クハハハハッ!
まだ、そんな魔力が残っていたとはね。
もっとも、死ぬ気になったと言うのなら、その提案は僕としても大歓迎さ。
喜んで協力させて貰うよ、弟くん」
「では任せます。
それと、Gは……二本足さんを残して死ぬつもりはありません」
爪撃をかわして不死竜の背後に着地すると、Gは地面に魔法陣を描き始めた。
追撃に向かおうとした不死竜にCショックが放たれる。
その後も一定の距離を保ちつつ、クレードは不死竜を挑発し続けた。
利害が一致している今だけの共闘。
憎むべき敵であるクレードの力が、Gのそれを遥かに凌駕している事は明らかだった。
魔神を召喚し、その制御に失敗すればGは死ぬ。
しかし、やがて訪れる因縁の戦いに勝利する為にも、神の力をどうしても自分のものにする必要があった。
「……元始の陰翳より生まれし破壊の君王よ。
混沌の翼を纏い、深淵の果てより来れ。
我が血、我が肉、我が骨を以て現世に獄界を顕現せよ。
G、召喚融合!」
山頂の空に暗雲が発生し、深黒の大渦を巻き起こす。
地獄の扉を開くのは、これで二度目だ。
天空から伸びた極大の炎雷がGの体を直撃する。
少年はがっくりと膝をつき、体を小刻みに震わせると獣のような叫声を発した。
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