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Ⅳ 凶禍
炎の雨
しおりを挟む漆黒の魔神と化したGは片手を突き出し、衝撃波のみで不死竜の巨体を粉塵に変えた。
一瞬の早業に舌を巻くクレード。
そこに向かって悪魔が飛び立った。
ヴゥゥゥゥン!
羽音が届くより速く背後を取り、白い両翼に手をかけ力任せに引きちぎる。
「……く」
クレードは空中を落下しながら不死竜が完全に沈黙した事を確認し、Gリンクで報せた。
(こちらも終わったよ)
ただし、今度は世界を滅亡へと導く化け物の登場だがね。
大地に降り立った白騎士は、背中の剣を鞘から引き抜いた。
「君のお陰でユリカは助かった。
次はお前が死ぬ番だ。
C、スラッシュ!」
十字型の剣圧が風を巻き込み、真空の刃となって魔神の体を切り刻む。
傷付けられた痛みで暴れながらも、魔神は口から光弾を放って反撃した。
「おっと、危ない。
火は吐かないんじゃなかったのかい?
そら、もう一撃っ!」
しかし、力を込めた筈の指に反応はなく、クレードの腕がどさりと地面に転がり落ちた。
跳ね返された真空波が、彼の左腕を胴体から完全に切り離していたのだ。
鮮血が飛び散る。
「……ゴキブリにしては、やるじゃないか」
唇を歪ませて笑ってみせたが、さすがに戦いを楽しむ余裕はない。
強い。
数年前よりも格段に。
全身に迸る力をもて余すように、漆黒の魔神はけたたましく吼えた。
-ピシリ。
甲殻に生じた小さな亀裂。
それは強大な魔神の力に耐えきれず、依り代となっているGの体が壊死を起こす前兆だった。
「このまま自滅させるか」
衝撃波が直撃し、吹き飛ばされたクレードは露出した岩肌に背中を叩き付けた。
応急措置で一時的に出血は食い止めたものの、片腕を失ったダメージは大きい。
その時、岩山に足音が響いた。
「なんにゃ、あれは?!」
異変に気付いたネムネムが山頂に駆け付けたのだ。
続いて姿を見せた二人も、黒翼の異形に息を呑む。
「創世史にその名を残す、最古にして最凶の魔神ヘルキュイアス。
我が愚弟の成れの果てだよ」
「あの昆虫の化け物がゴキブリさん?!
ど、どうやったら元に戻せるにゃ?」
「気絶させるか、殺すかだ。
だが、お前ら雑魚が勝てる見込みなどない。
解ったら尻尾を巻いてさっさと失せろ」
「死にそうな癖になに言ってるにゃ!
あれが伝説の魔神なら、尚更このまま放っておけないにゃよ!」
魔神によって放たれた断罪の炎が天を穿ち、火の粉が世界に降り注いだ。
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