オトガイの雫

なこ

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雫と伊央

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「あ…あ、あ、あ、い…お、いおぅ、あああ」

雫の中は熱く蠢いて俺のモノを締め付けてくる。

昂りはおさまることのないまま、雫の奥底へと打ち付けられ、ぱんっぱんっと鳴り響く結合部は淫らに白く泡立っている。

「…はあ、くっ!」

「あああああ、だ、いく、も、だ、め…いお、い、お…」

弓形にのけ反る雫を強く引き寄せ、そのまま一気に奥底を突くと、声にならない喘ぎ声と共に、肩に乗せた白く長い左脚がずるりと崩れ落ちた。

残った右脚を、左手で押さえたまま、ひくひくと震える腹に何度目かの白濁を吐き出す。

雫のモノからは、薄くたらたらとした乳白色の液体が流れ出ていた。

痙攣したまま雫の目は天を仰いでいる。

焦点は合っていない。

ここに来て、やっと我に返る。

…やり過ぎたか?

すでに乾いた精液の上に、いまだどろどろとした精液が重なり、雫の腹の上に溜まっている。

組み敷く身体には、其処彼処に赤い斑点が散らばり、胸元は特に酷い。

天を仰ぐ顔は、唾液と汗とでぐちゃぐちゃになっている。

「…はあ、は…ふう、悪い、やり過ぎた。大丈夫か?」

額に張り付いた薄茶の髪を掬い上げると、焦点が合わずにいた瞳が俺を捉えてふっと緩んだ。

「喉乾いただろ。今持ってくる。」

立ち上がろうとして、少しだけ身体がぐらつく。

本当に、やり過ぎだ。

冷えた水と炭酸水を取りに行って部屋に戻ると、部屋の中は熱気と精の匂いでむんむんとしている。

その中で、はあはあと肩で息をしながら、雫はぐったりと天を仰いだままだ。

「…飲むか?」

水を差し出しても、雫は動こうとしない。

口移しで炭酸水を飲ませようとすると、両手を差し出して抱きついてくる。

抱きついたまま含んだ炭酸水を飲み終えると、柔らかい舌が俺の口の中へ滑り込んできた。

「…おい、これ以上は、無理だろ?いいから、休めって。」

雫は抱きついたまま離れようとしない。

せっかく理性を取り戻したと言うのに、またむくむくと熱が溜まり始める。

「おい、雫、まじでやばいから。」

肩に額を押し付けたまま、雫は抱きしめる力を緩めようとしない。

肩には、濡れた感触が漂う。

「…おまえ、泣いている、のか?」

顔を上げさせると、薄茶の瞳からは数滴の涙がこぼれ落ちた。

「…だ、って、こんなん、絶対ないって、伊央と、こんな、なる…なんて…。夢、じゃ、ないよね…。」

汗と唾液と、そこに涙まで混ざり合い、綺麗な顔はぐしゃぐしゃに濡れている。

「…夢の訳ないだろ。抱けるかって、聞いてきたけど、もうわかっただろ?な?」

うんうんと頷く雫を、今度は俺が強く抱きしめる。

「伊央、俺もう、このまま死んでもいい。いまこの瞬間に。」

「だめ。死なせない。」

「だって、もう、無理だよ。こんなんしたら、もう伊央から離れるなんてできない。」

「離れる必要なんてないだろ。離れようとしても、離さないけどな。」

「…もっと、もっと、いおが、欲しい。いおで、いっぱいになりたい。…だめ?」

上目遣いに覗き込んでくるその姿に、完全におれのモノは立ち上がった。

こんなん、断れるはずがない。

「そんな顔、絶対俺以外の誰にも見せるなよ。」

「…いおだけだよ、ずっと…」

「どうなっても、知らないからな。」

「…うん。どうなっても、いい。すき、なんだ、本当に、いおのことが。」

「俺も、」

もう一度だけ炭酸水を口にし、雫にも飲ませると、淫らに求めてくる身体を何度も揺り動かした。

背後から、横から、雫はどんな態勢でも受け入れ、そして意識を飛ばした。

意識を飛ばしたままの雫をさらに数回揺り動かし、その日最後の吐精を果たすと、ぴくりとも動かない白い身体に重なるようにして、俺もそのまま眠りについてしまった。




コーヒーのいい匂いがする。

休みの日、伊央は気に入った豆を挽いてよく振舞ってくれる。

…今、何時だろう?

起きあがろうとした身体が、ぎちぎちと軋み上がり、思う様に動けない。

え?なんで?

目を開くと、そこはいつもの自分の部屋じゃなかった。

「…痛っ」

無理矢理上半身を起こし、まだぼんやりとしたまま辺りを見回すと、そこではっと気がつく。

「昨日、俺…」

昨晩のことを思い出し、今になって羞恥心が込み上げる。

ずっと自分から伊央を求めていた。

「…雫?起きたのか?」

部屋の扉が開き、コーヒーを手にした伊央が入ってくる。

「身体、大丈夫か?」

ベッドの傍に座り、優しく頭を撫でてキスしてくれる。

「…ごめん、昨日、俺…」

「なんで雫が謝るんだよ。やり過ぎたのは俺だから。悪かったな。」

伊央の視線を辿って裸のままの身体を見ると、そこには昨晩の名残があちこちに散らばっていた。

「一応拭いたんだけど。風呂入れといたから、一緒に入ろうな。」

「えっ?!一緒?!」

「…当たり前だろ。」

当たり前?

差し出されたコーヒーを受け取ると、伊央は見たこともないぐらい上機嫌で笑っている。

「コーヒー、薄めにしといたから。飲めるか?」

「…あ、うん。ありがとう。…美味しい、よ。」

熱すぎず、薄めに淹れられたコーヒーが軋んだ身体に染み渡る。

「それ飲んだら、風呂まで運んでやるから。」

そう言って、また俺の頭を撫でると、額に頬に、口に、何度も優しいキスが落とされた。

昨晩あんな痴態を晒したばかりだと言うのに、気恥ずかしさの余り伊央の顔を見られない。

「…昨日の雫、最高だったな。」

「ちょっと、恥ずかしいから!今そんなこと、言わないで…」

思わず顔を上げてしまい、覗き込む伊央と目が合う。

ふはっと、目尻に皺を寄せて笑う伊央の姿に、胸がきゅうっと締め付けられた。

報われない想いを抱え続けていた、つい先日までの苦しさとは違うのに。

好きすぎて苦しい。

昨日より、ずっと。ずっと。














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