運命と運命の人

なこ

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第2章

9

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カイゼルは、自室のバルコニーから、眼下に広がる辺境領を眺めていた。

四方を森に囲まれた中心には、暗闇の中、そこだけ灯がともった辺境領の街並みが見える。

夜に吹く風は、だいぶひんやりとしてきた。

ノックの音に返事をすると、湯浴みを終えたセレンが、入ってくる。

「夕飯も美味かったし、湯浴みをして、だいぶすっきりしたよ。」

「それは、よかった。」

「やはり、ここは落ち着くな。」

「ここに来て、そんなことを言うのはお前ぐらいだ。」

「そうか?まあ、わたしにとっては、落ち着くのだよ。」

バルコニーに置かれた、丸い小さなテーブルの上には、セレンの好む葡萄酒が用意してある。

「ちょうど酒もあることだし、久しぶりの親友との再会に乾杯しようじゃないか。」

セレンは機嫌よく、2つのグラスに葡萄酒を注ぐと、その1つをカイゼルに渡す。

2人は静かに、酒を酌み交わし始めた。







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