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ラルフside
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ラルフは昼のことをニアに謝ろうとしたが、結局その日ニアに会うことはできなかった。
とりあえずノエルに指定された店に行くしかない。
なかなか予約が取れないことで有名な店だが、ノエルは今日の今日で予約を取れた訳だ。
親の力を使ったのだろうな。
それにしても、わかりやすい奴だ。
ラルフは建物を見上げる。
店は建物の一階に入っており、それより上の階は高級な宿泊施設だ。
ラルフも何度か利用したことがある。
店の中ではノエルがすでに待ち構えていた。
「ラルフ様!」
ラルフをみとめ、満面の笑みで手を振っている。
他の客がその美しさに見惚れているのを自覚しての行動だ。
ラルフが現れると数人の男性客が残念そうにしていたが、ラルフは知ったことではない。
なんなら代わりたいぐらいだ。
ラルフが席に着くと、すぐに料理が運ばれて来た。
前菜から始まるコース料理だ。
「やっとこうして二人きりでお食事ができますね。」
「食事を楽しむために来た訳ではない。で、何を知っているんだ?」
「そんなに急かさなくてもいいじゃないですか。まだ料理が出始めたばかりですよ。」
ノエルはこの場でもきっと何も話す気はないのだろう。
騎士達に迫られて困っているだの、父親に見合いを勧められているがどうしたらいいかだの、ラルフが全く興味のない話しを延々としている。
ほとんどの料理に少しだけ手をつけ、半分以上は残している。
『お残しはいけません!』
そう言って、ニアなら綺麗に全部平らげるだろうに。
ニアの食べる姿を今日は見ることができなかった。
ラルフはニア不足だ。
何か知っているなど、ただの方便だったのかもしれない。
つまらない食事がやっと終わりそうだ。
「ラルフ様?どうかなさいましたか?」
「いや、もういいだろう。話しがないなら帰る。」
「そんな、せっかくこうして!」
「ニアの話しがないのなら、もう時間はとらない。」
「そんなにニアが気になりますか?」
ノエルは先程までのはしゃいだ様子とは打って変わり、顔を歪めた。
「そうだな。少なくともお前よりは。」
「そんなの一時だけですよ。今まで周りにいなかったタイプだから物珍しいだけでしょう。」
皮肉げに笑って立ち上がると、ラルフの隣りに来て耳元で囁く。
「上の部屋をとってありますから。ニアのことなんて忘れて、きっとお楽しみいただけると思いますよ。行きましょう。」
ノエルの甘ったるい香りがラルフの鼻腔を擽る。
何も感じない。下半身は無反応だ。
どうしたものかと席を立つと、ラルフはノエルと共に上の部屋へと向かった。
ノエルはラルフの腕に自分の腕を絡ませ、しなだれ掛かるようにしている。
部屋に入るとその腕を解き、ラルフはソファに腰を下ろした。
ノエルは拍子抜けした様子でベットの端に座っている。
「で、ニアの何を知っているんだ?知っているふりか?」
「ここまで来てまだその話しなんですか?知っていますよ。いつもラルフ様と二人、裏庭で昼を共にしているでしょう。」
「見ていたのか。」
「ええ、本当によく食べるんですね。笑っちゃう。」
「おかしいことなんてないだろ。」
「あの子、端くれとは言え貴族のくせにあんな食べ方するなんて。」
ノエルがニアを馬鹿にしている様子がひしひしと伝わってくる。
「地元の田舎でも有名だったそうですよ。あんなに小さくて貧弱な身体をしているのに、卑しいほどよく食べるって。」
「…卑しい?」
「卑しいじゃありませんか。ラルフ様のお昼までせしめているのでしょう?ラルフ様も物珍しくて相手をしているだけではないのですか?」
「卑しい…」
「ほんとに、卑しい田舎貴族なんて目障りなだけですよね。あんな食べ方をするなんて、貴族じゃなく平民と同じですよ。」
なるほど。そう言う訳か。
ニアが人前で食べたがらない理由を、ラルフは初めてわかったような気がした。
ラルフのように好意的に受け入れる者ばかりではないようだ。
ノエルのような反応を示す者もきっと多いのだろう。
卑しいか、卑しいと言うより、あの姿は、
「…いやらしいが、正解だな。」
ラルフがぼそっと呟くと、ノエルは眉を顰めた。
「なんの話しですか?」
「いいや。こっちのことだ。で、それだけか?」
「こそこそと隠しているようだから黙ってあげていましたけど、卑しい分際でラルフ様に関わろうとするなら、そうはいきません。」
「ばらすのか?」
「ええ。みんな気がついていないようですから。そうそう、お昼から戻ってきたあの子のお腹、見たことありますか?」
「腹?」
「ゆったりとした上着を着ているからばれていないと思っているんでしょうね。ぽっこりと膨らんでますよ。」
ノエルは思い出したのか、ぷっ、と笑い出した。
「そんなに、膨らんで……。」
「それはもう。本当に子どもみたい。見苦しいと思いませんか?」
ニアの膨れた腹を思い浮かべると、ラルフのそれは俄かに反応し始めた。
頬だけでなく、腹まで膨れるのか…
その様子を察し、ノエルはラルフをベットへと誘う。
「ラルフ様、あんな子なんてどうでもいいでしょう。さあ、早く…」
手を引かれ、ベットに仰向けになるノエルの上へと覆い被さると、ノエルは恍惚の表情を浮かべた。
ラルフの下半身はすでに硬く反り上がっている。
「こんなになっているじゃないですか、ラルフ様ったら、早く…」
ラルフの頭の中は、ぽっこりと膨らんだ腹を恥ずかしげに隠して身を捩るニアの姿でいっぱいだ。
「ノエル、悪いな。お前では無理だ。」
「は?」
ノエルの耳元でラルフは囁く。
「お前を抱く気にはならない。他の奴をあたれ。ニアには関わるな。」
ぽかんとするノエルをそのままに、テーブルの上に金を置くと、ラルフは部屋を出た。
ノエルのことだ。ニアには昼のことも、なんなら今こうして共にいることもばれているだろう。
明日の朝、来てくれるだろうか。
腹まで膨れるなんて、一体どれだけ興奮させてくれるんだ。
ニアの存在が面白く、愛しくて堪らない。
早くニアに会いたい。
ラルフは帰路を急いだ。
とりあえずノエルに指定された店に行くしかない。
なかなか予約が取れないことで有名な店だが、ノエルは今日の今日で予約を取れた訳だ。
親の力を使ったのだろうな。
それにしても、わかりやすい奴だ。
ラルフは建物を見上げる。
店は建物の一階に入っており、それより上の階は高級な宿泊施設だ。
ラルフも何度か利用したことがある。
店の中ではノエルがすでに待ち構えていた。
「ラルフ様!」
ラルフをみとめ、満面の笑みで手を振っている。
他の客がその美しさに見惚れているのを自覚しての行動だ。
ラルフが現れると数人の男性客が残念そうにしていたが、ラルフは知ったことではない。
なんなら代わりたいぐらいだ。
ラルフが席に着くと、すぐに料理が運ばれて来た。
前菜から始まるコース料理だ。
「やっとこうして二人きりでお食事ができますね。」
「食事を楽しむために来た訳ではない。で、何を知っているんだ?」
「そんなに急かさなくてもいいじゃないですか。まだ料理が出始めたばかりですよ。」
ノエルはこの場でもきっと何も話す気はないのだろう。
騎士達に迫られて困っているだの、父親に見合いを勧められているがどうしたらいいかだの、ラルフが全く興味のない話しを延々としている。
ほとんどの料理に少しだけ手をつけ、半分以上は残している。
『お残しはいけません!』
そう言って、ニアなら綺麗に全部平らげるだろうに。
ニアの食べる姿を今日は見ることができなかった。
ラルフはニア不足だ。
何か知っているなど、ただの方便だったのかもしれない。
つまらない食事がやっと終わりそうだ。
「ラルフ様?どうかなさいましたか?」
「いや、もういいだろう。話しがないなら帰る。」
「そんな、せっかくこうして!」
「ニアの話しがないのなら、もう時間はとらない。」
「そんなにニアが気になりますか?」
ノエルは先程までのはしゃいだ様子とは打って変わり、顔を歪めた。
「そうだな。少なくともお前よりは。」
「そんなの一時だけですよ。今まで周りにいなかったタイプだから物珍しいだけでしょう。」
皮肉げに笑って立ち上がると、ラルフの隣りに来て耳元で囁く。
「上の部屋をとってありますから。ニアのことなんて忘れて、きっとお楽しみいただけると思いますよ。行きましょう。」
ノエルの甘ったるい香りがラルフの鼻腔を擽る。
何も感じない。下半身は無反応だ。
どうしたものかと席を立つと、ラルフはノエルと共に上の部屋へと向かった。
ノエルはラルフの腕に自分の腕を絡ませ、しなだれ掛かるようにしている。
部屋に入るとその腕を解き、ラルフはソファに腰を下ろした。
ノエルは拍子抜けした様子でベットの端に座っている。
「で、ニアの何を知っているんだ?知っているふりか?」
「ここまで来てまだその話しなんですか?知っていますよ。いつもラルフ様と二人、裏庭で昼を共にしているでしょう。」
「見ていたのか。」
「ええ、本当によく食べるんですね。笑っちゃう。」
「おかしいことなんてないだろ。」
「あの子、端くれとは言え貴族のくせにあんな食べ方するなんて。」
ノエルがニアを馬鹿にしている様子がひしひしと伝わってくる。
「地元の田舎でも有名だったそうですよ。あんなに小さくて貧弱な身体をしているのに、卑しいほどよく食べるって。」
「…卑しい?」
「卑しいじゃありませんか。ラルフ様のお昼までせしめているのでしょう?ラルフ様も物珍しくて相手をしているだけではないのですか?」
「卑しい…」
「ほんとに、卑しい田舎貴族なんて目障りなだけですよね。あんな食べ方をするなんて、貴族じゃなく平民と同じですよ。」
なるほど。そう言う訳か。
ニアが人前で食べたがらない理由を、ラルフは初めてわかったような気がした。
ラルフのように好意的に受け入れる者ばかりではないようだ。
ノエルのような反応を示す者もきっと多いのだろう。
卑しいか、卑しいと言うより、あの姿は、
「…いやらしいが、正解だな。」
ラルフがぼそっと呟くと、ノエルは眉を顰めた。
「なんの話しですか?」
「いいや。こっちのことだ。で、それだけか?」
「こそこそと隠しているようだから黙ってあげていましたけど、卑しい分際でラルフ様に関わろうとするなら、そうはいきません。」
「ばらすのか?」
「ええ。みんな気がついていないようですから。そうそう、お昼から戻ってきたあの子のお腹、見たことありますか?」
「腹?」
「ゆったりとした上着を着ているからばれていないと思っているんでしょうね。ぽっこりと膨らんでますよ。」
ノエルは思い出したのか、ぷっ、と笑い出した。
「そんなに、膨らんで……。」
「それはもう。本当に子どもみたい。見苦しいと思いませんか?」
ニアの膨れた腹を思い浮かべると、ラルフのそれは俄かに反応し始めた。
頬だけでなく、腹まで膨れるのか…
その様子を察し、ノエルはラルフをベットへと誘う。
「ラルフ様、あんな子なんてどうでもいいでしょう。さあ、早く…」
手を引かれ、ベットに仰向けになるノエルの上へと覆い被さると、ノエルは恍惚の表情を浮かべた。
ラルフの下半身はすでに硬く反り上がっている。
「こんなになっているじゃないですか、ラルフ様ったら、早く…」
ラルフの頭の中は、ぽっこりと膨らんだ腹を恥ずかしげに隠して身を捩るニアの姿でいっぱいだ。
「ノエル、悪いな。お前では無理だ。」
「は?」
ノエルの耳元でラルフは囁く。
「お前を抱く気にはならない。他の奴をあたれ。ニアには関わるな。」
ぽかんとするノエルをそのままに、テーブルの上に金を置くと、ラルフは部屋を出た。
ノエルのことだ。ニアには昼のことも、なんなら今こうして共にいることもばれているだろう。
明日の朝、来てくれるだろうか。
腹まで膨れるなんて、一体どれだけ興奮させてくれるんだ。
ニアの存在が面白く、愛しくて堪らない。
早くニアに会いたい。
ラルフは帰路を急いだ。
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