ニアの頬袋

なこ

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ラルフの邸

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「ほえ…」

ラルフの広大な邸を見上げ、ニアは言葉が出ない。

実家の家とは比べ物にならないし、比べるのも烏滸がましいと感じた。

「おいで、ニア。」

呆然とするニアを引き摺るようにラルフは邸の中へ進んでいく。

「おかえりなさいませ。ラルフ様、こちらの方は…」

「わたしの客人、いや大切な恋人だ。手厚くもてなす様に。」

執事らしき人は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに表情を取り戻すとニアを迎え入れた。

「左様でございますか。執事のニックと申します。どうぞ、お見知りおきを。」

コイビト…。タイセツナ、コイビト…。

ニアにはラルフの話す言葉が、まるで異国の言葉のように聞こえる。

「ニアはまだ少し体調が悪いから、夕飯は食べやすいものを用意してくれ。量は多めでいい。」

「かしこまりました。」

「いや、多めではなく、ニア一人で三人分だ。」

執事は一度だけ大きく目を見開くと、その場を去った。

「ニア、わたしの部屋へ行こう。」

ニアはまた引き摺られて行く。

……なんで?なに?どうして?なんで、こうなった?

頭の中は?でいっぱいだ。

「ほえ…」

その部屋の広さと、豪華さと、奥に見える寝台の大きさに、ニアはまた言葉を失った。

あんなに大きな寝台を見るのは初めてだ。

ニアが十人並んでも眠れそうだ。

「何を見てるんだ?」

「いえ、大きな寝台だなあと思って。ぼくが十人並んでも寝れそうだなあと。」

ニアが十人?思わずラルフは笑ってしまった。

「そうだな。大きい方がゆっくり休める。なかなかの寝心地だぞ。今日からニアもここで寝るんだ。」

「は?」

「今試してみるか?」

「…は?」

いやいや、この人は何を言ってるんだ?

ニアが、ここで、寝る?

ニアの寝床は、寮の小さな慎ましい寝台だ。

「遠慮するな。」

団長に抱きかかえられ、寝台の上に仰向けに寝かされる。

「大き…」

その大きさと、寝心地の良さにニアは驚いた。

見上げる天井も見たことのない高さで、模様まで入っている。

「大きいか?大きいのは好きか?」

「大きいです。大きいのは、いいですね。確かに。天井も高いです。団長はいつもこうして寝てるんですね。」

昨晩のノエルとは違い、ニアはこの状況がどんなものなのか理解していない様子だ。

「ニアは、わたしを滾らせるのが上手いな。」

「タギル?」

「今すぐに食べてしまいたいが、体調はどうだ?」

「タベル?」

「腹の具合は?」

「午前中休ませてもらったので、もう大丈夫です。」

今さらながら、団長の距離が近すぎる。

団長がニアに覆い被さるように見下ろしてくるので、ニアは顔を背けた。

背けた先には団長の逞しい腕がある。

ニアの足より太い。

「腕…」

「どうした?」

「太い…」

「ニア、無防備にも程がある。」

ちょっと、距離が近過ぎます、団長、と言おうとして、ニアの口は塞がれた。

「ん、、ん、、んんっ!!!」

「小さな口だな……」

「んんっ、や、やめ、っ…!」

ニアが逃れようとすればする程、ラルフは執拗にニアの口を塞いだ。

ニアの口は小さいが、こじ開けられた中は広い。小さな舌を絡めとると、ラルフは何度も吸い上げた。

「やめっ、く、くる、し」

「鼻で息をしろ。ニア、聞いてるか?」

少し口を離すと、はあはあと息をするニアの口内に小さな赤い舌が見える。

「な、なにふるんですか!」

ニアは動揺しすぎて、また噛んだ。

口付けなんて初めてのことだ。

ニアには一生関係ないことのように思っていたので、やり方など知らない。

開かれたままのニアの口内へラルフは自分の舌を差し込むと、その小さな赤い舌を舐め回した。

ニアは口を閉じようとするが、ラルフの太い指までが入り込んできて、閉じられない。

「いや、やめ…らんちょ、いや…」

夢の中と同じ。涙目で嫌がるニアに、ラルフの興奮は高まるばかりだ。

下半身ははち切れそうに反り上がっている。

「どし、れ?」

ラルフの指を口に入れたまま、ニアが見上げてくる。

「恋人だと言っただろう。ニアのことが好きなんだ。大切にする。」

「す、き?」

……スキ?ニアを?すき……好き!!!???

ニアの口内に二本の指を入れ、蹂躙するように掻き回すと、ラルフはまたニアの口を塞いだ。

おさまりきらない唾液が、ニアの口端からたらたらと流れ落ちている。

ニアの反応は想像以上だ。

ニアの口内を堪能しながら、ラルフは少しずつその衣服を剥ぎ取っていった。

ニアはきっと、何が起こっているのか分かっていないだろう。

午前中の出来事は予想外だったが、結果オーライだ。

「なんれ、ふく、やめてぇーーー」

「嫌か?」

「だって!」

「恋人ならこうしたいだろう?」

「そんな。ぼく、わからないし…コイビトって、まさか、恋人!!!」

「コイビトと言ったら、恋人だろ。今さらそこか?わかるようにしてやろう。」

「結構でふ!わからなくていいですっ!」

焦るとよく噛むらしい。

逃げようとするニアをラルフは笑って組み敷いた。

「ひっ!」

怯えられるのも、逃げられるのも、ラルフにとっては初めての経験だ。

「ニアは本当に面白いなあ。」

笑いながら服を剥ぎ取って行くラルフは狂気的だ。

団長は変態だ。きっとそうに違いない。

ここに来て初めて、ニアは貞操の危機を感じた。
























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