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第4章:選ばれた未来、ほどけない絆へ
第53話「微笑の裏にある宣言と、揺れない意志」
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“敵意”とは限らない。
“対立”とも限らない。
けれど、互いの視線が交差したとき――
そこにあるのは、揺るぎない立場の主張だった。
***
午後の講義が終わり、生徒たちが引けた教室の片隅。
窓からの陽が傾きはじめた頃、
セシリア=ロートベルクとフェルティナ=セリスは、ついに真正面から向き合った。
「お初にお目にかかります、セリス侯爵家のフェルティナと申します」
「ロートベルク家のセシリアです。ようこそ学院へ」
一見すれば、ただの丁寧な挨拶。
だが、そこには明確な“含み”があった。
それは、互いに“この名を、互いに知っていた”という暗黙の了解。
初対面でありながら、最初から“目を逸らさない覚悟”を持った者同士。
フェルティナは、セシリアの制服の胸元に結ばれたリボンを見て、小さく微笑む。
「――それ、お似合いですわ。とても。
心を込めて結ばれたものって、やはり目を引きますのね」
「ありがとうございます。
これは“大切な人”から受け取った証ですから」
互いに柔らかな声。
礼を失しない笑顔。
けれど――その奥では剣と剣が静かに交わっていた。
フェルティナは、さらに一歩踏み込む。
「殿下とは、学院のご関係を超えて、
もう少し広い世界での“並び立ち”も考慮されているのかしら?」
遠回しな問い――
だが、セシリアは怯まず、静かに返す。
「それを決めるのは、わたしたち“ふたり”です。
どんなに広い世界でも、互いの意思で歩ける距離なら、わたしは迷いません」
その答えに、フェルティナは瞳を細めた。
「……そう。
その強さがあるなら、きっと“耐えられる”のね。
誰かの隣に立つことが、どれほど視線を集めるものか、わかっているのなら」
言葉に毒はない。
だが、“予告”のような響きがあった。
フェルティナの言葉の裏にあるもの――
それは、単なる恋敵の牽制ではない。
“公的な立場の者として、どこまで覚悟があるか”を試すものだった。
セシリアは静かに深く息を吸い、そして――微笑んだ。
「耐えるのではなく、“守ります”。
彼の笑顔も、選んでくれた手も、わたしが守ってみせます」
微笑みの奥にあるのは、
あの日から揺らがなかった、ひとりの少女の覚悟だった。
***
ふたりの会話が終わったとき。
廊下に立っていたリリアーナ=エグレアは、
何も言わず、窓の外を見ていた。
「……あの子、もう“誰かの手”を借りなくても、ちゃんと刺せるのね。
自分の意志で、まっすぐに針を立てているわ」
それは、かつて誰よりも“縫うこと”にこだわった彼女の言葉。
そして、かつて“刺されてばかりだった少女”が、
いまは自分の意思で“結び手”になっていることを、
誰よりもリリアーナが誇らしく思っていた。
“対立”とも限らない。
けれど、互いの視線が交差したとき――
そこにあるのは、揺るぎない立場の主張だった。
***
午後の講義が終わり、生徒たちが引けた教室の片隅。
窓からの陽が傾きはじめた頃、
セシリア=ロートベルクとフェルティナ=セリスは、ついに真正面から向き合った。
「お初にお目にかかります、セリス侯爵家のフェルティナと申します」
「ロートベルク家のセシリアです。ようこそ学院へ」
一見すれば、ただの丁寧な挨拶。
だが、そこには明確な“含み”があった。
それは、互いに“この名を、互いに知っていた”という暗黙の了解。
初対面でありながら、最初から“目を逸らさない覚悟”を持った者同士。
フェルティナは、セシリアの制服の胸元に結ばれたリボンを見て、小さく微笑む。
「――それ、お似合いですわ。とても。
心を込めて結ばれたものって、やはり目を引きますのね」
「ありがとうございます。
これは“大切な人”から受け取った証ですから」
互いに柔らかな声。
礼を失しない笑顔。
けれど――その奥では剣と剣が静かに交わっていた。
フェルティナは、さらに一歩踏み込む。
「殿下とは、学院のご関係を超えて、
もう少し広い世界での“並び立ち”も考慮されているのかしら?」
遠回しな問い――
だが、セシリアは怯まず、静かに返す。
「それを決めるのは、わたしたち“ふたり”です。
どんなに広い世界でも、互いの意思で歩ける距離なら、わたしは迷いません」
その答えに、フェルティナは瞳を細めた。
「……そう。
その強さがあるなら、きっと“耐えられる”のね。
誰かの隣に立つことが、どれほど視線を集めるものか、わかっているのなら」
言葉に毒はない。
だが、“予告”のような響きがあった。
フェルティナの言葉の裏にあるもの――
それは、単なる恋敵の牽制ではない。
“公的な立場の者として、どこまで覚悟があるか”を試すものだった。
セシリアは静かに深く息を吸い、そして――微笑んだ。
「耐えるのではなく、“守ります”。
彼の笑顔も、選んでくれた手も、わたしが守ってみせます」
微笑みの奥にあるのは、
あの日から揺らがなかった、ひとりの少女の覚悟だった。
***
ふたりの会話が終わったとき。
廊下に立っていたリリアーナ=エグレアは、
何も言わず、窓の外を見ていた。
「……あの子、もう“誰かの手”を借りなくても、ちゃんと刺せるのね。
自分の意志で、まっすぐに針を立てているわ」
それは、かつて誰よりも“縫うこと”にこだわった彼女の言葉。
そして、かつて“刺されてばかりだった少女”が、
いまは自分の意思で“結び手”になっていることを、
誰よりもリリアーナが誇らしく思っていた。
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