誤った世界に誤って転生、俺に謝れ

夏派

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第1章 

第9話 酒呑王にあなたはなる!!

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 K時間後

「さぁさぁ始まりました!! 魔王討伐祝い、特別イベントォォォ! 真央を獲得するのは誰だ?! 酒呑王!!」
「「「ウォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!」」」

 うるさい。と俺は素直にそう思った。
 街の広場に設営された特設会場には、我こそは酒自慢ですという見た目の奴らが集まっていた。
 屈強な男、バッキュンボンなお姉さん、すでに顔が赤い中年と様々な層の人たちが集合していた。参加者以外にもこのイベントを享受しようと、たくさんの人が集まっていた。

「うぉぉぉぉ!! 絶対勝つわよ!!」

 腕に参加者のリストバンドをつけたサナは、実況の煽り言葉に声をあげて反応する。

「……なんでこうなってんだか。まぁいいか。それよりターゲットの超一流の魔法使いはどこだ」

 俺の疑問に他の人が答えることはなかった。
 なぜなら回答はすぐに現れたからだ。

「さぁって早速対決といきたいところだが、その前に注目選手を紹介するぜ!」

 話慣れた実況が手を叩くと、1人の女性がイベント会場真ん中にある台に立った。

「何百もの男が彼女にアタックし、無惨にも消えていった。私が気になるのはお酒のみ! 優勝候補、シーナ!!!」

 爆ッッ!! 音ッッ!! と観戦者たちが大きな声で叫ぶ。

 黒髪ロングだが、ストレートではなく若干のパーマがかかっている。目の下に涙ほくろがあるのが特徴的。
 だがそれ以上に目を引くのが、胸元を強調する服装だ。

「「デカいな」」

 俺とアサは同時にそう呟いた。
 そしてサナに向けて言う。手をグッジョブにしながら。

「「胸で負けても酒では負けるな」」

 殴ッッ!!! 

 俺たちの骨が折れたことは今は関係ない。


 参加者は総勢30名。これが多いのか少ないのかは分からないけど、酒呑王なんてアホみたいな称号欲しさに集まる人もいるんだなと思う。
 骨折? なんのことだそれは。

「酒呑王! ここに用意した5リットルの桶。そこにお酒を入れて30分以内にどれくらい呑むことができるのかを競う競技だ! もちろん一回でも吐いたらゲームオーバーだぜ」

 実況の説明を聞きながら俺は思う。

「酒吐いたらダメって…………サナお前いけるのか?」
「それはどういうことよ」
「文字通りだよ。お前呑むだけ飲んで毎回嘔吐してるじゃん。自動オートみたいにね」
「……何も面白くないわよ。それに問題ないわ。私は黒髪の冒険者よ? なんのため超強化された体だと思ってるのよ」

 彼女はそういってイベントの壇上へ登っていた。

「それでは…………酒呑王にあなたはなる!!」

 まるで海賊のような叫び声と共に、30名の参加者は一斉に5リットルの桶に手をかける。

「ゴボッ! な、なんだこのキツイ味は!」

 一口目に挑戦した刹那、参加者の1人が大きな声をあげてそういった。

「酒呑王になるには楽な道のりなんかありゃせんよ。ここに用意した酒はアルコール度数70%越えだ! 消毒液と同じだぜ!」

「……おいおいそんな危ねぇもん飲ませてるのかよ。ここが現世なら警察沙汰だな」

 アサの言葉に俺は深く首を縦に振る。
 5リットルあるこのお酒を飲める奴なんて……現世なら海にいそうだな。そんな作品見たことある気がする。

「ゲボゲボ、だ、ダメだキブ!」

 開始してまだ3分ほど。早速1人目の脱落者が出た。
 酒に強いフリをしてるあのアホはどうなのかと目をやると。

「ハァハァ……ゴグゴグ……ハァハァ」

 と今にも吐きそうになりながら目に涙を溜めて必死に呑んでいた。
 流石にその姿には胸を打たれる。

「お、おい頑張れサナ!!!!!!!」

 周りの観戦者に注目を集めるような声で俺は応援する。
 …………ん? てかなんでこの大会出てるんだ? 優勝することと超一流の魔法使いに関わることは何も関係なくね?
 ふと俺が冷静になった刹那。

「おかわりちょうだい」

 なっ??!!! その場にいた全員が手を止めて、その声の方へ目を向けた。

「な、なんと! 優勝候補シーナ選手、ご、5リットルを飲み切ったァァァァ??!! じ、時間はまだ20分以上残っています!!」

 実況が驚きの声を上げる。
 その間にも恐る恐る運営スタッフは、5リットルの桶におかわりのお酒を注いでいた。
 注ぎ終わるのを待ちながら、シーナと呼ばれた黒髪はサナに目を合わせる。

「アンタ、アーシを仲間にしたいんだって? あそこのマッチョから聞いた」

 マッチョという名詞がイカつい男を指していることに俺は少ししてから気づいた。

「ゲボゲボ、そ、そうだけど…………?」

 さっきよりも目に涙を溜めているサナは、今にも吐きそうな感じだ。

「ふーん。アーシね。自分より酒弱い人のパーティに加わる気はないよ」

 彼女はそう言い終わると、注ぎ終わった5リットルの桶に手を伸ばした。

「アーシを仲間にしたかったら、勝ってみな。自称お酒好きさん笑」




















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