誤った世界に誤って転生、俺に謝れ

夏派

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第2章

第13話 これだから異世界のトーシロは

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「さて3人の連携も問題なかったことだし、そろそろ魔王復活に進みますか」
「あれのどこが問題なかっただよ」

 つい先ほど俺たちはパーティの連携確認のためにクエストへ行った。結果はもう散々なもので、モンスターは討伐できないわ、仲間同士でやり合うわと悲しいものだった。

「仲間同士で殴り合っていたあれで連携取れてるわけねぇだろ」
「戦闘できないアホは黙ってなさい」

 確かに戦闘できないけどそこまで言わんでもよくないか。

「そもそも魔王の封印を守るはラストアタックとか気にしていられないほど強いわよ」
「サナの言う通りだな。正直戦闘中はラストアタックを考える暇はない。下手すりゃこっちが喰われるからな」

 そーゆーこと。とサナは言い、机の上にマップを広げる。
 広げられたマップを見ながらシーナが口を開く。

「ここから最も近い魔王の封印場所は、馬車で約3日か。近くてもこの距離か」
「まーこの街は『最弱の街』『始まりの街』って言われてるからね。魔王の封印から距離を取るのは妥当ね」
「俺はこの世界の馬車に乗ったことはないけど、3日も掛かるんだろ? 当然歩いていくという選択はないだろ?」

 叩ッ! 俺の言葉に反応したサナが大きな音を立てて机を叩いた。

「アンタばっかじゃないの? 逆になんで馬車に乗る選択が出てくるのよ」
「いやいや馬車で3日って、歩いたら1週間は掛かるだろ、知らんけど。そんな距離歩けるかよ。往復で考えてみろよ」
「はぁー。これだから異世界のトーシロは」
「なんだと?」
「馬車はね……高いのよ!!」
「……………………はい?」

 高いのはそうだろうさ。だが交通手段に金を掛けるのは別に悪くないはずでは。

「いい? まず大前提に私たちはお金がないわ!」
「何を堂々と悲しいことを」
「先ほどのクエストも討伐できていないから報酬はゼロ。酒呑王の参加費、日々の飲酒代、コイツらで私は貯金が無くなり絶賛借金中よ!!」
「…………はぁ。でもアサとシーナも金はあるだろ?」
「何を言ってやがるアホカズ。オレの金は全てニアメちゃん(アイドル)に貢いでいるぜ」
「……………………」
「アーシの金は全てお酒に消えているよ」
「……………………」
「そういうことなのよ。この世界でお金を稼ぐのは大変なわけ、分かった?」
「金の稼ぎ方じゃねぇよ! 使い方だよ! なに無計画な投資してるんだよ」

 まぁいいさ。コイツらが稼いだ金はコイツらが好きに使うのが道理か。

「…………あ、でもいいアイデアがある。先行投資といこう」
「先行投資?」
「そそ、馬車には乗る。借金をしてでもな。ただすぐに返済すればもーまんたいだ」
「ほう」
「魔王の封印を守るヤツらを倒して、報酬金をゲットすれば全て解決だ!」

 俺は自信満々に自分のアイデアを共有した。
 流石は俺。天才的なアイデアだな。これは東京の5月の大学に余裕で入れる。 
 と思ったが。

「…………アンタなに言ってるのよ。魔王の封印を解くなんてクエストあるわけないじゃない」
「……………………あ」
「そもそも魔王の封印を解くなんて誰にも求められてねぇよ」
「魔王復活を進めてますなんて知られたら、アーシら警察に追われるさ」
「……………………あーーーーーーーー」
「でっかい声出さないでよ。まぁこれで分かったでしょ? 私たちはもう歩くしかないの」


 U分後

 俺たちは街の外に集まった。いよいよ今から徒歩による片道1週間のランデブーが始まる。
 あーもー歩きたくねぇ。現世は新卒で労働と上司にしごかれ、異世界では謎の徒歩って。これは確かに転生に値するな俺。

「それで? なんだこの荷物は」

 俺の目の前にはサナが用意した冒険キットが置かれていた。

「なんで1人用のテント、1人用の寝袋、1人用の調理器具、あと10人は余裕で行ける酒樽って。バカか」
「バカとはなんだ。そっもそっも私は1人で旅をしていたのよ、だから保有している冒険キットなんて必然的に1人用になるでしょ」
「そこは100歩譲っていいよ、4人で冒険するのにそれを出してくるのは本当にセンスないけど。それよりなんだよその酒樽! 無駄な荷物だろ! それにお前たちなら1日目の夜になる前に無くなるじゃんそれ」
「あら後半、急に褒めてこないでよ」
「褒めてねぇよ」
「まぁ兎にも角にも私しか冒険キット用意できていないのだから、私に従いなさい」

 そう言われるとなにも言い返せないのが現状だ。
 というか、なんで他の2人は何も持ってないんだよ。

「さぁ冒険恒例の荷物持ちジャンケンでもしますか」
「小学生かよ」
「誰の胸が小学生だぁ?!」
「言ってねぇ! 思っても言わんわ」
「……………………」

 さて俺の顔が腫れたところでジャンケンだ。

「「「「最初はグー! ジャンケン……ポイ!!!」」」」

 結果は別に言わなくていいだろう。
 この作品はよくある異世界もの。
 オチなんて普通も普通。

 では次回で答え合わせといこう。
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